STUDIO-RECKLESS製
1/144 レジンキット
MSZ-006A1 ゼータプラスA1
モビルスーツ・モード

作品番号 V35

 

製作依頼を頂いておりました、スタジオレックレス製レジンキット ゼータプラスA1・モビルスーツモードが完成しました。

今回はレックレスのプロポーションを重視しつつ、仕上がりはMGゼータプラスA1試作機カラーの完成見本を目指すオーダーでした。そのため赤白塗り分けラインの追加やデカールの新規作成なども行いました。なお本作はモビルスーツモードとウェーブライダーモードの2機同時製作です。ウェーブライダーモードも併せて見てください。

 

 

 

 

ここから制作風景です

 

まずはじめに、今回は製作期間1年という長期製作になってしまいました。理由は2つあって、一つはレジンアレルギーが再発してしまって体調の良い時しか製作ができなかったこと。もう一つは当キットの組み立てが非常に難しかったため、ほぼ全体を作り直したこと。製作が予定よりも大幅に遅れてしまったのですが、諸事情をご理解いただき長期間待っていただいて、本当に感謝しています。

 

それでは制作風景です。

レジンキット製作の場合、まず説明書をコピーしてパーツチェック・熟読とメモ書きを行います。それから仮組みを行いました。

通常のGKと違い、このキットは複雑なパーツ構成になっております。そしておそらく、すべて接着で組み立てる想定になっているんだと思います。しかし僕は、製作の効率化・接着剤の強度不安定と経年劣化・納品後も長く安定・後のメンテナンス性などを改善するため、できる限りネジでの組み立てを行っています。

そのほか様々な改造改修を重ねた結果、フレーム構造はほぼ100%修正になりました。どこをどう修正したかを全部書くと非常に長くなってしまいますし、同じ文言の繰り返しになってしまうので、主要な(分かりやすい)部分だけをピックアップして掲載しました。

 

レジンキットの製作は、短期集中か長期間のどちらか極端になることが多いです。いずれにしてもパーツの管理がとても大切です。

 

 

ヘッドパーツは2種類ありました。微妙な造形の違いがあるようですが、抜きの状態の良い方を製作することにしました。

 

ディテールやアウトラインは良好。パーティングラインやバリを丁寧に処理します。

 

上半身は基本的な構成なのですが、レジンがヒケてしまったのかダボが合いません。ダボは切り落とし面を平らにし、各パーツの位置関係を調整したあと、ネジでキッチリ組み立つようにしました。また見えない部分にもディテールが入っている凝ったキットなのですが、強度を優先して埋めるなどの加工もしました。

ただし上半身だけを先決することはできなくて、肩やスタビライザーなど沢山の接続品の位置関係も微調整が必要なので、全部仮組み・ばらして上半身微調整・また全部仮組み・・・を30回くらい繰り返しました。

 

 

パーツの肉厚が薄いため歪んでいる部品が多いです。お湯で戻すのもパテを盛るにしても、パーツが薄いので修正ができない。他のパーツに干渉しないギリギリまで肉盛りや裏打ちをし、少しでも強度を確保してから修正を入れます。

 

上半身が出来上がってきました。これから沢山の部品が付くので、しっかり強度をもたせました。

 

腰リアアーマーはフリップフロップ貫通方式でしっかり位置決めを行いました。ここは荷重がかからないのでシャフトに差し込むだけで強度十分と判断します。接着しても良いのですがメンテ等が難しくなるため、接着するかどうかは完成後に判断しようとおもいます。

この他の部位でも、位置決めが必要な場合は基本的にフリップフロップ貫通方式で行っています。手間はかかりますが、正確で強度のある位置決めができます。

 

 

肩のフレームパーツです。ここも肉厚が薄いので全体的に変形していて、肉厚が薄いがゆえに強度が取れなく、修正することができません。可能な限り頑張ってみたのですが、新造したほうが早くて正確で強度も安心と判断し、最終的にはプラパーツから新造しました。

 

ヒジ関節もスケールゆえ厳しいスペースです。耐久性のあるスペーサーを挟み込んだりして改善しました。

 

 

左右共通型のパーツは早い時点で左右を決めておくと、精度が上がります。

 

股間フレームです。接合面の面だし、シャフトをより太いプラ材に置換、角度固定用のラッチ追加、などなど。

 

 

股関節と太ももの接合部も、シャフトの別パーツ化&大型化など、大きく変更しました。

 

 

太ももは前後の平らなパーツをあわせるだけなので、そのままでは強度不足。3本のネジでしっかり固定できるようにしました。ヒザとのジョイントも大きく変更しました。

 

各パーツが正しい位置にガッチリ収まりました。

 

 

全身にわたって改造修正を行っていますが、あまり派手にやってしまうとレックレスではなく自作完成品になってしまいます。なのでできるだけキットの素性を残すように、改造するにしても結果が露出しないように気を使って製作しました。

 

 

パーツ構成が複雑な足。歪んだ面はヤスリで整面するのではなく、いったん大きく削ってプラバンを装着することで整った平面を得るようにしました。またプラバンがあることでプリップフロップ位置決めができるようになるメリットもあります。

 

 

フレームが決まったら、表面処理やディテールに取り掛かります。

 

足首はジョイントがフレームではなくディテールにマウントされる構造でした。これをフレームにマウントできるように大幅に変更しました。同時に、完成後も足首が取り外せるような構成にしました。

スリッパはカカトとつま先の接合面がほぼゼロだったので、機械的結合するように改造。ここは自立させるために非常に重要な部分です。

 

 

パーツ接合面がナナメや曲面が多かったので、平面で接合するように加工。

 

 

中身はほぼ入れ替わっっていますが、表面的なアウトラインやディテールは残してあります。

 

テールスタビを背負っても自立できるように仕上がりました。

 

 

太もも上端にマウントされるビームランチャーなのですが、説明書通り組み立てると写真のとおり干渉してしまいます。(僕の認識不足かもしれませんが)。いずれにしてもボールジョイントもシャフトジョイントもユルユルなので、全体的に新造しました。

 

もとの穴を埋めて、プラパーツと自作ボールジョイントに置き換え。

 

ネジ部の回転とボールジョイントとシャフトスライドの4自由度があります。が、デザイン的にほとんど動かせないのでベスト位置で固定でも良いと思います。完成後に判断する予定です。

 

 

テールスタビのマウント。繰り返しになりますが、肉厚が薄いので強度が取れません。接合面がナナメなので位置が決まりません。全体的に改造しました。

 

フレームに影響されないパーツは、スキマの時間を利用して整面ディテールを進めておきます。

 

 

バインダーです。ここは製作効率化や完成品梱包郵送も考えて、取り外しできるように加工しました。

 

スペースが極小なので細い真鍮線を使って接合面を増やしました。バインダーはあまり重くないので、十分な強度です。逆に、あまり強固にしてしまうと別の部分に応力がかかって破損しやすくなるので、ある程度の遊びと逃しが必要な部分です。

 

 

シールドは肉厚があるため変形もなく加工もスムーズでした。赤白ツートンにするための塗り分けライン追加などを行います。

 

 

シールドと腕の接合ですが、いろいろ試行錯誤した結果、強力な磁石で行うのがベストになりました。シールドの重さを支える磁力があるのはもちろんですが、不意に引っ掛けて負荷がかかったら外れる構造にすることで、腕や本体にダメージが行くことを防ぐのが最大の目的です。トラブルが無いのが理想ですが、日常的にありうるトラブルを想定してリスク回避しておく完成品は、より安心できるとおもいます。

 

 

ライフルはユガミが少なくて助かりました。銃底と前腕が干渉しないように、グリップを改造。

 

 

単独での自立も可能に仕上げました。しかしデザイン的にどうしても後ろ重心になります。地震等で転倒してしまうのはもったいないので、ディスプレイベースも用意しました。左右で6つのネオジム磁石を埋め込み、取り外しできるようにしました。

 

足裏中央にネオジム磁石埋め込み。カカトは中空構造で肉厚が取れないため、磁性式の金属を2箇所埋め込みました。それぞれ周りのディテールに馴染むようにしました。

 

 

目安として、逆さにしても保持できる磁力です。

 

 

塗装が終わったパーツは、緩衝材の上において、上からカバーをかけて保管。

 

 

クリックすると拡大します。

 

おまたせしました、ゼータプラスA1・MSモード完成しました。

 

 

 

最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

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