RG ニューガンダム・バーミリオン仕様が完成しました。
RGニューガンダムはプロポーションもディテールもほぼ完璧な超優良キットです。しかし多くの可動やパーツ分割の弊害として「関節グニャグニャ・パーツポロポロ」という欠点も持っています。本制作では「ギシギシポロポロしない、しっかり自立する、安心感のある完成品」を目指して制作しました。写真では伝わりませんが、手にとった時に「重量感・安心感」を感じる完成品になったと思います。
そして今回のカラーリングはバーミリオン仕様で仕上げます。オレンジとレッドとイエローの3色は色相が近いため組み合わせがとても難しい色なのですが、以前からどうしてもこの3色を使ったカラーリングがやりたくて長らく試行錯誤してきました。それぞれ単色ならば納得してる塗料があるのですが、3つを組み合わせると急激にコントラストが乱れたりで、非常に難しかったです。自分で塗料をつくるようになってからやっと納得のできるバランスになりました。
オレンジ系3色の鮮やかさを引き立てるために手足のホワイトはウォーム強めのホワイトで塗装、フレームのメタル表現は少なめにするなどしてコントラストを調整しました。
また、オレンジ系3色は写真撮影も難しかったです。特にオレンジ色が黄色っぽく写ってしまう現象に悩まされました。カメラに詳しい方、ご教授いただけたら嬉しいです。
ここから制作風景です。
フェイスはフレーム・センサー・マスク・アゴの4パーツで構成されています。フォルムやディテールは良好なので彫り込みなどでコントラスト強化。組み立て時のフィッティング精度が少々悪く、そのまま組み立てると最終的にスキマができてしまいます。接合面やダボを調整して、正しくフィットするように調整しました。
頭部バルカンはキットのパーツを切り落とし、PPロングアポジ1.5-3mmに交換。トサカの断面が荒れているので整面&フチ薄面取り。ホホのラインのスジボリ強化、ヒサシ・アゴなどのアウトライン変更。
小さくて奥まっているので写真では撮りきれなかったのですが、左右のインテーク・後頭部のスリット、薬莢排出口などはディテールを強化したうえでグレー数色で塗り分けています。
黄色・オレンジ・赤が集まる部分です。
ノーマルの頭部は、位置が少し浮いてる感じがします。首のマウントを1.2mm後方に移動。キットのボールジョイントを切り落として自作のボールジョイント4mmに交換し、頭部を1.7mm低くするともにアゴを引けるようにしました。また首マウントの白は頭部とのカラーコントラストが悪いので、グレーに塗装。
首のボールジョイントは自作パーツです。耐久性・耐摩耗性に強いエンジニアリングプラスチック素材をCNC切削で削り出しているので、精度も強度も非常に高いです。写真では伝わらないのが残念ですが、ヘッドパーツを動かすと全くガタがなくスムーズに動かせる、非常に気持ちの良いボールジョイントになっています。
頭部を1.7mm低く1.2mm後ろに移動するとともに、アゴが引けるようになりました。キットそのままでも悪くはないのですが、こうして比較するとキットノーマルは首が長すぎることが分かると思います。
胴体は可動を盛り込んだ影響で強度不足でグラグラです。これをしっかり自立させるために、プラ材やネジを使ってフレームを強固に組み上げました。肩のせり出し機構もポーズ保持できないくらい弱いので、ベストの位置で固定しました。
胸ダクト(黄色)のディテールが甘いので、プラ材で自作したベクターダクトに変更。左胸のセンサーは面取りと奥行きを修正。F18・F19の納まり位置が不安定なのを修正。
肩は可動が多いのは良いのですが、各パーツの位置が落ち着かず隙間が多くできてしまいます。ここは各パーツのすり合わせをして固定。肩外側スラスターのイエローの塗り分けがレベルダウンしているので、設定画のように塗り分け。アムロレイ紋章とアムロラインの自作デカールを貼り付け。
前腕側面のスラスターディテールは一体成型になっています。ここはディテールを切り落とし、PPアポジ2mmを埋め込みました。ビームサーベルは着脱式ですがグラグラなので、シルエット重視で固定。また左腕前腕はシールドマウントがラッチされるので、強度を確保できるように組み立てました。
右腕。ライフル用マニピュレータはほとんどのガンプラで保持力が弱すぎるため改造が必要でしたが、このキットではシンプルながらしっかり握れるように改善されていました。
股間フレームは可動を大きくした弊害で、強度不足でグラグラで自立しません。しっかり自立させるために治具を使って強固に固定しました。
可動箇所が多いですが、それが返ってポージングを難しくしています。前から見も横から見てもキレイな立ち姿になるポジションを、何度も何度も調整して探し出します。好みにもよりますが、ベストな位置は実は一点のみです。
可動範囲の調整、フレーム強化、HWSアタッチメントのスポイル、塗り分け追加など工数の多いアッセンブルですが、しっかり仕上がりました。
他のRGシリーズとは異なり、このキットではアドバンスドMSジョイントは不使用。またポリキャップも不使用で、プラ材の摩擦のみで関節が構成されています。パーツ自体も小さいため、プラ材に負担がかからないように関節調整または関節の解除を行っています。
また連動スライドなどのギミックが仕込まれていますが、ラッチが無いため決め位置から逃げてしまう不具合があるので、正しい位置に収まるように修正・固定しました。
両足の開き具合を拡大するためにフレームとアウターパネルの一部をカット。ヒザ周りは3箇所の可動ギミックは、キレイな立ちポーズになる角度で固定。
ふくらはぎのノズルはPPノズルCに交換。フレーム色はオレンジ3色に合わせて明度と色相を変化させた数色で塗装。
キットでは省略されいているカカトのイエローの塗り分けを再現。足裏ノズルはペールグリーンメタリックとPPアポジ3mmと面取りパイプJ薄型4mmに変更。
四肢を大きく飛ばす派手なアクションポーズと比べて、シンプルな立ちポーズは実はとてもむずかしいです。芯の通った体幹・左右対称・横から見たS字姿勢・足裏の設置感・配色のバランスなど、美しいシルエットにするために考える要素がとても多い。模型歴が長くなるにつれ、シンプルほど美しく難しいことを実感します。
安定して自立させるためには、足裏の平面性が大切です。ガラス板を使ってソールパーツ接地面を完全平面固定で仕上げています。完成写真の足元を見てください、しっかり接地していると思います。
ちなみにこういう固定をする場合「広げてから真っ直ぐ固定」と「縮めてから真っ直ぐ固定」では、結果は同じ「真っ直ぐ」でも強度が大きく違ってきます。応力や可塑性を想像しながら正しい選択をしなけれればなりません。
バックパック。ウィングファンネルにするためマウントを変更。キットでは塗り分けが簡易変更されているので、設定画に習って塗り分け。メインノズル4つはPPノズルBに交換。
ファンネルの可動部は異素材一体成型のアドバンスドMSジョイント。このジョイントは素材が柔らかいので粘る可動には良いのですが、そのかわり直線や直角にするには向いてません。今回は固定で仕上げるので、ジョイントの可動部を解除し、ファンネルを真っ直ぐや折りたたみにした時の精度をアップしました。
キットだと結合部の制限から高差が11mmになり、そのままだと段差が大きすぎます。結合部を解除し、自然な段差でマウントできるようにしました。
デカールはすべて自作しています。プリンタ設定・ヘッド熱ユニットの改造・インク・用紙・フォント厳選など突き詰めた結果、0.3mm程度の文字でも読める精度のデカールになっております。ただ、あまり情報を詰め込みすぎてもバランスが悪くなるので、わざと潰すようなこともしております。
バズーカ。小スケールながらもできる限りのパーツ色分けを行っていて、非常に良い設計になっています。またMGニューガンダムVer.Kaではバズーカとバックパックとの接続が致命的に弱かったのですが、RGではシンプルかつ強度な接続に改善されておりました。
マズル口の精度が悪く、フェアリングパーツが収まりにくい不具合を修正。マズル先端の黒ガードの内輪が歪んでいる不具合を修正。一体成型のセンサーをグリーンで塗り分け。マズルとレシーバを後ハメ加工。ディテールの修正などなど。
バズーカの弾丸です。設定画が赤なのでキットも赤なのは納得です。しかし兵器として道具として赤単色っていうのは違和感があるので、グレーで塗装しメタルパーツでディテールアップ。
スライド機構等はオミットし、バックパックに背負った状態のシルエットを最優先で仕上げました。
ライフルは合わせ目が目立たないパーツ分割で、まとまりが非常に良いです。黄色いパーツがデザイン的に追加されていますが、ここは好みで黄色でも白でも良いですね。
内部フレームはグレーやメタリックやイエローなど5色で塗り分け。
マズルやセンサーにメタルパーツ埋め込みなどなど。少し手を加えるだけで非常にバランスの良いライフルになりました。
シールドの表面はディテール多めにアレンジされています。そのぶんデカールを貼るスペースは小さくなったので、最大面に合わせてデカールを新規作成しております。
シールド裏面は簡略ながらもディテールのメリハリがあるので、塗り分けをすることで情報量を増やしました。ミサイルも設定画どおりの赤ですが、やはりグレーに変更しメタルパーツ追加。センターのビームマズルも塗り分けとPPアポジを追加しました。
カラーリングに苦労したぶん、やっと納得の仕上がりになりました♪
みなさまに、楽しい模型ライフを!