RE/100 ナイチンゲール 改造制作 完成しました。















キット化を何十年も待ち続けたナイチンゲール。ついにRE/100で販売されました。

これから書く記事で、このキットへの厳しい感想をいくつか書いています。でもそれは文句ではなく、ガンプラ40年作り続けての素直な感想です。無理してお世辞を書くこともできますが、それはかえってガンプラの世界を衰退させると思います。なので正直に書いていきます。

キット内容は少し不満な部分もありますが、このキットがあったからこそ改造制作するきっかけになったし、満足する完成品を作ることができました。そしてすでに今回で5機目ですので、大いに活躍しています。キット化してくれたことに感謝してます。これからも「いなだにキット化されない不遇の機体」をREシリーズで出し続けてほしいです。
それでは制作風景です。まずは頭からです。


頭部はとてもキレイな面構成です。でも少しヒケやメクレがあるので、丁寧に曲面を整えていきます。

しかしREらしい弱点もあって、パーツの合いが悪い部分もあるので、何十回と仮組み分解を繰り返して調整していきます。

合わせ目消しで接着剤必須な部分もあるので、十分な乾燥時間を取れるようにスケジュールして進めています。


モノアイはグリーンにしました。
ちなみに市販のモノアイ用レンズはほとんどがプラスチックですが、僕はガラス製のレンズを使っています。表面のなめらかさ、輝き、奥行き感などなど、プラスチックとガラスでは全然質感が違います。
つぎに頭部の位置の改造です。ノーマルだと首がほとんど可動しない。位置が高すぎるし、アゴが上がっている。これを改善します。

まずは首左右のチンガードを紫線でカットしました。つぎにアゴの下のグレーのフレーム(緑矢印)を加工します。

アゴと胸フレームが干渉するので、胸フレーム先端を3つに分割。高さを調整しました。

首はボールジョイントに変更し可動範囲拡大。プラ棒で抜き差し可能にしたので、高さも調整できます。

首のフレームが高すぎるので、7mmカット。

頭部と首周りの改造が終わりました。


胸先端からオデコ、後頭部、背中までのラインが美しくつながったと思います。
胴体の制作です。

REなので可動は少ないですが、そのぶんシンプルで強度は十分です。また最近流行の「こまかいパネル分割」をしてないので、ナイチンゲール特有の流れるように美しい曲面構成が再現されてます。その曲面をさらに整えつつ、ディテールを加えていこうと思います。

切り返しのない単一面の曲面。ごまかしができないので、とてもむずかしいです。でも決まると美しい。
背中のマイナスモールド。



キットのマイナスモールドは削り落とし。穴を大きくして面取りしたあと、丸皿モールドと塗装したマイナスリベットを装着。こういう場合マルイチを揃えるかランダムにするかは、主観で判断しています。ちなみに揃えるよりもランダムの方が数倍難しいです。

この白いダクトは上からポン付け状態。これをテーパー状に削って、内側から突き出すように加工しました。

細かいですが、胸先端裏側にツバがありますが、これをカットしてなめらかな曲線に仕上げました。

ビームマズルは単純なワンパーツなのでPPアポジなどでディテールアップ。

ここは肩アーマーが取り付く部分ですが、今回は肩アーマーの位置を変更したので、余分なスペースができます。そこにメタルシャフトを埋め込んでチラ見えするようにしました。

腰の横の動力パイプはこの周辺を改造すると不必要になります。動力パイプを取り外すとデッドスペースができるので、、、

マウントと小さいウイングを追加しました。

フレームの方は強度を優先して、プラ材やネジで強固に組み立てています。




上半身がほぼ完成。
胴体後端のノズルです。

黄色もグレーもプラの肉厚があるので、フチを薄く加工します。

ディテールのスキマが多いので、メタルパーツを追加。
胴体後部につくプロペラントタンクです。

プロペラントタンクとしては太さと長さのバランスが悪いです。太くすると周辺パーツに干渉してしまうので、長さを短くすることでバランスを取ります。

これは自分で設計したプロペラントタンクです。塗装もしやすいし組み立ても簡単で強度もあります。


郵送やメンテも考慮して、タンク部は取り外しできるようにしました。
腕の製作です。

ナイチンゲールは決定的な設定画が存在せず、長年キット化されなかったのもあって、人それぞれの解釈や理想が大きく枝分かれしてます。またRE100ということで制限もあったと思います。この腕は個人的には、ちょっと(だいぶ)イメージと違います。また頭部や上半身とくらべると面構成が雑で、これをいじっても完成品のイメージができません。

というわけでMGサザビーVer.Kaの腕を移植します。

MGやRGは可動が多いのはいいのですが、部品ポロポロが弱点。ここでは不要な可動はオミットし、強度を優先します。



上腕前腕が完成。

MGサザビーとREナイチンの腕を接続するためのジョイントをプラ材などから新規制作します。




肩の制作も同じく、可動をオミットし、スキマやポロポロを改善しています。

肩と上腕の間にはいるフェアリングです。形状は悪くないのですが、まったく可動しないので周辺とのバランスが取れません。なのでここも交換します。


フェアリングが完成しました。

首を中心にして各ブロックが放射線状に並ぶ、バランス取れた状態になったと思います。
つぎにフロントアーマーの制作です。


全体的に流線型のデザインなのに、フロントアーマーだけ直線的でしかも鉄板リベット打ちみたいになってます。これがとても違和感あります。

というわけで流用パーツで作りかえました。サザビー・アルファアジール・ノイエジールなどとの共通性を意識しました。

自作の塗料「ペール・グリーン・メタリック」はとても気に入っている色で、アクセントとして所々に使っています。しかし残念ながら写真に撮ることがとてもむずかしい。上の写真のように「真っ白」か「真っ黒」になってしまいます。実物は角度をかえると色合いや反射が微妙に変化する、とてもいい色だと思います。

フロントアーマーはボールジョイントなのですが、強度が弱く垂れ下がってしまいます。ボールジョイントは排除し、接続方法を変更しました。

この周辺もプラ版でブラケット作成、ネジ用プラナット埋め込みなどで強化しています。(詳細は省略します)

ノーマルだとダランと垂れ下がっていたフロントアーマーですが、前方に張り出すような角度に変更しました。

サイドスカートは前後の位置関係からあまり改造ができません。なので影響のない範囲でボリュームアップします。

ポリキャップが外れてしまうので、ネジで固定。


マウントやスペーサーを追加してサイドスカートを2重にします。



サイドスカートのボリュームアップが終わりました。

リアスカート。全体が単一の面なので、曲面が滑らかにつながるように全体的にヤスリがけ。車高を低くすると干渉する部分があるのでカット。

なお今回使用してるデカールはすべて自作の水転写デカールです。以前に制作したものをさらにアレンジしました。

リアスカート裏面のプロペラントタンク。こちらは長さ太さともにバランスが良いので、そのまま使います。


このあたりは全体的にパーツのハメ合いが非常に硬いです。なかなか奥まで入らないし、力まかせにハメこむと分解が困難になります。またムリな応力がかかっていると塗装や経年劣化で割れる可能性も。スカスカくらいまでゆるく加工してから、ネジでしっかり固定しています。
リアスカートにはランディングギアがついています。車高を下げるために長さを短く加工します。



タンクの後端がギリギリ3mmくらい浮いた状態にしてあります。
ここから足の制作です。

僕のナイチンゲールのイメージはモビルスーツではなくモビルアーマーです。「人型」ではなくF1マシンとか戦車のイメージ。なのでノーマルだと足が長すぎる、腰が高すぎる。これを重心を大きく下げるために、足は別キットのものに交換します。

このキットの可動部にはラチェットやストッパーがついてますが、設計的に間違っているので機能していません。ストッパーは解除して可動を広げます。
ヒザ関節を短縮する改造です。



フレームや関節を数種類のキットから作っているので、違和感がないように、かつ強度を落とさないように作っています。

多くの可動があって複雑な構造ですので、ひとつひとつすべての機構を理解し、調整し、精度を高めていきます。

ノーマルと比べて、これくらい車高を低くできました。

サフを吹いて表面チェックを数回繰り返し。下地色吹いて塗装します。

塗装の乾燥時間などを利用して、メタルパーツを組み立て。

キットのノズルはフチ薄加工。内部にPPノズルを仕込みます。

アキレス腱のシリンダーを金属に交換。



足もほぼ完成しました。
次にファンネル&コンテナです。

ノーマルです。何度も言いますが、上半身は美しい流線曲面なのに、ファンネルコンテナは残念な感じです。また本体との取り付き角度も不揃いで機能美が感じられないです。

というわけでファンネルコンテナはジャンクパーツを組み合わせて制作します。


コンテナ・胴体・ライフル・シールドなど全体的に方向性が揃いました。
ファンネルビットを制作します。



ファンネルビットは個々の高さを調整し、メタルパーツ埋め込み。

サザビーやヤクトドーガ系のビットと揃うようにしました。
ファンネルコンテナの裏側です。



コンテナ裏側はプラバン等で強度アップしてPPノズルを装着。
ライフルの制作です。

こちらはノーマルのライフル。元デザインとはぜんぜん違うアレンジだったり、モナカ割りなのは仕方がないと思います。でも「重底が干渉して構えることもできない」は、ちょっと困ります。

というわけでライフルも全交換します。

ナイチンゲール本体と共通性をもたせたカラーリングに塗り分けます。


センサーレンズはゴールドで統一。


グリップを削り込んだりプラ板でマウントを作ったりして、しっかりグリップできるようにしました。


グレネードランチャーもメタルパーツでディテールアップ。自作のパーツ類がとても便利です。


ライフルが完成しました。
シールドの制作です。

このデザインが好みかどうかは人それぞれあると思います。でもナイチン本体と干渉してどこにも位置決めができないというのは問題。

というわけでシールドも全交換します。

マウントも作り直して・・・

良い感じに装着できるようになりました。

ヒートサーベルの固定が不安定なので、プラ版でマウントを制作。

シールド先端のランチャーはプラ材やメタルパーツで制作。


このシールドはデザインも抜きも良いので、ほぼストレートに組んでいます。
最後に全体の写真です。




おまけ。

正面から撮ったら、SDみたいな感じになりました。
みなさまに、楽しい模型ライフを!