C3 レジンキット 1/20
Ex-S ヘッドモデル

作品番号 W33

 

制作依頼を頂いておりました「C3 レジンキット 1/20 Ex-Sガンダム ヘッドモデル」が完成しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから制作風景です

 

 

フルレジンキットです。まずは仮組みしてパーツの位置関係や制作の段取りを考えます。

 

一番最初の仮組みは、キットのダボを利用したり、瞬着点付け、水性接着剤、テープなどでフンワリと行います。なぜ「ふんわり」かというと、この時点では接合面の平面が出ていないので正確な位置関係は割り出せないからです。このあと整面を行うと、コンマ数ミリから多いときは数ミリのズレが生じます。なので、ネジや軸を通す穴をあけるのは、キッチリと整面をして完全な位置関係が決まってからになります。

 

 

一般的なレジンキットの制作方法は「真鍮線で軸位置して、接着剤で固定」です。でも僕はほぼすべてネジで組み立てられるようにします。何度でも組み立て&バラシが行える、そして毎回確実に同じ位置に収まる。なおかつ強度があり、経年劣化でポロリしない。仮組みや塗装や、郵送時の分割可能、納品後のメンテも考えて、ネジ組み立てをしています。

 

 

ガンプラは時代によって流行りがありますが、レジンキットの場合は原型師さんの個性を尊重して、できるだけキットの素性を活かすように制作しております。

 

ヘルメットは左右モナカ割り。プラ材でブラケットを作り、位置決めと強度確保をしていきます。

 

 

レジン同士を直接ネジ止めすることも可能です。しかしプラ板を通すことによって位置の微調整ができる、肉厚と強度に余裕が出せる、もし大きく失敗したときでも新品プラ板に交換するだけで済むのでキットへの負担をかけずに済む。など多くのメリットがあります。

 

 

サフやパテの乾燥に時間がかかるので、内部構造と表面処理を同時に処理していきます。日中は組み立ての調整を行い、寝る前にパテを盛って深夜に乾燥させ、次の日にヤスリ掛けして組み立てて寝る前にサフ吹いて・・・という工程を繰り返します。

レジンの制作は「〇〇を何回も何十回も繰り返し・・・」の連続ですので、説明文も同じ内容の繰り返しになってしまう場合が多いです。ですので以降の説明文はかなり省略しますが、全体的に「何十回の繰り返し」を行っています。

 

 

サイドフィンもネジで固定。ネジ工場に特注で作ってもらってる極小ネジが大活躍です。

 

ホホのスリットが入ってる面は、メインの白よりほんの少しだけグレー寄りの白にしました。

 

 

フェイスはこまかくパーツ分割されてて、ヤスリ加工や塗装がしやすかったです。

 

基本的な形状はすごく良いです。小口(横の小さい面)の面取り角度が不揃いだったので、すべての小口の面取りを統一しました。ついでに角度を少し立てて、メリハリを付けました。

 

 

眼と眼の中心の、上から下にある出っ張り。モナカ割で合わせ目が出てしまうのと、ヘルメットと顔の位置関係を正確に保つのは物理的論理的に難しい(というか精神的に納得できない)ので、切り離して顔側に取り付くようにします。

 

切り離し、プラバンで厚み調整。整形して、顔パーツに取り付けます。

 

 

ツインアイは透明レジンです。最近の透明レジンは気泡もなく透明度もすごく良くなってます。丁寧にヤスリがけしてクリアー吹けばほぼ透明になります。

裏側にディテールがあるので、裏側の塗装が重要になります。塗装は普通と逆の手順です。クリアー塗って墨入れして薄いクリアーグリーンを重ねてベースの明るいソリッドカラーを塗る。単に手順が逆ではなく、それぞれの塗装方法も普通と違います。ジャンクのクリアーパーツで何度も何度もテストを重ねました。

 

 

透明パーツの最終ベースはどうするか?白やメタルシートなどいろいろ試した結果、発光してるような感じに仕上げることができました。塗装だけで表現しています。

 

 

バルカンマズルはメタルパーツ。スリットからチラ見えするバレルも内蔵しました。

 

 

 

メインアンテナの制作です。

アンテナはブレードもと基部もパーツ状態が良好だったので、微調整だけで良い感じになりました。

 

 

ヒケや気泡などをパテで埋めます。

 

エッジをキレイに出していきます。

 

メインアンテナ完成。

 

 

次にホイップアンテナです。

こういった円筒形などのシンプルな形は、レジンが苦手とする形状ですね。ユガミがあったり、パーティングラインを処理すると真円が崩れたり。

 

というわけで基部だけ利用して、アンテナはメタルパーツとプラパイプで新造しました。

 

ホイップアンテナ完成。

 

 

フロントセンサーはツインアイと同じ処理をしています。キットのクリアレジンパーツに亀裂があったのですが、極力目立たないように処理しました。

 

トサカです。

ほぼ独立したパーツ構成なので、おおきい工作はありませんでした。整面やディテールの整理、メタルパーツ追加などなど。

 

 

 

インコムの制作です。

形状や真円度も良好。埋め込むメタルパーツはいろいろと組み合わせを試して、一番良い組み合わせにしました。

 

デカールは新規制作です。インコムを含めEx-Sのデカールは、過去に様々なバリエーションを作りました。その中からいちばん良さそうなものを選んで、さらに調整を加えました。

 

インコム完成。

 

 

首のフレームです。

斜めのパネルを斜めの接合面で組み立てる。すべてが斜めなので中心線や基準面がわからず、レジン収縮もあるので、すべての面の調整が必要でした。

こういう構造の場合、シンプルな四角い骨組み(シャーシ)に斜めのパネルを取り付ける方式ならば、レジンの収縮とかがあっても精度が保たれるので、シャーシ方式のほうが良いのでは?と思います。けど、原型師さんの考えやレジン性質や大量抜きやコストなど、現場じゃないとわからない制限もいろいろあるだろうな、とも想像します。

 

そういうのを自力で再構築するのもレジンキットの楽しさの一つです。ここは中に収まる箱組をつくる検討もしましたが、プラ材でハリを通して位置決めする方式を採用しました。

 

 

フレームや塗装などある程度進んで全体仮組みしたとき「もう少しアゴ引けたら、もっといいな」と思いました。どんなに仮組みをしっかりやっても、塗装するとバランスが違って見えることも多いです。完成後に見えなくなる部分を加工することでアゴ引き改善ができました。

 

 

胸の制作です。

パーツの位置決め、ネジ打ち。

 

整面。

 

ズレたパーツをピタッと。

 

マウントなど強度が必要な部分は、新規に作り直したりしてます。

 

肉厚が足りない小さい部品の取り付けは、0.3mmの真鍮線などで行います。

 

必要によってジャンクパーツに変えたり新規パーツ制作したりしつつ、できるだけキットの素性を活かすように制作しています。

 

円筒形のパーツは整形するより作り直したほうが速くてキレイになることが多いです。

 

肉厚が非常に薄いので、道具の精度が助けになります。

 

 

 

 

 

 

Ex-S ヘッドモデル、完成しました。

 

 

 

最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

みなさまに、楽しい模型ライフを!