制作依頼を頂いておりました、RGサザビーが完成しました。
このRGサザビーは、元のデザインからは大胆にアレンジ(&変更)されてますが、素晴らしくセンスが良いので違和感なくまとまっています。最近流行りのハイディテールのなかでもダントツに意味のあるキットだと思います。また、あまり目立たないですが微妙な曲面の構成も、とても美しいです。
ですので、逆に言うと手が入れにくくオリジナリティを出しにくいキットです。なのでキットの素性を生かしつつ、フレーム強度調整や細かいアウトラインの修正などを行い、さらに完成度を高めることを目標にしました。
RGサザビーは過去数機作っていますが、今回は久々の制作なのでまず素組をチェック。また前回までの改造メモも目を通し、制作の段取りをつけます。
キットのアウトラインは十分美しいので、それを潰さないようにパーティングラインやヒケを処理。脱出ポッドはエマージェンシーレッドで塗装。モノアイはキットのものを削り、丸皿3.2mmとレンズ2.5mmに交換。このときモノアイの位置を少し上にするために、ヒサシやフレームを削って加工しました。
スナップフィットがキツすぎて正しい位置に差し込めなかったり、可動部がゆるくてパーツがズレるなど構造上の制限があります。これらをすべて調整し、固定して仕上げます。マスク部分は少しだけ上と後ろに移動し、精悍な印象にしました。
上半身のフレームは細かくパーツ分割されていて色分けにはメリットが多い。そのぶん強度が低下してるので、しっかり調整。
腰の動力パイプは曲げ半径が急すぎて機械設計的にNG、そして基本が崩れているのでディテールもNGです。ここは自作の動力パイプ4mmに交換。動力パイプの取り回しが自然になりました。
腰中央の拡散メガ粒子砲はPPアポジ3mmを埋め込み。肩のせり出し機構は強度が弱くポーズがまったく保持できないので、ベストの角度で固定しました。
腕は可動もパーツ構成もかなり複雑です。上腕はスライド機構がありますが、あまりメリットがないうえに強度不足でグラグラなのでシッカリ固定。前腕もギミックがありますが色々な面でちょっと無理があるので、固定して強度を優先。
ノーマルのままだとグラグラ・ポロポロでストレスを感じますが、強度をしっかり確保すると安心して動かせるようになります。気持ちが良いです。
シリンダーシャフトは少し太めのアルミシャフトに交換。
機構が複雑に詰まっててクリアランスに余裕がないので、削るにしても追加するにしてもすり合わせが難しい部分です。
ノーマルの肩。ノズルのディテールが甘いのは仕方がないのですが、上部カウルの内側がスカスカなのは少し目立ちます。
PPノズルやアポジなどでボリュームアップ。
デカールは新たにバランス取りしたものを作りました。
上半身が完成。
腰回り。パーツ分割もデザインアレンジも完成度が高いです。
サイドスカートはPPノズルCに置き換え。
腰回りのフレームはアドバンスドMSジョイントなので強度がまったくありません。すべて調整または固定します。
もとのディテールが多いので、メタルパーツやデカールは少なめにしてバランスをとっています。
足のフレームは複雑ですが強度はしっかりあります。さらに細かい微調整をすることで、パーツの位置や強度をさらに改善しています。
パネルが開閉可動するのは面白いのですが、閉じたときにピタッとした位置にならない。それと最近流行りの明暗ツートンカラー成形ですが、自分のセンスには違和感があります。なので今回は開閉機構をオミットし、パネル同士をツライチで接着。カラーは統一しました。
アウトラインの不統一感がとてもむずかしい足部ですが、元のデザインを壊さない範囲で絶妙にアジャストしてます。
足裏は4分割で可動するのでまったく接地感がありません、まるで「一本下駄」を履いているような不安定感。ここではガラス面を使って足裏のツライチを作っています。
フレームが決まったら、アウターのディテールなどの工作に入ります。
サザビーは多数のスラスターがあります。PPノズルに交換するとボリュームアップと精度アップ効果がとても高いです。
ファンネルは上下スライドと下半分の4枚フィンが可動するギミックは凄いです。でも、さすがに小さいため精度が悪く、この4枚フィンを取り付けるとファンネルの真円と高さが不揃いになります。今回はファンネル収納状態で精度を最優先で固定に仕上げました。
ファンネルビットマズルはメタルパーツに置き換え。丸皿4-5mm・PPアポジ4mm・ロングアポジ2-4mm・変換シャフト121mなどで構成されてます。
ファンネルコンテナも程よいアレンジと、開閉やスライドなどのギミックも追加されていています。今回は収納状態で固定しました。
プロペラントタンクは黒一色のモナカ割でした。接着・合わせ目消し・塗り分けライン追加。
ライフルも元デザインから全体的にアレンジされ、完成度が高くなってます。
全体のシルエットは良いので、細かいディテールを調整しました。
「ガンプラはライフルをちゃんと持てない」という欠点が改善されず長く続いてます。このキットではグリップの回転と手首の可動でちゃんとライフルを持つことができます。今回はさらに可動範囲の拡大と、摩擦強度の調整をしました。
シールドもディテールが多めに入っていて全体のアウトラインも完璧です。
塗り分けを追加したり、メタルパーツを装着などなど。シールド表面はディテールが多く入っているので、デカールは小さめでアレンジしました。
本体に比べるとウェポン類はアレンジの度合いが少なめな感じです。塗り分け色を増やしたり、ツヤを変えたり、メタルパーツを追加したり。
なお今回はメインの赤は新色です。
シャアの機体で使うレッドは暗めで重厚感を出したり、逆に鮮やかな赤やピンク系など、いろんなアレンジがあります。さらに下地色や面構成の違いでも赤のバランスが大きく変わったりします。なのでシャア専用レッドは常に「新しい色ができないかなぁ」と試行錯誤しています。そしてここ最近、とても良い赤が出来上がりました。できるだけ原色材だけで作ったので混じりけがなくとても鮮やかで、とても気に入っています。
RG サザビー、完成しました。
みなさまに、楽しい模型ライフを!