MGゼータガンダムVer.Ka

作品番号 Z08

 

MGゼータガンダムVer.Ka仮組みしました。

 

 

 

ここから制作風景です

 

ゼータガンダムとして3度目のMGマスターグレード化。今回のコンセプトは「アニメオリジナルの追求」「史上最高峰の変形」「Ver.Ka」とのことです。ゼータガンダムはRGやHGUC・ゼータプラス・デルタプラスなど定期的に多数キット化されてます。そんな中、ゼータ系の最新キットとしてどのように進化したか確かめながら組みたいと思います。

そして、最初に結論を書きます。 このキットはライトユーザーの方にはオススメできるキットです。変形もすごいし色分けもほぼ完璧。十分に良いキットです。

ただし自分のように40年もガンプラ作ってると「20年前のキットよりも品質低いのはなぜ??」ていうのが正直な感想です。無理してお世辞を書くこともできますが、それはガンプラの世界を先細りでつまらなくするだろうと思ってます。そのため厳しい意見も書きましたが、もちろん良いところもちゃんと見てます。そんだけキットに(模型製作という趣味に)真摯に向き合ってるとご理解ください。

 

 

まずは頭部からです。

眼がクリアパーツ、黒クマドリは黒パーツと、ベストなパーツ分割になっています。すべての部位のなかでも眼はいちばん大切な部位なので、MGはこの形式に統一してほしいですね。

なお最近のキットでは、ツインアイがかなり吊り目にデザインされてる物があります。これだけ見ると吊り角度が強すぎに見えますが、ヘルメットをかぶせるとちょうどいい感じになります。

 

 

あ、いや、けっこう吊り目ですね。これはこれで良いアレンジだと思います。正面から見るとアニメに近い面長になってます。

 

アンテナの変形。昔はアンテナ=ポリパーツだったので加工や塗装に苦労しました。が、いまはプラになりました。これはありがたいです。プラの素材も少し粘りがあって取り扱いがしやすいです。

 

つづいてボディの製作です。

コクピット。ゼータのコクピットにかんしては、全ガンダム全モビルスーツ、すべての乗り物のなかでも、特別な感情が湧きますね。魂がゾワゾワします。

 

「アニメ設定」で胸がペタッとなっています。

自分は「アニメ劇中再現」「公式設定」とかはそれほどこだわりがなくて、けっこう自分勝手な自分の好みに改造することが多いです。それでいうと胸はできるだけ張り上げるのが好みですが、このキットは独特の個性があるので、これはこれで尊重するのも面白いと思います。

 

「アニメを再現」と言われるとちょっと納得できない部分もあります。胸のベクターアンテナなどは明らかにアニメに無いエクイップメントで、コンセプトがブレてます。まぁでも「昭和のガンプラをMGで再現」と言われたら「そうそう、こんな感じだった!」って感じがします。

 

ポリキャップレスで、KPSの可動がたくさんあるので、強度不足でフニャフニャしてます。完成品を作るときはキッチリ強度を確保して、安定安心の完成品にしたいです。

 

肩の制作です。

アニメでは2Dのダイナミクス(2次元のウソ)が大切だし、立体化では3Dの整合性は絶対だし、金型やコストの制限もある。さらには人によって好みもある。4つの要素がせめぎ合っています。

 

胴体と肩の構成は、MG初代とかMGゼータプラスなどと全く同じです。変形も考慮すると、ここはもう最適解で、大きく進化する余地が無いかと思います。

 

ここから腕の製作です。

最新キットの割にはバリがひどい。精度が悪いのか、それとも関節強度調整なのか。

 

ポリキャップなしのKPSフレームで、精度はけっこう良い感じです。

 

固定指です。個人的には可動指よりも固定指の方が好きです。設定デザインから親指の付け根が少々独特で、このキットではかなり頑張って再現しています。オーバルのディテールの大小は個人的には同じ大きさのほうが良いと思います。

 

 

腰の製作です。

基本的にはMGゼータ初代やゼータプラスと同じ機構です。

 

ディテール部が別パーツで色分けされてます。またジャケット裏側のフレームも丁寧にデザインされてます。さすが最新キット。

 

太もも、股間関節、サイドジャケット接続部。こちらもMGゼータ初代やMGゼータプラスと同じです。合わせ目が目立たないパーツ分割など、良い感じにアレンジされてます。

 

ヒザ周りも基本的には従来のゼータ系と構成は同じです。可動など細かい部分が改善されてます。少し贅沢を言えば、パイプとかは別パーツにしてもらえたらもっと良かったかも。

 

黄色などの細かい部分まで色分けされてるのがすごいですね。

 

 

厳密に比較したわけじゃないですが、足についてはMGゼータVer.2.0とほぼ変わってないかな、と思います。

 

足首もパーツ色分けが細かいです。こういうのは無塗装でも全塗装でも、どちらもメリット多くて良いですね。

 

 

バックパックの制作です。

ここも従来のゼータ変形機構とほぼ同じです。

 

固定用のラッチがついてるのですが、そのラッチ自体がユラユラしてるのでラッチをはめるのが難しい。20年前のMG Ex-Sではきちんと固定できてたので、20年後の今ならもっと上手にできるはず、と思うのですが、いかがでしょうか。

 

ライフルです。

ライフルは、最新キットの割には精度が低いです。

 

グリップの保持力は良いです。グリップが前に倒れるのでライフルが持ちやすいのも良いです。ただしこの持ち方だとライフルが下向き逆向きになってしまいます。ポージングが不自然になる。

 

ライフルを良い角度にするには脇に抱えるのが良いのですが、脇のクリアランスがないのでこのポージングは実際できないです。ムリにやろうとすると脇が開きすぎます。これについてはほぼ全部のガンプラで解決されてない問題です。ちなみに、いくつかのキットでは上手にアレンジされてるので、できないわけじゃないんですよね。やればできるはずなのですが。

 

 

あとライフルの金型はエッジの処理がとても雑です。20年昔のキットと比べても、かなり品質低い。最新キットなのに、どうして??

僕は昔、自衛隊戦闘機の設計・製造・整備をやってました。人の命に直結する部分です。基本的にはプラモデル設計も架空兵器ガンダムも設計の基本は同じなんです。自分でも口うるさい老害だなと思いますが、どうしても「本気で良いものを作りたいなら、あとちょっと勉強すればいいのに」って思ってしまいます。

まぁでもプラモデルの場合は自分の好きなように変更できるので、そこが楽しいですね。僕がガンプラを製作改造するときは、脳内でMILスペック図面を製図しながら作ってます。体調を崩すほどリアルを知ってるので、それを模型製作にフィードバックしたいです。

 

とはいえ素晴らしい部分もあります。黄色の部分は完璧にパーツで色分けされてます。無塗装派も全塗装派も嬉しい。

 

 

シールドです。

直線と2次元曲面で構成されています。ちなみにMGゼータ初代やゼータプラスは3次元曲面で構成されてます。似たようですが、ここの違いは大きいんですよね。

 

 

黄色の色分けがすごいよくできてます。このあたりは塗装の順番やマスキングが非常に難しいので、パーツで色分けされてるのはすごいありがたいです。

 

見えなくなる部分のディテールも凝ってます。すばらしい。

 

 

最後に、ちょっと気になったことについて。

このキット、面構成や面取りの設計、金型精度など、最新キットなのに粗があります。さらに・・・

 

射出成形の品質もかなり低いんですよね。最新キットなのにウェルドラインがひどい。

 

シルバーストリークやジェッティングなど整形不良のオンパレード。

 

こことかはウェルドラインがツメで引っかかるくらい溝があります。

 

色味や素材感は良いもの使ってます。ただ射出の品質がとても低い。どうしてこうなった?

 

クリアーパーツは素材感も射出も良かった。

 

コストやロットや納期とかいろいろ厳しいのは知っています。そもそも僕は全ヤスリ全塗装するので射出成形不良はそれほど影響はありません。ただ、でも、人気機体の3代目の最新キットで、しかもVer.Kaなのだから、平均値期待値よりも上を行ってほしかった。ゼータガンダムを30機以上作ってきた人間の正直な感想です。

 

 

ウェーブライダーモードです。

MS形態がシャープで細身だったのに対し、WR形態はけっこう厚みのあるデザインになってます。

 

変形の手順は従来のV1V2ゼータプラスとほぼ同じです。ラッチが追加されていますが、あまり効果は出ておらず、ポロポロユラユラします。これを自分の手で強度カチカチ安定安心の完成品にするのが楽しみです。

 

V1やゼータプラスに比べると半部くらい細身でシャープにしたため、WRでは許容量が足りなくスキマが多いくなっています。これはV1やゼータプラスのほうが美しいです。

 

足の折りたたみはとても洗練されていて、ピッタリキレイに折りたたみます。ここは特にデザイン力が高い。

 

 

 

 

 

ここからはかなり個人的な好みの話になります。

自分の好みとしてはずっとセンチネルが主軸になっています。カトキハジメさんやあさのまさひこさんのデザインは、自分勝手なオレオレ妄想デザインではなく、実際の機械設計や原理原則が考慮されています。自分は自衛隊やアメリカ軍の図面や実機を死ぬほど見てきたので、センチネルの思想があってるんだと思います。

上の写真右はMGゼータ初代(カトキハジメ監修)の改造風景です。よりセンチネル風味を出すために、胸を上に前に張り出すように改造してます。ところが、MGゼータVer.Kaは同じカトキハジメ監修にもかかわらず、胸が下に向いています。アニメ設定とカトキハジメ風味はベクトルが逆なのですが、現実としてこういうキットが出たのは事実なので、どうアレンジしようか楽しみでもあります。

 

左からV1改造、V1ほぼノーマル、V1改造、V2、右端が今回のVer.Ka、です。

 

このキットはライトユーザーの方にはオススメできるキットです。変形もすごいし色分けもほぼ完璧。ただし自分のように40年もガンプラ作ってると「20年昔のキットよりも品質低いのはなぜ??」ていうのが正直な感想です。

このキットを「決定版」とするのではなく、バリエーションの一つとして考え、また数年後にVer.3.0を出してもらえるのがいちばんいいかと思います。変形についてはもうこれ以上の進化はないと思うので、MSプロポーション重視で固定、WRもプロポーション重視固定とかも個人的にはリクエストしたいです。

最後に、この「MGゼータガンダムVer.Ka」の完成品を作るとしたら、自分の好みに寄せるのではなく、このキット独特の個性を生かして作るのが良いかな。キットがどんな状態であれ、それを自分なりに制作するのが模型製作の醍醐味!と思いました。

 

 

制作写真の一部は、過去の制作から流用している場合があります。なぜかというと、制作に夢中になると写真を撮り忘れることが多いからです。また製作工程の時間軸が前後する場合もあります。できるかぎり制作風景をわかりやすくしたいので、そういった処理をする場合がありますことをご了承ください。
最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

みなさまに、楽しい模型ライフを!