オーダー制作依頼をいただいておりました、RE/100 ナイチンゲール・ミキシングビルド改造制作が完成しました。
ナイチンテールは小説に登場した機体で、アニメ化されていないせいか、主役機にもかかわらずマイナーな立場にありました。そのためかキット化に恵まれず、30年以上のあいだ制作する機会がありませんでした。
RE/100シリーズで販売決定と聞いたときは、クオリティはそれなりだとしても、出してくれただけでも感謝!と思い予約購入しました。しかし実際に組み立ててみるとデザインから金型までRE/100としてもだいぶローコストに仕上がっており、自分のイメージしていたナイチンゲールとは大きく乖離していました。
そういったわけでRE/100のキット素組はすぐに分解し、改造制作を開始。MGサザビーVer.1、MGサザビーVer.Ka、MGシナンジュ、その他ジオン系キットからパーツを流用したミキシングビルドを目指しました。
ところでナイチンゲールは設定画のバリエーションや個人的な好みが数多く存在するとおもいます。また設定画は2次元3次元の不安定があるので、3次元化の際にはどうしても大きいアレンジが必要になります。今回はRE/100からは大きくシルエットを変更することになりますが、全体はもちろん、一部分を見ても「あ、ナイチンだ」と分かるようにしたいです。
それから、当初は自分用の個人的制作だったので、非常に遅いペースで(長い休憩もあって)何年もかけて進めていました。最近、ナイチンゲール完成品制作のオーダーを頂き、ちょうど製作途中だったこのキットを集中して仕上げる段取りになりました。そういった経緯で製作開始から完成まで数年かかっているため、写真等が不揃いになっている場合がありますが、ご了承ください。
全体の比較。左がキット素組み。右が改修後です。(↑クリックすると大きい写真が表示されます↑)
モノアイは小さく貧弱だったので、丸皿5mm+レンズ4mmに置き換えました。
頭部のデザインはとても良いです。キットをベースにして微調整を行いました。首の可動はほとんど意味がないので固定にし、プロポーションを最優先しました。
なお、頭部も含めてキット全身のスナップフィットや可動部の調整を行い、強度や美しさを改善しています。
ちょっとわかりにくいですが、頭部の位置をかなり下げ、胸に埋まるように修正しています。ここの改造と調整は時間がかかったのですが、集中していたので写真がありませんでした。
頭部を埋めるためには胸の先端のフレームパーツがじゃまになります。干渉部分をいったん切り離して、約6mm高さが低くなるようにして再接着しました。
キットの流線型のデザインは単品単品では悪くないのですが、他のパーツとのアウトラインが合っていないのがもったいない。。今回の制作ではアウトラインをきれいに揃えるための改造をすることが多かったです。
後頭部周辺はデザインも金型も頑張っています。
面が広いので、メタルパーツやデカールをバランスに考慮しながら配置します。
各パーツの位置を微妙に調整してあります。アウトラインがきれいに揃ったと思います。
フレームは単純化されているので、強度はまあまあ良いです。それでもキットのまま組むことはなく必ずどこかは加工するので、何度も仮組みをして問題がないことを確認してから、接着剤やネジでしっかりと固定。塗り分けやメタルパーツの配置も、かなり初期の段階から考慮しながら作っています。
ピンぼけで申し訳ないのですが、背中のバックパック・メインスラスターの素組状態です。
同じくバックパックのプロペラントタンク。
キットのプロペラントタンクは細くてバランスが悪かったので、自作のプロペラントタンクに変更しました。
スラスター類は、PPノズルAやノズルB、PPアポジなどに変更。スラスターの増設もしました。
この状態で上半身ユニットASSYになります。依頼者様に発送するときのパーツ分割&梱包方法も考えながら制作しています。
この「ダストカバー関節」なのですが、砂漠運用なら理解できますが、宇宙空間での装備としては違和感があります。 上腕前腕も細すぎて重量感がないので、腕部は全部取り替えることにしました。
基本的にMGサザビーVer.Kaの腕部を利用し、ナイチンゲールにあわせて各所を改造しています。
本体とのジョイントを自作。グラグラする部分はネジで固定。
マニピュレータ。右手はライフルに固定。左手は握り手で固定しました。
フロントアーマー。全体が流線型なのにここだけ箱型です。なのでここもまるごと取り替えます。
他キットからパーツを流用して制作します。程よいバランスにするのはけっこう難しいです。
フロントアーマーの位置がどうしても決まらなかった。取り付け位置を腰フレームではなく股間パーツの方に移動したら、良いバランスになりました。
股間パーツは製作中写真がありませんでした。先端のIフィールド発生機(メガ粒子砲?)はプラ版でベクターノズル方式に。そのほかディテールアップなど行っています。
腰サイドアーマー。サザビーのパーツを増設し、ステンレスノズルやメタルパーツを装着。
脚部は相当に辛いです。サザビーの足をベースに改造を行いました。
ふくらはぎのハッチはオープン状態で固定。内部にスラスターなどを増設。
尾部コンテナ。設定画もいくつかあるようで解釈やイメージの違いが大きい部分だと思います。キットは大まかな形状は悪くないので、広い面をディテールなどで埋めていく方向で仕上がりを目指します。
ノズルの基部のカラーリングは、赤やグレーなどいくつか試した結果、写真のオフホワイトに落ち着きました。
プロペラントタンクはキットの形状が良かったので、細かいディテールアップとマスキング塗り分け、デカールを配置して仕上げました。またプロペラントタンクの基部が胴体への接続フレームになっておりますが、ここの固定が弱かったのでネジで固定しました。
ファンネルとコンテナ。ここは特に自分のイメージと大きく違うので、全部取り替えました。
ファンネル・コンテナともに大きくアレンジしました。またコンテナの取付角度も大きく変更しました。
コンテナ裏側のスラスター。キットは色分けなど頑張っておりますが、、、
大きくアレンジしました。
ファンネル&コンテナが完成しました。
シールドは元のデザインから2D3Dの不安定があるので、キットがこのような感じになるのは仕方がないかもしれません。
というわけでシールドも全部取り替えました。
マズル状のパーツを自作。
マウントを改造。
左はナイチンゲールのヒートホーク。これも別キットのものに置き換えました。新規の金型なはずなのに、精度がとてもひどいです。
設定画とはだいぶ違ってしまいますが、そもそも設定画が2D3D破綻してるので、そもそもの正解がないのです。今回は思い切ってアレンジしました。
キットのメガビームライフル。デザインは人それぞれの好みとしても、まともに持てないのは改善してほしいです。
というわけでビームライフルも全交換しました。
ここからディスプレイベースの制作です。当初は地面接地で自立のディスプレイで制作を進めていましたが、途中からベースで浮かせるディスプレイに変更しました。
ディスプレイベースはMG Ex-Sのモノを流用します。いろいろと検討した結果、股間フレームでディスプレイの支柱を挟み込む形式に決定しました。
支柱のマウント部分の加工。フレームとの隙間をなくし部品同士を密着させるようにすると強度が非常にアップします。
ここの取り付け角度を調整し、ナイチンゲール本体が前傾するようにしました。
台座部分はきれいなサンディング仕上げになっているので無塗装で仕上げます。塗装するとシンナー侵食で強度が落ちるデメリットがあります。また塗装よりもプラ地のほうがホコリやシミがつかないメリットがあります。なのでこのEx-Sのディスプレイベースは無塗装でも見栄えするし、機能も強度も安心で、非常に良くできたパーツです。
半透明はキレイで見栄えするのですが、製作者からすると加工がしずらいという難しい面もあります。完成後は目立たない部分で固定を行います。
ヤスリ加工した部分は超音波洗浄でしっかり洗浄したあと、濃いめのクリアーを吹いてトップコート。
このキットについてはいろいろと厳しい感想を書きましたが、こうして30年越しにナイチンゲールを作るキッカケになったのはとても良かったです。マイナー機体を出してくれるRE/100というカテゴリは、ぜひ続けてほしいですね。
個人制作だったらもしかすると完成しない病のキットだったかったかもしれません。タイミングよく製作依頼を頂いて、納期も長めにとっていただき、じっくり仕上げることができました。人生初のナイチンゲールが完成してよかったです。ありがとうございました。
2019年11月16日 追加
後に追加で制作依頼を頂いた、ハイニューガンダム(V39)とツーショット。クリックすると拡大します。
みなさまに、楽しい模型ライフを!