HGUC RX-124
ガンダムTR-6
ハイゼンスレイII・ラー
第2形態・クルーザーモード

作品番号 W36

 

制作依頼をいただいていおりました「ガンダムTR-6 ハイゼンスレイII・ラー第2形態・クルーザーモード」が完成しました。

 

※依頼者様への通信欄※
2021.07.04
完成写真確認のメールを受け取りました。気に入っていただけたようで嬉しいです。デカールは大判も試したのですが、この機体では小さめのほうがバランスが良かったです。これから最終仕上げと制作風景アップをします。ノズルの件も急ぎませんのでご都合の良いときにメールください。それから、こちらからのメールがエラーで送信できないときがあるので、特に問題なければココで返信を記載したいと思います。それでは引き続きよろしくお願いします。

2021.07.17
最終仕上げが終わり、これから発送いたします。発送先について、伝票転写が薄くて読み取れない文字があったので、念のため〒・住所・氏名・電話番号をメールください。ノズルはBでちょうど良いと思います、一緒に同封します。

2021.07.31
破損なく無事届いたようで、また仕上がりも気にっていただけたようで安心&とても嬉しいです。メールのほうでまたご連絡します。今回はありがとうございました、またよろしくお願いします

※通信欄ここまで※

 

こちらに大きい写真を掲載しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから制作風景です

 

完成イメージとなるデザイン画と使用するキットをみて、当初は「HGUCにしては大きめ」という感じで工作を想像していました。しかし最終的にはHGUCデンドロビウムやMGディープストライカーと並ぶくらいのかなりの大きさになりました。そのため最初の予定よりも制作に時間がかかってしまいましたが、無事完成することができました。

なお機体名称は諸説あるようで、また今回はどのセッティングにも含まれない装備にしているので、正確な名称がわかりません。系譜の流れやキットの呼称をもとに「ガンダムTR-6 ハイゼンスレイII・ラー第2形態・クルーザーモード」と記載したいと思います。

 

 

まずはキットのまま仮組み。デザイン・素材・金型などキット内容が非常に良く、HGUCというよりMG並の高品質です。

 

 

元デザインが非常に細長く、末端に重量あるパーツが配置されるので、全体的に強度が足りません。キットはかなり頑張って設計しているので、ノーマルで組み立てるなら問題ない範囲です。

 

フルドドIIの装備を追加。このあとさらにギャプランブースターとプロペラントタンク4本を追加するので体の芯から補強が必要です。いまのところフラフラでポーズが決まりませんが、これがあと数カ月後にはカチカチに安定した完成品になると思うと、楽しみです。

 

 

ちょっと前後しますが今回の使用キット。3つです。

ベースになるヘイゼンスレイIIラー。

 

 

追加ユニットのフルドドII。

 

クルーザーモード用追加ブースター。ほぼギャプランのブースター。

 

 

いったん分解して、補強や改造や塗装などの段取りを考えながら再組み立てします。挟み込みパーツもあるので、後ハメ加工なども施していきます。

 

 

ここからは部位ごとの制作風景になります。まずは頭部からです。

キットはパーツ分割も造形もMGレベルかそれ以上に高品質です。

 

こまかい調整と部分的な塗り分けを行い、スムーズに完成。

 

 

 

●腕の製作です。

外観もフレームもとても細長い。キットの精度が良いので、このサイズにしては強度があります。

 

カラーについて。この機体のフレームは、0083〜0087の頃によく見られるバイオレット色のフレームです。そしてアウターパネルもバイオレットブルーです。設定画では適度なコントラストがあったのですが、キットの成型色だとコントラストが悪い・・・というかほぼ同じ色に見えます。

 

というわけでカラーバランスは大きめにアレンジすることになります。2次元の絵を立体模型にする場合、同じ色で塗ったとしても全然違う見た目になります。元デザインのカラーを崩さないように、かつ模型として見栄えが良くなる色を探します。単色で納得しても、隣の色と組み合わせるとぼやけることもあって、なかなか難しいです。

 

左手は何も持たないのでノーマルをしっかり組み立てれば十分な強度です。右手は重いライフルを持ちますので改造必須、右手はライフルの制作で記述します。

 

 

この辺は基本通り&いつもの改造を行っています。塗り分けが多かったのでマスキングや塗装は焦らず時間をかけて行いまいした。

 

 

 

●胴体の制作です。

このごく細い腰骨で、上半身、背中ユニット、腕x2、ダブルライフル、ウインチキャノンx2、CSユニットx2、メガ粒子砲x2、マルチアームx2などなどを支えます。かなり厳しいデザインですが、最終的にはしっかりした強度を出せました。

 

多数の可動部を固定していきますが、その全てがベストな角度でなければなりません。一気にできたら楽なのですが、たいてい一発では上手くはいかないのと、このキットの場合は穴あけを失敗したらもう予備のスペースがないので失敗ができません。なので一つネジ打ちしたら全体仮組み確認、バラして次の一つをネジ打ち全体仮組み確認バラして・・・を何度も何十回も繰り返します。

 

 

 

骨格が決まったら、ディテールなどに入ります。フレームのグレーもうるさくならない程度に数色で塗り分けています。

 

全身にマルイチモールドがあります。適宜メタルパーツに置き換え。

 

背中のユニット。

 

胴体も出来上がってきました。

 

 

●腰の制作です

胴体と同様で、細いフレームを軸に様々なパーツが多重に重なっていきます。

 

 

完成後には隠れて見えなくなる位置に、プラ材やネジで補強を入れていきます。接着剤は経年劣化するので、できるだけ接着剤を使わない組み立てを目指します。

 

腰のサイドジャケットはCSユニットやプロペラントタンクなどの重量を支えるので、腰骨からたどって強化していきます。ただし部品が小さくネジを打つ場所がないので、スキマを埋めるようにプラ材を詰めたり、L字やZ字のアングル材で補強しています。

 

 

全体的にフレームがかなり小さく、加工が難しかったです。たとえばフレーム幅が6mmだとすると、それがリブx2と板で構成されるので、ネジを通せる場所が1mmくらいしかありません。上の写真のようにダボの底の壁ギリギリで余裕が0.2mmもないような場所もあります。こういう場所のネジはダブルフリップやトリプルフリップフロップが必要になります。ここでは「効率良くする=時間と手間をたっぷりかける」です。ここには近道がないことを知っています。

 

 

 

 

●ここから足の制作です。

まず仮組み。変形機構や回転、スライド、差し替え、そしてフレームとパネルの多重構造で、とても凝っている上に整合性もある良質な作りです。その弊害としてとても重いです。

今回はスタンドを使って浮遊ディスプレイなので、足本体の強度はそれほど必要ありません。ただし股間の関節は荷重がかかるので、具合をみていきます。

 

 

重い足を支える股間フレームがとても細いデザイン。パーツ設計や金型はかなり丁寧で頑張っていますので、気軽にパチ組するなら十分大丈夫な範囲です。ただ写真左のように応力が集中してパーツが開いてしまう部分もあります。こういう「外す方向に力がかかる部分」はパチ組や接着だとパーツが膨らんで僅かな隙間ができて、ポリキャップがゆるくなる。応力と反対方向にネジで締め付けることで全てを解決します。

 

 

上記と同じパーツです。今回は変形はさせないので、変形のための可動は接着や軸打ちで固定します。またガンプラ全般に多いのですが、ポリキャップがプラフレームから0.2mmくらいはみ出していることが多いです。もしかしたらクリアランスを作る設計なのかもしれません。しかしスキマがあると見た目も強度も悪いです。なのでツライチかポリキャップがごく凹んだ状態に調整します。

 

 

 

ネジを打つ位置について。パッと見だともっとキレイな場所に打てるんじゃないか?と感じると思います。しかし機械的な強度や精度を考えると、ズレた位置になることが多いです。支点と作用点がきるだけ離れたほうがいい、回転軸の中心付近は回転してしまう、肉厚がある場所がいい、裏がリブはダメ、合わせ法面が直角な場所、などなど、少しでも効果が出るように考慮すると、不揃いな場所になることが多いです。

 

途中、何度も何度も仮組み分解を繰り返します。この足だと30回から50回くらい仮組みしたと思います。

 

フレームの改造が終わりました。見た目はノーマルですが、中身はガチガチに手が入っています。

 

フレームが終わったらアウターパネルの処理、塗装を行っていきます。

 

 

完成後は見えなくなる部分も、簡易的ではありますが仕上げていきます。

 

主要な部分では色ごとにパーツ分割されているので、加工&塗装がしやすかったです。またカラー配色はすこしアレンジしました。

 

細かい塗り分けは、できるだけマスキング&エアブラシで。部位によっては筆塗りのほうが良い場合もあり、使い分けていきます。

 

 

デカールについて。大判デカールや中版デカールも試し貼りしましたが、この機体では小さいデカールがバランスが良かったです。控えめで上品に。

 

 

グラグラしない可動はそのまま残してあります。

 

足が完成しました。

 

 

ここからコンポジット・シールド・ブースターのダブル・ライフル化です。

ご依頼により、コンポジット・シールド・ブースターを2つつなげたダブル・ライフルを制作します。

もともとキットには無いアッセンブルなので、それぞれを固定する要素がまったくありません。なので固定はすべて新規ブラケット制作になります。こういうブラケットはノギスで測って計算値で作れたら理想なのですが、実際にやってみると計算通りにならないことがほとんどということを、経験で知っています。なので簡単に切り出したプラ板で仮組し、それを計測し調整してプラ板を切り出し、を繰り返し、ピッタリになったら最終的に本番を切り出す。手数がかかるけど結果的に効率と精度はもっとも良いです。

 

ライフル2つを繋げるのは簡単ですが、右腕を埋めるスペース、およびライフルを垂らさずに保持できる構造を確保するのが難しかったです。

 

さらには周辺とのクリアランスも必要。肩、鎖骨につくマルチアーム、頭部、腰横につくCSユニットとその横につくプロペラントタンク。こっちを動かすとあっちが当たる。

 

何十回の検証をして、いよいよ固定作業に入ります。

 

ロングブレードの固定が丸軸1本のみなので、デザインの範囲内で固定をしていきます。ブレードは薄いので極小のネジが活躍します。

 

ライフル本体は強固に仕上がりました。

 

設定では右手でグリップを握るのが唯一の固定点かな?それは模型ではほぼ不可能なので、右手と前腕で保持するようにしました。

 

左腕は荷重必要ないのでキットのままで仕上げましたが、右腕は実現可能な角度がほぼ一点しかないので、可動部を固定していきます。

 

立体化が不可能な理不尽デザインも多いですが、この機体はちゃんと立体化ができました。この機体をデザインした人は空間把握能力すごいです。もしかしたら最近は3Dモデリングしてるのかな?

 

 

機体のデザインはすごく良いです。キットの設計も金型もすごく良い。僕が苦労してるのは、プラ素材やポリ素材の強度不足です。たとえばHGUCデンドロビウムでは芯材として厚くて大きい鉄板が付属していました。このHGUCハイゼンスレイも結果的にはデンドロに近い大きさなので、できれば金属のフレームをいれたい気持ちです。

 

 

 

 

だいぶ時間がかかりましたが、しっかりしたアッセンブルに仕上げることができました。

 

センサーは可倒式です。ここは閉じたほうがアウトラインがキレイだと思います。

 

 

●クローユニット&スラスターユニットです。

左がスラスターユニット、右がクローユニット。それぞれ2本あり合計4本。肩に2本、腰に2本設置します。

 

 

 

本体(腰サイドジャケット)への接続方法を模索しています。ここにプロペラントタンクも取り付くので、強度や角度がとても需要になります。

 

肩への装着。左はノーマルの取り付け方法です。この位置だと前述したコンポジット・シールド・ブースターと干渉してしまいます。正確にはギリギリ大丈夫なんんだけど、それだとコンポジット・シールド・ブースターの角度があまり良くない。

そこで取り付け方法を変更し、右のように内側に移動しました。これでコンポジット・シールド・ブースターの角度がだいぶ良くなりました。

 

 

フレーム強度改造〜ディテールアップ〜デカールまでしっかり工作をおこなっていますが、同じ文章の繰り返しになるので詳細は省略いたします。

 

 

●肩のメガ粒子砲です。

メガ粒子砲の本体はシンプルな構造です。

 

ここでもコンポジット・シールド・ブースターとの干渉を改善するため取り付け位置を変更しました。もともとこのTR6シリーズは共通ハードウェアポイントが各所にあるので、ユニットの移動は自然なことと思います。

 

マウント方法は左の写真の状態でいったん完成しました。が、完成後に少しだけスペースに余裕があることがわかったので、右のようにL字可動を一つ増やしました。これによって3軸可動でXYZに自由に動かせるようになりました。

 

 

●マルチアーム

ここは成型色がグレーとブルーの2色のみで、パーツ分割も色分けもされていません。細かい塗り分けを加えました。このアーム2本はウインチキャノンの保持に使用されます。

 

さらにマルチアーム・マウント2本は胴体の肩の上に設置されます。ヘッドと肩とのクリアランスがほぼないので、制限があるなかでもベストな位置を確認しています。

 

 

取り付け位置が決まったので、ネジ等で確定させていきます。

 

肩のマルチアームユニットの完成。

 

 

 

●ウインチキャノンです

 

 

独立したユニットなので特に難しい部分はなく、ディテール強化や塗り分け等を行いました。

 

 

 

●ギャプラン・ブースターの追加です。

※今回は、先にハイゼンスレイ本体とフルドドのキットを受け取り、ギャプランブースターは未納の状態で制作を開始しました。本体だけで塗装を進められる時間もあったのですが、ギャプランブースターが届くまで塗装は保留しました。なぜかというと、塗装の時期が空いてしまうと、気温や湿度や紫外線などで色味がズレてしまう可能性があるからです。その後、ギャプランブースターが届いてから全体を塗装しました。こうすることで仕上がりが良くなります。

 

 

ブースターの接続方法ですが、下方向に力がかかるので、とうぜん抜けます。

 

プラバン等でブラケットを作って・・・

 

抜けないようにしました。

 

 

円形・三角・六角の製図は「立体三角グラフ」という用紙が便利です。

 

自作のノズルを取り付けます。

 

ウイングの先端にある「フラグ」は怪我防止かとおもいましたが、設定画にもフラグがありましたので、そのまま残しています。好みによっては切り落としても良いと思います。

 

 

●大型プロペラントタンク2本

今回はプロペラントタンクが4本(大型2本+小型2本)が取り付きます。しかしブースターとプロペラントの位置&角度が、どうしてもデザイン画のように配置できませんでした。とくにブースターの羽根とプロペラントがどうしても干渉してしまって、すごく下かすごく前かになってしまう。(僕の空間把握の読み間違いかもしれませんが)

 

羽根をよけると、とてもこじんまりとしてしまう。羽根よりもすごく前にずらすと、タンクがすごく短くしなければならない。いずれにしてもシルエットが決まらない。

 

 

また、プロペラントタンクの固定方法においてデザイン画どおりのマウント方式だと構造&強度がまったく確保できませんでした。たくさんの試行錯誤をしました。タンクの下にマウントやランディングギアを付けたりもしましたが、ごちゃごちゃ目立ってしてしまうし、ブースターとの位置関係が保てない。最終的に写真のようなブラケット固定式がいちばん良かったのでこれを採用しました。

 

 

それからタンク本体は手持ちのパーツやプラパイプから削り出すなどいろいろ試しましたが、設定を読んでいたら「後のユニコーンガンダム・フルアーマーと共通性のあるタンク」という記述があったので、ユニコーンガンダムのプロペラントタンクを改造して使用することにしました。

 

 

カラーアレンジをするときは、その部分だけではなく、全体的な共通性をもたせるようにしています。

 

 

●小型プロペラントタンク2本です。

手持ちでタンクパーツがいくつかあったので、いろいろ付け替えてバランスを見ています。最終的には、前述の大型プロペラントとデザインが同じになるようにしました。

 

 

 

 

 

 

 

●ここからディスプレイベース(台座)の制作です。

今回は立ち姿でななく、宙にういた状態でのディスプレイです。まずはキット付属の台座を使いましたが、小さすぎて不安定でした。

 

というわけで使いやすく安定感のあるバンダイ・アクションベースを使用。

 

 

さらい追加ブースターを支えるためのアームを追加。この時点では十分な強度がありました。しかしこのあと追加する大型プロペラント等が思ったよりも重量が重くなってしまったので・・・

 

ベース自体を2枚に増やし、アームも独立2本に増やしました。

 

8角形2枚と、4角形2枚をつなぎ合わせて強度&接地面積アップ。アーム類はすべてネジで固定。

 

 

 

 

各部品にスキマがありフラフラするので、プラバンで埋めたりネジ締めしたりして改善。

 

キットに股間接続用アタッチメントがあり、形状も強度もとても良かった。さらにピタピタにすり合わせしてネジ固定。

 

接続アタッチメントもほぼ全部作り直して、安定感を増しました。

 

 

 

 

最後に完成写真を数枚アップ。

上半身から肩・腕・ライフル・腰ユニット・プロペラントなどなどの位置関係は、これ以上ないくらいギリギリピッタリです。

 

かなり試行錯誤したプロペラントタンク4本とギャプランブースター。それぞれの指向性を揃えることで、どの角度からみても整ったシルエットに見えるようになりました。また5本のCLの延長線が腰一点に焦点するようにしたことで、推進の強さを表現しました。

 

ガンダムTR-6 ハイゼンスレイII・ラー第2形態・クルーザーモード 無事完成しました。

 

 

 

2020.12.16 初回仮組みアップ
2021.03.01 ブースター受け取り追加
2021.06.29 完成写真アップ
2021.07.07 制作風景アップ

 

 

 

 

最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

みなさまに、楽しい模型ライフを!