MGゼータガンダムVer.Ka仮組みしました。
MGゼータガンダムは、初代、Ver2、そして今回Ver.Kaとして3度目のマスターグレードになります。今回のコンセプトは「アニメオリジナルの追求」「史上最高峰の変形」「Ver.Ka」とのことです。
ゼータ変形はRGやPG、ゼータプラスなど多数の変形バリエーションがあります。そんな中で「ゼータ系の最新キット・史上最高峰変形」に期待し、どのように進化したか確かめながら組みたいと思います。
※このあと文中で、初代MGゼータを「V1」、Ver2.0を「V2」、Ver.Kaを「VK」と表記します。
まずは頭部からです。
眼がクリアパーツ、黒クマドリは黒パーツと、ベストなパーツ分割になっています。すべての部位のなかでも眼はいちばん大切な部位なので、この形式はありがたいです。
なお最近のキットでは、ツインアイがかなり吊り目にデザインされてる物があります。これだけ見ると吊り角度が強すぎに見えますが、ヘルメットをかぶせるとちょうどいい感じになります。
あ、いや、けっこう吊り目ですね。正面から見るとアニメに近い面長になってて、これはこれで良いアレンジだと思います。。
V1の頃はアンテナ=ポリパーツだったので加工や塗装に苦労しました。が、いまはアンテナもプラになりました。これはありがたいです。アンテナ先端に安全フラグが付いてなのでとてもシャープ。
つづいてボディの製作です。
コクピット。ゼータのコクピットは、全ガンダムすべての乗り物のなかでも、特別な感情が湧きますね。
「アニメ設定」で胸がペタッとなっています。
左は今回のVer.Ka。右はV1改造中。
自分は「アニメ劇中再現」「公式設定」とかにはこだわりがないです。公式も不安定だし、アニメはゴムみたいに変化するので再現は不可能。自分はちょっと病的な意味で完璧主義なので「完全な指標がないなら、目指す意味ない」「だったら自分の好きに作ろう」という感じで作っています。そういう意味では最近流行っているアニメ塗りや箱絵完全再現とかは、指標もあるし個性も出るので面白い表現方法ですね。
しかし今回のキットについては「アニメ再現とVer.Ka」は根本的に背反するものなので(個人の感想)そもそもコンセプトが間違ってると思います。ベクターアンテナ収納できてアニメもVer.Kaも両方できる!なら良かったのに。
ポリキャップレスで、ほぼKPSの可動です。変形機構が少し変化しています。固定や強度については、V1やV2とほとんど変わってない、フニャフニャ感は残ってます。ただ上半身と腰が分離できるのは、とても良い改善でした。
肩の制作です。
アニメでは2次元のウソ(粘土感)が演出として大切だし、立体化では3Dの整合性は絶対だし、金型やコストの制限もある。さらには人によって好みもある。4つの要素がせめぎ合っています。
鋭角の面同士をピッタリ合わせる、というのは設計として無理があるかな。カトキハジメさんが本気出せば上手くアレンジできたと思うんだけど。長年Ver.Kaデザインを勉強してる自分としては、そう感じてしまいます。
胴体と肩の変形構成は、V1V2やゼータプラスなどとほぼ同じです。ここはもう最適解で、大きく進化する余地が無いかと思います。ゆえに固定強度は低いままで、パーツやポーズが落ち着かないです。
ここから腕の製作です。
最新キットの割にはバリがひどい。
それでもKPS素材の恩恵か、ハメアイや関節強度はけっこう良い感じです。
このキットは固定指です。個人的には可動指よりも固定指の方が好きなので嬉しいです。ゼータガンダムはもともと親指の付け根が独特なデザインで、このキットではかなり頑張って再現しています。
腰の製作です。
基本的にはV1V2やゼータプラスと同じ機構です。ラッチ機能も改善されてるのですが、あまり効果がでておらず、これまでのゼータ変形と感覚は同じです。
ジャケット裏側や小さいディテールがパーツ分割されてます。このへんは改善されてます。
太もも周辺。こちらもV1V2ゼータプラスと同じです。合わせ目が目立たないパーツ分割など、良い感じにアレンジされてます。
ヒザ周りの変形は微妙に変更されてます。V1V2よりもヒザの折りたたみが深くなり、WR形態のアウトラインが薄くてきれいになりました。(WRの写真は下の方に掲載してます)
色分けのパーツ分割がすごいですね。
厳密に比較したわけじゃないですが、足については内部も外見も、MGゼータVer.2.0とほぼ変わってないかな、と思います。
足首もパーツ色分けが細かいです。こういうのは無塗装でも全塗装でも、どちらもメリット多くて良いですね。
スタビ&ウイングの制作です。
ここも従来のゼータ変形機構とほぼ同じです。
固定用のラッチがついてるのですが、設計ミスなのかユラユラしてるのでラッチをはめるのが難しい。あと新規のスライドレールが「設計あきらめた?」っていうくらい強度不足。
20年前のMG Ex-Sガンダムではもっと複雑な変形もきちんと固定できてました。20年後の今ならもっと上手にできるはず、と思うのですが。うーん。
ライフルです。
ライフルは、最新キットの割には精度が低いです。
ゲートの位置やエッジの処理がとても雑です。設計なのか金型なのか。20年昔のキットと比べても、劣ってます。最新キットなのに、どうして??
とはいえ改善もあります。黄色の部分は完璧にパーツで色分けされてます。無塗装派も全塗装派も嬉しい。
グリップの保持力は良いです。グリップが前に倒れるのでライフルが持ちやすいのも良いです。
ライフルを脇に抱えたいですが、実際は腰やテールバインダーに当たるのでこのポージングはできないです。こういうのが「二次元のウソ(演出)」ですね。三次元でやるにはデザインを根本的に変更するしかない。
シールドです。
直線と2次元面で構成されています。ちなみにMGゼータV1やゼータプラスは3次元曲面で構成されてます。ここの違いは大きいんですよね。僕は直線よりも3D曲面が好きです。
黄色の色分けがすごい良い。
見えなくなる部分のディテールも凝ってます。
射出成形と素材について。
このキットは、ゲート位置や面取りや金型精度など、最新キットなのに粗があります。さらに・・・
射出成形の品質も低いんですよね。最新キットなのにウェルドラインがひどい。
シルバーストリークやジェッティングなど整形不良が目立つ。
ウェルドラインがツメで引っかかるくらい溝があります。
クリアーパーツは透明感も射出も良かった。
自分も製造業の経験があるので、コストやロットや納期とかいろいろ厳しいのは知っています。知っているからこそ、魂が宿っているか、手抜きなのか、明確に想像がつきます。
そもそも僕は全ヤスリ全塗装するので射出成形不良はそれほど影響はありません。ただ、でも、人気機体の3代目の最新キットで、しかもVer.Kaなのだから、平均的な期待値よりも上を行ってほしかった。ガンプラ完成品800体、ゼータ系80機作ってきた人間の正直な感想です。
ウェーブライダーモードです。
MS形態がシャープで細身だったのに対し、WR形態はけっこう厚みのあるデザインになってます。
変形の手順は従来のV1V2ゼータプラスとほぼ同じです。ラッチが追加されていますが、あまり効果は出ておらず、ポロポロユラユラします。
V1V2ゼータプラスにくらべると、かなりスキマが多くなっています。これはV1やゼータプラスのほうが美しいです。
足の折りたたみは変更改善されていて、ピッタリキレイに折りたたみます。ここは設計も丁寧に考え込まれていて素晴らしいです。
最後に、個人的な話になります。
自分は模型歴50年、ガンプラ完成品800体、ゼータ系は80体くらい作ってきました。また自衛隊戦闘機の設計や実機整備の経験もあります。それゆえ老害的で厳しい意見を言うこともあります。もちろん無理してお世辞をいうこともできますが、それはガンプラをつまらなく先細りにすると思ってます。
左からV1改造、V1ノーマル、V1改造、V2素組、右端が今回のVer.Ka
ここからMGゼータガンダムVer.Kaの感想まとめです
●このキットは「ゼータガンダムを初めて買う」「何年ぶりにガンプラ作ってみたい」といったライトユーザーの方にはオススメできるキットです。変形もすごいし色分けもほぼ完璧。良いキットです。
●ただ、自分のようなガンヲタには「Ver.Kaなのに、20年昔のキットよりも品質低いのはなぜ??」ていうのが正直な感想です。このキットを「決定版」とするのではなくバリエーションの一つとして考え、また数年後にVer.3.0を出してもらえるのがいちばんいいかと思います。変形についてはもうこれ以上の進化は難しい思うので、MS形態固定でプロポーション重視、WRも固定の2個セットみたいな、思い切った革新・挑戦もいいんじゃないかと期待してます。
みなさまに、楽しい模型ライフを!