MGジム・クゥエルをベースに、MGガンダムVer.Ka・MGジムType-C・その他流用パーツを使ってミキシングビルドのジムクゥエルを製作しました。
今回の制作の最重要課題は、カラーリングでした。
ティターンズカラーはとても難しい色です。設定画や劇中でも様々なバリエーションがあり、機体によってもバランスの違いがあり、人ぞれぞれの理想のイメージがあり、さらに僕自身の中でも数種類のイメージがあります。なので過去に作ったティターンズカラーは、パステル系・彩度高め系、彩度低め系、紫系、青系、黒系など、いくつかのバリエーションがあります。
今回のティターンズカラーについては、すでに先行して完成している ジムカスタム(T43) のカラーと対象的な色になるように、新たに調色することにしました。しかしやはりティターンズカラーは難しく、テストビースでは良かったのに実際にキットを塗装して組み立ててみると納得できなくて調色しなおしたり、さらにはデカールを貼るとまたバランスが変わって塗装からやり直したりなど、何度も何度も作り直しをしました。
デカール段階からのリペイントは実に勇気がいりましたが、モヤモヤしたまま完成さると達成感も低く、すぐ箱に入ってしまうという経験を知っているので、納得できるまでやり直しをしました。そのため同時期に作り始めたジムカスタムから2年遅れでの完成になりました。
なおジムカスと同時に制作したので、制作風景のなかにジムカスのパーツの写真が混ざっている場合があります、ご了承ください。
・古いキットですが、ヘッドのパーツ分割&形状は良好です。
・バリや曲面を整えます。
・キツすぎるポリキャップを調整。
・アンテナはメタルパーツとプラを組み合わせたものに交換。
・センサー類は表面処理をしてEXセンサーグリーン&スミ入れ。
・バルカンはPPロングアポジ1.5-3mmを使用。
首パーツは切り離して3mm後方に移動。頭部の位置をセンチネル&Ver.Kaにする場合、胴体にめり込むほど低くする方法と、首を高くしてアゴを引く方法があります。どちらがベストかはキットにもよるし、好みで選んでも良いと思います。今回は頭部の高さを調整し、アゴ引きを採用しました。
ガンプラのポリキャップにピッタリのボールジョイントを自作しました。これによって精度や強度がアップ、頭部の高さやアゴ引きの調整ができるようになりました。
デコルテパーツは首の移動にともない中央の穴を拡大。整面やスナップフィットの調整、塗り分けの変更などを行いました。
・コアブロックと上半身はネジでしっかりと固定。
・腰のポリキャップがゆるいので、プラ板を挟んで強度アップ。
・腰と上半身のボールジョイントは保持力が完全に不足なので、ネジで固定。
・スナップフィットがきつすぎてパーツにストレスを与えているので、ドリルなどでハメ合い調整。こういったスナップフィットの調整は全身に行っています。
・フレームの精度が定まらない状態だと外装パーツも位置ズレが発生しますので、フレームの制作が決定してから外装パーツの制作に入ります。
コクピットブロックはジムクゥエルのパーツを加工して取り付けています。(集中していたので製作途中の写真を撮り忘れていました)
腰サイドアーマー用ポリキャップの取り付けは、キットの不具合なのかポリキャップが潰れてしまいます。五角形ビットで面取りして取り付けの調整。
・ふんどし後半フレームは歪みが酷いので接合面の面取り。
・ふんどし上部カバーの取り付けにズレがある不具合を、プラ材を使って修正。
・おしりのノズルは面取りなどを行い、PPノズルBを装着。
腰フロントアーマー比較。左がMGガンダムVer.Ka、右がMGジムクゥエル&ジムカスタム。長さや幅やヘリウムコアの形状など、ほぼすべての面構成に違いがあります。今回はジムクゥエルのパーツを使用することにしました。
複数のキットをミキシングする場合、面取りやディテールの差異をできるだけ統一するようにしています。
下半身が完成しました。
・腕部の制作。もともともパーツ割りがイマイチ出来が悪かったのに加えて金型が劣化しているので、細かい調整をメモしていきます。ただし、数年たつと金型改修で改善されていたりするので、毎回毎回チェックが必要です。
・このように金型劣化&金型修正で面が荒れている場合があります。「完成後は見えない部分」でも、面が荒れていると何かしら不具合が出てくるので、キレイに整面します。
・上腕。こういった小さくて持ち手がないバーツは、加工や塗装が難しいです。ここでは余ったフレームパーツを持ち手として使用することで、加工や塗装の精度を上げています。
・古いキットなのでモナカ割りで接着面が出てしまいます。ここは先墨や後ハメなどを併用して、効率と精度を上げています。
・カトキデザインの特徴である「いったん外に出るライン」にするため、ヒジ関節フレームを加工。
左腕。マニピュレータはプロポーションの良いMGガンダムVer.Kaの物を加工して取り付け。
ガンプラの多くが「ライフル銃底と腕が干渉する」「まともにライフルを握れない」という重大な欠点があります。しっかり握れるように右手マニピュレータとライフルグリップを加工し、ネジでしっかり固定しました。また手首の角度をヨー方向に調整し、銃底と前腕のクリアランスをベストに保ちました。
ヒジのマルイチ関節にはプラ材で作ったサークルパーツを埋め込み。右腕ウェポンアタッチメントは使用しないので、ここもプラ材でフタを自作しました。
途中写真を撮り忘れましたが、肩はジムクゥエルを加工しました。フレームパーツが軟質樹脂で精度強度ともに弱いですが、ここはムリに可動する必要もないので、本体側に固定にしました。
・股関節はポリキャップとフレームを切り欠き、大股開きできるように修正。ヒザ関節は固定にし、カトキハジメ・デザインの最適なラインを再現しつつ、しっかり自立するようになりました。
ヒザのマルイチ関節にもプラ材で作ったサークルパーツを埋め込み。
足甲上の凹ディテールには、プラ材で作ったディテールを追加。
チラ見えするフレームにメタルパーツを追加。
・スリッパ。Ver.Kaとジムは微妙に形が違います。今回はVer.Kaを使用。
・足首ボールジョイントがキツいので、ドリルで調整。
・足首ポリキャップがゆるい不具合があるので、プラ板を挟んで固定。
・ここの足首ポリキャップがゆるいので0.5mmプラ板を挟むのが定番になってます。今回も同様の加工をしたのですが、なぜかパーツが収まらない。どうやらさいきん金型修正があったようで、スキマの寸法が変わっていました。改造データを長年蓄積するメリットは多いですが、ときどきこういった理由でノウハウが崩れることがあり、再度調整しなければならないのはすこし神経を使います。
スナップフィットや接着剤の固定だと、経年変化でプラが割れたり接着剤が外れたりします。ネジを使って固定することで、劣化しない完成品になります。完成写真の足元を見てください、しっかり接地していると思います。
四肢を大きく飛ばした派手なアクションポーズと比べて、シンプルな立ちポーズは実は非常に難しいです。芯の通った体幹・左右対称・横から見たS字姿勢・足裏の接地感・配色のバランスなど、美しいシルエットにするには多くの要素をしっかりクリアーしていないといけません。模型歴が長くなるにつれ、シンプルほど美しく難しいことを実感します。
足首のマルイチにも、プラ材で作ったサークルパーツを追加。
バックパックです。大きさに対してノズル2個ではバランスが合わないので、ノズルを4つに増やす加工をしています。
・メインノズルはPPノズルCx4個。
・上方はPPノズルBx2個。
・サイドはアポジ3mmや丸皿+マイナスリベット。
・その他こまかいメタルパーツ取り付け。
この変形ポリキャップは本来はバックパック側に付くものですが、取り付け位置の微調整と強度を考慮して、本体側に固定しました。
ビームサーベルはキットのものを加工し、マイナスリベット3mmや面取りパイプJ4mmなどを追加。
・シールドはシンプルながらもアウトラインがきれいです。
・オリジナルデカール貼り付け。
・丸皿モールド+マイナスリベット6mm。
マウントはMGジムType-Cを加工、自作のボールジョイント4mmで可動範囲が大幅に拡大しました。
ビームライフルはマズル下のセンサーをメタルパーツにするなど、ディテールを加工しました。
ジムクゥエル、苦労の甲斐あってイメージ通り完成しました。
みなさまに、楽しい模型ライフを!