PG 1/60
パーフェクトグレード
RX-178
ガンダムMK-II

作品番号 ZB05
2025.11.24 掲載

 

 

2001年販売の PG ガンダムMK-II を最新の素材と技術で制作しました。

 

 

 

 

ここからバズーカ装着状態です

 

 

ノーマルとの比較です

 

 

ここから制作風景です

 

■2001年に販売された「PGガンダムMK-II」を、最新の素材と技術で改造制作しました。

■キットの素性を活かす、25年前の当時の雰囲気を残す、さいきん制作したPGゼータガンダムと共通性をもたせる、などのテーマを持って制作しました。

■今回の制作内容は非常にボリュームが大きく、写真だけでも5000枚以上あります。全部掲載すると長くなりすぎてしまうので、基礎工作やキット自体の説明は省略しています。特有の改造内容と、自分自身の製作メモと言う感じで記しています。

■工作内容のほとんどが「パーツの位置ズレを微調整」「強度不足を改善してネジで固定」「謎の多重C面を美しく整面」です。本文中に何度も何度も言ってるのでしつこく感じるかもしれませんが、あらかじめご理解ください。

■キットの品質の良い部分については改造もなくスムーズに進むため、写真も解説も少ないです。逆に改造するといこうことはキットの欠点があるということです。そのため欠点指摘や不満の文章が相対的に多くなっていますが、決してキットを否定する気持ちはありません。楽しく制作し、満足する完成品になりました。

 

それではここから制作風景です。まずは頭部です。

ひさし中央に合わせ目が来てしまうのは古いキットゆえ仕方ないかな。それ以外は面構成もディテールの精度も非常に良いです。

 

ガンダムの顔については人それぞれ多くのイメージがあります。キットではとても良くアレンジされていて万人受けだとおもます。個人的にもまったく違和感なく、このままでOKなバランスです。

 

ヘルメットの左右のパーツの収まりが悪く、スキマができてしまう。まずはここから修正します。

 

このPG MK2は、さいきん制作したPGゼータガンダムと共通のデザインが多いです。

このあたりのパーツ構成もPGゼータとほぼ同じ。なので工作手順もほぼ同じになりました。フレームパーツのクリアランスに余裕がないのでヘルメットパーツが閉まりきらない。なのでフレームをカット、ポリキャップもカット。

 

ヘルメットパーツの内側のダボですが、たぶん金型劣化からの金型修正で、当初の設計とは寸法が変わってると思います。赤矢印のような「かまぼこ状の盛り上がり」はたいてい後付の肉盛りです。(ガンプラ歴45年の経験からの予測)それが原因でヘルメットの閉じが悪い。

 

いろいろ加工してピッタリになりました。

 

フレームが決まったらアウターパネルの工作をします。

このキットには「謎の多重C面」が多数あります。

僕は自衛隊と米軍の戦闘機の設計を経験してます。「面取り」というのは機械設計的に何らかの意味があって加工するものです。でもこれは「それぞれの面の意味がわかってなくて、適当にごまかして作った」という感じ。ここだけで7つの面がありますが、これを整理して3つの面にしました。

 

実機とプラモの設計はまったく別のものですが、それでも「その設計に魂がこもっているか?」というのは見れば分かります。

 

話が脱線しましたスミマセン。制作にもどります。

頭部側面にはスキマがあるデザイン。ノーマルだとスキマの間隔がズレていますが、改修してクリアランスが一定になるように揃えました。

 

ツインアイはLED発光を考慮して透明パーツと黒のハイブリッド。形状や精度が良かったので基礎工作だけで良い感じに仕上がりました。

 

アゴの裏側の肉抜きを埋めます。

 

MK2はクマドリは白です。このキットでは他のガンダムと共通の赤のクマドリが内蔵されてます。それを白いクマドリで隠す。隠しギミックとして面白いですね。良いアレンジです。

 

トサカには合わせ目があったので処理。

 

こういう小さいパーツはツマヨウジなどに接着固定してからヤスリ塗装を行うと精度が出しやすいです。

 

ヒサシに合わせ目があるので接着して合わせ目消しするのですが、接着面が小さいので強度が取れません。小さいネジでピタピタに固定してから接着合わせ目消しを行いました。

 

頭部が完成。とても良い感じです。

 

※ときどき写真にノイズが入ってしまってます(耳の上の白い線)。このノイズが編集のどの段階で入ったのか不明です。特定できしだい改善する予定です。

 

 

ここから首周りの改造です

丸穴がノーマルの首の位置です。これを8mm後方に移動しました。

 

ノーマルと改造後。さらにアゴが引けるように首周りを改造しました。

 

首周りはこのあと更に改造します。(後術します)

 

 

バルカンポッドの制作です

モナカ割りの合わせ目消し。ここのパーツ精度は良好。センサーは一体だったので、プラ材で別パーツを制作。

 

マズル部はPPアポジ1.5mmステンなどのメタルパーツを埋め込み。

 

アンテナはモナカ挟み込みで微調整が効かないなど不都合が多いので、後ハメ加工して可動もできるようにしました。

 

右側のポッドもモナカ割り。もともとのデザインがシンプルなので微調整などの工作。

 

給弾ベルトは軟質樹脂。表面処理して足付け、プライマー処理して塗装。

 

 

バルカンポッドが完成。

 

 

取り付け方法はキットノーマルのまま微調整。荷重はかからないので保持は十分です。

 

しかし。バルカンポッドの装着には問題があります。

バルカンポッドの給弾ベルトがかなり後ろに張り出しています。これは頭部がノーマルの位置でもバックパックに当っていまいます。

 

頭部を後ろに移動したらバルカンポッドを取り付けるクリアランスがまったくない。じつはこの問題はキット仮組み段階から意識していました。

 

案Aはプロポーション重視で頭部を後方移動、バルカンポッドを諦める。案Bは頭部の位置をノーマルにもどしてバルカンポッド脱着できるようにする。案Cは給弾ベルト殆ど見えないのでパーツをオミットする、頭部は後方でバルカンも装着できるので良さそう。

案Dとして、頭部(首)を差し替え式にすればほぼすべての組み合わせが可能になると考えました。

問題はそれほどのスペースと強度を確保できるか?写真のように空間があるし、裏側のリブはもっと複雑です。パズル的な複雑な改造になりましたが、ポリキャップを2つ配置することができました。

 

バルカンをつけた状態での、頭部の位置の前後。メカニカル的に考えると「バルカンを装着するときは頭部が前方にスライドする」という機能はアリですね。これで決定としました。(なお、案Cの「給弾ベルトをオミット」への変更も可能になっています)

 

 

ここからコクピットと胸部の制作です

クロムメッキは機能性も装飾性もあります。が、むやみに使いすぎると下品になります(個人の感想です)

 

赤球形の脱出ポッドを囲むようにムーバブルフレームがアッセンブルされます。

 

さらにアッセンブル。かなりパーツ数多いですが設計や精度は良好です。

 

いったんバラして塗装します。

全天周囲モニターを表現するためのメッキなのかな?とりあず外側は塗装して内側はメッキのまま組んでみました。が、うーん。ここをメッキにする意味がわからない。

 

全天周囲モニターは液晶かプロジェクターだと思います。機材がオフなら黒か白ですね。モニターONならば宇宙空間が映し出されるのでやはり黒です。細かく言えばアニメ設定では青黒空とCG三角星郡になりますね。というわけで内側は漆黒で塗装しました。無反射にしたので奥が見えない宇宙空間にいる感じになったと思います。

 

真っ赤な脱出ポッドはすこし色を加えました。ハッチの白は映画「2001年宇宙の旅」の作業ポッドを意識しました。

 

完成後は全く見えなくなるのでポッドは簡易的な仕上げ。フレーム強度を優先しています。

 

見えなくなってしまうにもかかわらず、コクピット周りのデザインはとても良くできています。

 

さらにかぶせるようにしてムーバブルフレームを追加して行きます。スナップフィットは全部解除。パーツ同士の位置の微調整、プラ材マウント追加、ネジ固定など。

 

コクピット周辺を作ってて思ったのですが、ゼータガンダムではパイロットが宇宙空間や地上に出ることが多かった気がします。

 

工作の順序として、フレームを先に決定させて、アウターパネルの工作をすることが多いです。

 

例外として、アウターを先に処理しなければならない場合もあります。たとえばこのコクピットパーツ。

多重C面をキレイなR面に変更。ガチガチに固定済みのフレーム取りつけたら、すこし位置がズレていました。このキットはパーツのズレが多い。

 

というわけでフレームを分解して調整し直します。このように「アウターとフレームどっちが先?」の定番の答えみたいなのはなくて、状況によって順序が変化しますし、何度も往復することも多いです。塗装したらバランスが変わってフレームからやり直しということもあります。

 

多重C面を整理。

 

青一色のパーツでしたが、6色で塗り分け。

 

胸のダクトは基本的に説明書通り。スキマやガタが多いので調整し、塗り分け追加。

 

3枚羽根は適度な強度がありベクトルも揃っていたので固定はせず可動を残しました。

 

 

次に胸のセンサーです

チラ見えディテール。キットのディテールも悪くはないのでノーマルのまま完成直前まで進めました。が、やっぱり全体的に作り直すことにしました。

 

多重C面を、流れるようなR面に変更。

 

センサー部の作り直し。

 

作り直してよかったです。

 

 

腰の固定化と延長

PG MK2の腰はちょっと独特です。いつもの腰のジョイントに加えて、腹筋(横隔膜)のあたりににもジョイントがあります。横隔膜のボールジョイントは強度不足でグラグラです。

 

ボールジョイントは切り落とし。平面をしっかり出します。

 

プラ材でプレートフレームを作り、水平を取ります。ついでに腰の高さを延長します。プラ板の厚みで調整しつつ最終的に3mm高くしました。

 

強固なフレームに改造したにもかかわらず、腰がわずかに傾きます。原因は何かな?と探したら、キットの腰の下側のパーツが歪んでいました。キットパーツを加工調整すると外観も変わってしまうので、見えない部分にプラ材マウントを追加して前後左右の高さがピッタリ合うように調整しました。外から見るとノーマルですが中身はぜんぜん別物です。

 

これは腰と骨盤のジョイントです。単軸ジョイントなので強度はあります。しかしフレームパーツが歪んでいるのと荷重支持点が不適切なので不安定。プラ材スペーサーで高さと荷重保持点を調整。ここも固定してもいいのですが、メンテナンスや郵送時梱包なども考えて、脱着式にしました。

 

 

ここから肩の制作です

胸と肩を接続するフレームの制作です。まず完成写真を見てください。

矢印の明るいグレーの部分です。 他のMSでもよく見られるパーツですが、これの固有名称がわかりません(知ってる人いましたら教えて下さい)。説明の便宜のため仮で「垂直肩フレーム」と呼ばせてください。

 

単体で見るとこんな感じです。

 

可動やシリンダーなどのギミックがたくさん盛り込まれています。しかし肩の動きに追従するわけではないので「動く」というよりは「パーツ外れた?」と感じます。

 

いざ手を入れようとしたら、大きなズレがありました。このキットは一見シンプルに見えますが、ほぼすべてのパーツがズレてます。修正や微調整というより、根本的な再設計をする感じ。こういう処理を全身数百ヵ所に行っています。(というわけでズレ修正の説明は大幅に省略します)

 

話はフレーム改修に戻ります。

不要な可動を固定化していきます。

軸が可動するので軸を固定する、というのが最初に思いつくシンプルな方法ですが、それだと実は強度も精度も低いです。軸ではなく周囲のクリアランスをギチギチに埋めるほうが何倍も強度と精度がでます。写真のようにピッタリのスペーサーを組み込めば、接着もネジもなしで、スペーサーだけでガチガチに固定することもできます。

 

センターを出したいときにキットそのまま目検でやってもノギスなどで計算してもたいていズレます。センターラインを延長するように長めのプラ材を仮付けして、周囲のクリアランスをプラ材でピッタリ埋めて、延長センターラインを基準に合わせれば、かなり精度の高いセンター出しができます。その状態でクリアランスや可動軸を固定して、最後に仮付け延長センターラインを取り外します。

ちなみにセンターではなく「後方に10度傾ける」といった場合でも同じ方法でできます。左右でシンメトリーを揃えたい場合も有効です。

 

 

・垂直肩フレームがしっかりインストールされました

 

完成すると露出するのはほんの一部です。その割には改造量が多かったですが、時間をかけてよかったです。

 

 

 

肩の内部フレーム

 

パイプの上端にバリがあります。こういう形のバリは高確率でポリキャップにダメージを与えます。その結果、関節がユルユルになったりポリキャップを潰して組み立て不可能になったり。ヤスリで削ってもいいのですが、円形が崩れるとポリの精度が落ちます。丸ボコビットを使えばきれいな円形に仕上げられます(丸ボコビットは【ぷらもぷらす】で販売してます)

 

同じく穴のエッジもバリがあったり鋭角すぎると組み立てに支障が出ます。ここは丸ビットで面取り。とても些細な加工ですが、これをやるかやらないかで最終的な仕上がりの美しさが大きく変わります。完成後には見えなくなる部分ですが、こういう処理をやっているかどうかは、完成品の仕上がりを見ればだいたい分かります。

 

加工が難しく塗装もできないポリキャップ。長年の試行錯誤の結果、パーティングラインを目立たなく加工できるようになりました。

 

このキットでは組み立てにネジ(ビス)を使う箇所があり、その部分の強度は安心です。

 

ちなみにキット付属のネジ(左・黒)は柔らい鉄で精度も低いので、サイズが不揃いだったりネジ頭やネジ穴をナメることも多いです。なのでステンレスネジ(右)に交換しています。ガンプラで使えるサイズのネジは市販で手に入れるのはほぼ不可能。僕はネジ製造工場にお願いして特注で作ってもらっています。このネジは【ぷらもぷらす】で販売してますのでぜひ使ってみてください。

 

ほとんど負荷がかからないパーツは接着剤で手軽に固定するのもいいのですが、スナップフィットの空気圧縮でスキマを広げたまま固着する可能性が高いです。また接着剤は経年で崩壊するリスクがあります。僕の完成品は95%ネジ固定、接着剤固定は3%くらいです。

 

 

肩のアウターパネル

素材や機能によって、ディテールっていうのはある程度決まりがあります。平面にある長方形のリブはOKです。しかしパネルのエッジの頂点にあるのはNG、隣面と近接して設置されるのもNGです(理由は省略)

 

というわけでディテールを整理。同時に多重C面も整理。

 

ヤスリがけが終わったら中性洗剤とアルコールで脱脂、超音波洗浄、温風乾燥を行います。

 

センターフレームを前後のパネルで挟む構造ですが、前後パネルが固定されずプラプラ。ここもプラ材でスペーサーとマウントを作ってベストな角度で固定。(写真暗くてすみません)

 

肩の先端にあるセンサー?(台形と丸)はキットではグレー指定。設定画やアニメはどうだったっけ?と調べると黄色だったり白だったりで統一感がない感じ。まずは指定どおりグレーで塗って組んでみました。が、ちょっと物足りない感じだったので、オレンジイエローとペールグリーンメタリックに塗り替え。

 

ちなみにMK2単体で考えたら他にもいろいろ案がありますが・・・

 

先日つくったPGゼータとの共通性をもたせるというテーマもあり、これが最良になりました。

 

ちなみに水転写デカールはデザインから印刷まですべて自作です。フォントやサイズや配置や配色など長年調整しつづけて、コツやセオリーもかなり習得しました。ですがやはり現物合わせの試行錯誤がかならず必要で、毎回新規でデザインしています。

 

 

腕の制作です

定番のフレーム+独自のギミックという構造です。デザインやコンセプトはとてもいい感じ。しかしすべてのパーツがちょっとずつズレてるので、微調整と強度対策。

 

強度不足になりがちな関節軸をネジ止めになっているのは嬉しいです。ただ、ネジ以外の箇所はスキマができやすいので、強化していきます。

 

このキットは「フレームがブロック単位で分解できる」というギミックがあります。ヤスリや塗装しやすいメリットと、強度不足で自立できないデメリットがあります。ギミック多めで強度も十分てのが理想ですが、現実ではどちらかを選択することになります。

 

ヒジの2重関節については「小さいスペースで可動範囲を広くできる」メリットがあります、が「上の軸を動かしたいのに下の軸が動く」というデメリットがあります。キットやデザインによって問題ない場合もありますが、今回のMK2の場合は軸の制御が難しく、すこしズレてるだけでプロポーションが大きく崩れます。

 

どの角度がベストなのか何十回も試した結果、上腕とヒジをストレートにするのではなく、ちょっと加工して写真右のように外側にズラしたらとてもいい感じになりました。これはカトキハジメさんのデザインでよく見られるヒジの角度です。

 

また、シールドやライフルの位置関係(干渉)もあってヒジの可動範囲は非常に限定的となり、調整も難しいです。なので上軸はこの角度で固定しました。ネジで解除できるようにしたので最終完成後にも再調整が可能です。(下軸は可動を残しています)

 

昔は可動やギミックが多いのも楽しみのひとつでしたが、いつの頃からかポロポログラグラにストレスを感じるようになりました。近年では「しっかり自立する安定安心の完成品」が好みです。

 

前腕にはスライドギミック。ここは精度も強度も良い感じなので、ギミックを生かして制作しました。

 

機能的な意味を感じないディテールはオミット。

 

ヒジ裏はメイン白とホワイトグレーのツートーンに塗り分けてます。写真だとわかりにくいですが、実物はもう少しはっきり分かる色分けになっています。

 

マニピュレータの製作です

システムインジェクションでフル可動の指。25年前は革新的技術で感動しました。が、ヤスリも塗装もできないので、改造塗装派には困った素材です。

 

長年試行錯誤してきた結果、性能の良いプライマーを探したり、ポリ素材への加工ノウハウも開拓されて、手間はかかるけど加工できるようになりました。

 

手首パーツは白一色でした。多色塗り分け&PPマイナスリベットに変更。

 

完成すると殆ど見えないけど、いい感じです。

 

手首の角度。左手はいつもどおりの内向きの自然な角度で固定。

 

右手首はライフルのデザイン的に、外向けで固定しました。トリガーは指セフティ。

 

腕全体が完成しました

 

 

 

股間フレームの製作です

金型の精度が非常に悪い・・・

 

胸部フレームもこのとおり、ひどい。

 

 

ここからすこし自分語りになります。

24年前の2001年。PGガンダムMK2が販売されたとき、大きい期待とともにキットを購入しました。とうぜん気合を入れて塗装済完成品を作るつもりでした。しかし、結果的には仮組み70%くらいで放置(放棄)しました。

その時は自分でもよくわからないモヤモヤした気持ちで「キットのクオリティが低いからやる気が出ない」などと言い訳したり、高額キットを放置してることに罪悪感を感じたり、その板挟みでストレスだった思い出があります。その後もずっとPGガンダムMK2を中途半端な状態で放置していたことをずっと気に病んでいました。

 

今回「今ならできる!」という気持ちとともにPGガンダムMK2を手掛けることになりました。あらためてキットをじっくり見ると、当時感じた「キットのクオリティが低くてモチベが出ない」は正しかったと分かりました。

それを踏まえて今回は「キットの素性や当時の雰囲気を活かしつつ、最新の素材と技術でリベンジ!!」という目標を設定、そして達成することができました。24年のモヤモヤに決着をつけることができて、とても満足しています。

自分語りおわりです。

 

25年前と現在

 

 

話は戻って、股間フレームの制作です

ダイキャスト製の股間パーツ。

昔の模型業界では「金属素材を使うことが高尚」みたいな固定観念がありました。たしかにメタルパーツにはメリットもあります。しかしこのパーツは精度も悪いし重くて自重を支えられないし、改造しようにも加工も接着もできない。金属のメリットがなにもない。デリットしかない。

 

まずはノーマルで組みます。ガンプラ歴45年の出せる限り最高のパフォーマンスで組んでますが、悲しいくらいガタガタです。

 

0.5mm以上のスキマがありますので、とうぜんガタガタです。これらのスキマを埋めていきます。

 

このキットへの厳しい評価をたくさん書いてきました。それはガンプラ45年作り続けてきたガンヲタの素直な感想です。無理してお世辞を書くこともできますが、それはかえってガンプラの世界を衰退させると考えています。なので客観的な理論も、個人的感想も正直に書いていきます。

 

合わせ面は接着したら見えなくなりますが、ココが荒れていると合わせ目消しの仕上がりに影響します。ほぼすべてのパーツにこの工作を行っています。

 

丁寧にていねいに調整しつつ仕上げました。かなり改善しましたが満足いくものではなないのでボツにします。やはりダイキャスト性金属パーツの精度が悪いのはどうにもならないです。プラやABSで十分設計できるはずなのに。

 

金属パーツを自作に置き換えます。

 

もともと足の延長を考えていたので、ここで同時に延長を行います。何度も仮組みしてバランスを見た結果、股間軸を22mm下げました。もし22mがバランスわるかったとしても、作り治せる構造にしました。1発で成功させるのではなく、失敗してもリカバリーできるようにすることが重要です。

 

股間軸について、無垢のプラ棒よりも、このように異素材を重ね合わせるほうが精度も強度もアップします。手間はかかりますが、とても需要な部分なので時間や知識や素材をたっぷり使って仕上げます。

 

軸部分は取り外し交換も可能にしましたので、あとから再調整も可能です。

 

結果的に一発で仕上げることができました。強度も精度もバッチリです。

 

最近の流行のように足の長さはいくらでも長くすることもできます。ですが「旧キットの素性を活かす」というコンセプトを意識してバランス取りしました。

 

 

股間の球体関節です

股間の球体関節。すべての関節の中でももっとも荷重がかかる部分です。なのですが、可動ギミックを仕込んだため写真のとおりほそーいフレームです。

 

外側の半球形パネルが可動します。どこにも連結されてないのでプラプラと不安定。これらのギミックはすべてオミットし、全部のパーツを構造的に結合させます。

 

このキットではネジ固定も多用されていて、やはりネジを基調にした設計は安心感があって良いですね。

 

さらにベース部と可動部をネジで固定。さらにプラ材マウントを追加して強度を上げてます。

 

股間の球体関節が完成。

 

 

腰まわりです

C面があるのはいいのですが・・・

 

左と右でC面の形が違う。機械設計的に違和感あるし、難しい理屈抜きで見ても美しさがないです。せめて面取りの形が揃っていたらずっと良くなるんですが。

 

個人的にセンチネル系の曲面が好きなので、面構成をヘンコしてきます。

 

フロントアーマーの塗装が完了。このあとデカールを貼ります。

 

 

サイドアーマー。これまで「このキットは意味不明の多重C面が多い」と連呼してきましたが、なぜかここはキレイなR面で構成されています。下端のC面もいい形状。

 

このパーツ全体が手直しが不要なくらいデザインも金型も表面精度もすごく良い。

一つのキットの中にこういうバラツキがあるのは、たぶん複数の担当者がいるからだと思います。巨大組織では仕方がないのかなぁと思います。

 

・微調整だけでサイドアーマーが完成。

 

リアはひどかった。すべての面がグチャグチャにうねっていました。きれいに整面中です。

 

リアアーマーのバズーカマウントが開閉します。

 

バズーカを装着した状態。この写真だと良い感じですが・・・

 

実際にはシールドと左腕と右腕に干渉してしまいます。干渉を避けるため両腕をかなり前に出す必要があります。後ろからだとわからないですが、前から見るとポーズがすこし(けっこう)崩れます。

 

しかし前面から見るとバズーカがほとんど見えないんですよね。

周囲のパーツにいろいろ制限を与えてるにも関わらず、バズそのものは全く見えない。なのでバズーカマウントはオミットしてもいかなと考えていました。しかしギミック残したとしても特にデメリットもなかったので、バズーカマウント開閉ギミックは(オマケ的ですが)残して仕上げました。なおバズーカを脱着する場合、バックパックを取り外してから行います。

 

 

ここから足の制作です

まずはヒザ裏の動力パイプ。パイプ径は細すぎるし長さも合ってないし、固定方法も不安定で、ただダランと垂れ下がる状態です。

 

MK2用にデザインされたものではなく、市販のチェーンを流用しただけなのかな? 24年前、このチェーンを組み立ててるときに気持ちが折れた記憶があります。今回は頑張ります!

 

キットノーマルの雰囲気を残したいので、同じデザインの蛇腹チェーンで直径のの太いものを合わせてみました。キットが2.8mmくらい。4mmにしてもまだ細い。5mmくらいがちょうどいい。

 

ノーマルとくらべたら格段に良い感じ。しっかり固定すればダラダラ垂れることもなくなります。

 

自作のステンレスパイプも試してみます。いろいろ試して一番良いものを採用します。

 

ノーマルチェーンの2.8mmに対して倍ちかい直径5mmに太くしたので、取り付けのためのクリアランス加工にかなり時間をかけました。

 

いろいろ試した結果、「面取りパイプJ薄型5mmステンレス」が一番良かったです。

 

24年間のモヤモヤを晴らすことができてよかったです。

 

 

足全体のフレームの制作

ここでの改造内容もたいへん多かったです。すべて書くと長すぎてしまうし、部分的に書いても伝わらりずらい。あと実際にキットを手に持たないと伝わらないことも多いですので詳細は省略します。

 

それほど難しことをしてるわけではありません。ノーマルをじっくり分析、改造案を頭で練り上げる・試す・失敗・改善して試す・失敗・を数十回繰り返し、よしこれでOK!という正解に行き着きます。どの改造もこれと同じ流れで実施しています。

 

足首部分の延長

足首フレームで6mmの延長を行いました。

 

 

足首関節の固定化

キットでは単軸ジョイントx3、ダブルフリンジのポリキャップ、ネジ止めとかなり強度を意識した設計になっています。当初はノーマルのままでも十分と判断して進めていました。しかし制作終盤になる頃にはポリキャップのヘタリが進行。いま現在は自立できるものの、この先さらに劣化したら自立が難しくなりそう。

 

ベストな素立ちポーズで固定することにしました。3軸のうち2軸を固定します。

プラ材マウント自作、角度調整、ネジ固定。

 

ここの関節が前に倒れてしまうので、この可動は固定しました。ほぼ垂直、ほんのわずかに前に傾斜で固定です。

 

ここの回転可動は「ネジ止め式ダブルフランジポリキャップ」ではなく、シンプルな一軸ポリキャップです。元々の固定方法にガタツキがあり、さらにポリの圧迫収縮がけっこう致命的で、どんなに改善してもポリがある限り精度も強度も出せないので、固定しました。10度くらい足を開いた角度で固定。

 

ここは可動を残しました。地面との接地はこの可動で調整します。

 

大地と足裏をしっかり接地できるようになりました。

四肢を大きく飛ばす派手なアクションポーズと比べ、シンプルな立ちポーズはいっけん簡単に見えますが、実はとてもむずかしいです。芯の通った体幹・左右対称・横から見たS字姿勢・足裏の接地感・安定のための強度・配色のバランスなど、美しいシルエットにするために考える要素がとても多い。模型歴が長くなるにつれ、シンプルほど美しく難しいことを実感します。

 

 

 

フレームがきまったのでアウターの制作です。ふくらはぎ内側のダクトです

ギミックやディテールパーツなど盛りだくさんですが、精度良く組み立てしやすい。微調整と塗り分け追加。

 

内側ダクトが完成。

 

 

ふくらはぎ外側のダクト

ダクトの羽根は組立方法がかなり特殊で難しいです。スナップフィットの精度もやや悪いので組み立てと調整に苦労しました。

 

この辺のパーツもノーマルだと組み上げができない。

 

ここも組み立てが力任せになってしまう。パーツを分割して取り付け方法を根本的に変更することで解決しました。

※いちおうノーマルでも組み立てることはできます。ただ不安になるほどかなりキツキツで、力加減によってはパーツ破損やケガをするリスクがあります。あらかじめ「かなり難しめ」と知っておけば組み立てがすこし楽になるかと思います。これから組む人の参考になれば幸いです。

 

ダクトの羽根はまずノーマルのイエローで組んでみました。パッと見た印象だとイエローが多すぎると感じました。

 

それと内側ダクトの羽根はグレー指定です。同じ機能の羽根なのに色が違うのは違和感。なので内側ダクトのグレーと同じ色にしました。

グレーで正解でした。

 

 

・左右のダクトがマウントされるパーツです。

ラジエータのようなブロックパーツは、脱着機能やバネなどギミックが満載。強度と精度を改善していきます。(写真暗くてすみません)

 

インナーダクトなどはノーマルではグレーの一色指定ですが

プラチナゴールドなど色を追加しました。

 

グレー系だとほぼ真っ暗でせっかくのウインドやディテールが無になってしまう。ちょっと派手なコントラストにしておくと、実際はチラ見えでバランスが良くなります。

 

一旦は完成したけど、バランスを変更するためにヤスリからやり直す。この「完成直前でゼロからやり直す」はけっこうあります。

 

基本をコツコツと積み重ねて完成。

 

 

ここからスニーカー部分の制作です

丁寧に組みましたがスキマがあいてしまいこれ以上フィットできない。試しにプリキャップ等を外して左右2パーツだけで組んでみましたが、それでもスキマが。にしてもこんなに大きいスキマは珍しい。

 

穴のエッジにバリが出てることも多いですが、ここではバリと言うより肉が出ています

 

整面して穴を面取り。

 

こういう「肉盛り」は、たいてい金型劣化からの手作業修正です。肉を追加したということはなにかしら必要性があると思いますが、もとの設計にないものなのでデメリットもありえます。ここではスキマの原因になっっていたので削り落とします。

 

ここも手作業の後付け肉盛りですね。こはおそらくポリキャップの保持力強化のための修正です。しかしこれがキツすぎてポリキャップが奥まで入らないです。これも削ります。

 

円の内側と外側にバリ。これも削る。

 

しかし、むやみに削ると強度が落ちるので、すこし削って組み立てて、バラしてすこし削って組み立てて、を何十回も繰り返します。このたった2パーツのスキマをなくすだけで3時間以上かかりました。小さいサイズのガンプラなら一体組み上げられる時間です。

ピッタリにできました。右ができたら左は簡単!とはなりません。さきほど書いたように手作業で金型修正されているので左右で形がぜんぜん違うんです。左もそれなりに時間がかかりました。

 

挟み込むパーツが多いのでそれらすべてを調整し、ピッタリ組み上がるようになりました。こういった加工をほぼ全身に行っています。

 

 

アキレス腱の動力パイプ

ヒザと同じです。直径が細すぎるし長さも合ってない、固定方法も不安定でただダランと垂れ下がる状態です。そして可動させると周囲と当って可動のじゃまになる。

 

ここはもう明らかに設計ミスなので、そもそも完成後にはほとんど見えなくなるので、オミットします。

パイプ用のマウントを削って平面に。

 

チェーンを外してマウントを削っても、まだ周囲と当ってしまう。どんどん削って修正。

 

ようやく問題ない構造に仕上げることができました。

 

 

足首の左右のプレートです

足首の延長にともなって取り付け位置を6mm下げています。

 

このプレートはデザインもパーツ精度も良好で、工作もスムーズにできました。スムーズすぎて途中写真を取り忘れていました、すみません。

 

ダンパーのシャフト。パーティングラインもなくキレイな円筒、メッキも均一できれいです。マウント部だけ塗装してこのまま使おうと思います。

 

ダンパーシリンダーはかなり精度が悪かったのですが、一所懸命整形して塗装まで行いしました。完成後はほとんど見えないのでこれでも大丈夫。なのですが、時間に余裕があったら作り直すかもしれません。

 

このキットでは30%くらいにアンダーゲートが採用されています。アンダーゲートもメリットとデメリットがありますね。ちなみに他社のプラモデルで「完全隠れるゲート」が実現してるので、それがベストですね。

 

ひとつのパーツの左右でこんなに精度が違います。このデコボコがどうして発生するのか謎です。知識として知りたいです。

 

 

くるぶし左右のブロック

これはひどい。僕が小学生のとき作った紙粘土模型よりも精度悪いです。

 

荒目の紙ヤスリや鉄ヤスリでゴリゴリ削って面を出していきます。

 

ディテールも削り落としてメタルパーツに交換。

 

多重C面。ひとつのコーナーに7面あります。

 

整理して2面にしました。

 

カカトのパーツ。平面、2次曲面、3次曲面、C面、R面が意味もなくごちゃごちゃに混在されています。せめて統一してほしい。

 

つま先のツメはデザインもパーツ分割も金型精度も良いです。このキットは、すごく良い部分と、すごく悪い部分の、両極端です。

 

ほぼ無加工でとてもきれいに仕上がります。

 

スナップフィットは「上下に差し込んで左右から抑える」という構造。これを解除して

 

上下に差し込んで上下から抑える構造に変更します。

 

 

 

足の甲(明るいグレー)の縦長ディテールが甘かったので、ディテールパーツを追加。

 

ここはデザインも金型も良好。ほとんど隠れてしまうのがもったいないくらい。

 

スニーカー部分が完成

 

 

 

バックパックのノズル

まずはキットノーマルで仮組み。ノズルは上下ピッチ可動と長さがスライド伸縮します。可動も強度もそこそこ良い感じ。

 

エンジン部もノズルスカートもディテールがいい感じです。

 

これを自作のメタルノズルに交換します。

やはりキットのままだとグラつきがあるので、固定していきます。

 

できるだけキットの素性を生かして工作しました。予定ではこれで仕上がるはずだったのですが、どこが原因なのかガタが残っており、何度作り直しても左右のシンメトリーが揃わない。

 

どうやら可動軸が左右でズレているのが原因でした。普通に組むなら問題ない程度ですが、僕の理想が高すぎるためどうしても改善したいです。思い切ってキットのマウントは切り落としました。

 

プラ材で作り直しました。

 

バックパック横はダクトモールドでしたが、ここにもPPノズルを追加。

 

ガチガチ!安心!

 

ふたたび比較のためにノーマル状態の写真。

 

ノズルの交換が完成

 

 

つづいてバックパックの動力パイプです

バックパックの動力パイプも、ただダランとぶら下がってる感じ。しかもちょっと動かすだけでポロポロ空中分解。これも当時モチベ崩壊した原因でした。

 

ヒザ裏パイプと同じような改修をしますが、ヒザ裏よりも複雑性が多く、後戻りできないくらい大きく改造する必要がありそうです。失敗は怖くないけれど、最近は予備キット予備パーツの入手が困難なのでちょっと神経質になります。

 

定番のステンレスパイプとスプリングの組み合わせですが、普通に取り付けるとキレイなカーブにはならず直線で急に折れ曲がるようになってしまいます。対策としてアルミパイプを芯に通してカーブを表現してみたのですが、そうすると可動したときに柔軟性がなく硬さが出てしまう。なぜこんなに苦労するのだろう?と昔作った動力パイプを見返しました。

 

左は直線と急カーブになってます。右はキレイなカーブ。そうそう、この違い。

 

いろいろな動力パイプを見ていると、どうやら直線的よりも急なカーブのほうがきれいになるみたい。今回はほぼ直線的なカーブなので難しい。あと可動の方向性でカーブだけじゃなく長さも変化するのが難しい原因。あと根本的なクリアランスが足りない。なるほど今回は難題が3つ重なってるのか。はたして解決策があるのだろうか?

 

どうしても改善できない場合はサーベルラックを固定にすることも候補にしよう。そもそもほとんど可動しないので固定でもOKなんですよね。

というわけでサーベルラックを固定化する工作を進めます。と同時に、やはり動力パイプをどうにか改善できないかと、相反する2つの工作を同時に進めていました。

 

結果、動力パイプの最適化に成功しました。

これまでマウントの穴に動力パイプを差し込んだだけでしたので、マウントからいきなり曲がりが発生していました。この穴に直径2mm長さ8mmのプラ棒を設置、これによってマウントから数ミリは垂直に立ち上がります。このプラ棒の先端を後方斜めにカットすることでやや斜め後方に曲がりを開始します。ここまではほぼリジット固定で、すこしだけ動きます。

 

スプリング4mmの内部に一回り小さいスプリング3mmを差し込む。これでスプリングが急カーブしなくなり、大きいカーブをキープする。また内部スプリングの直径・本数・長さを変えることで「大カーブから小カーブへ変化する複合カーブ」も再現できる。そして可動したときも柔らかく追従してくれる。

 

左は4mmスプリング1本のみ。直線・急カーブ・直線。右はスプリング3本重ね。全体的に大きなカーブになりました。

 

直径・長さ・本数の違うスプリングを重ねるので組み合わせは無限にある。いちおう論理的な予想はできるけど、じっさいやってみると思ったとおりにはならない。でも、正解は見えてきた。

 

下端は固定。中間はスプリングで曲がる。上側は逃し用の穴を大きく広げてスライド伸縮できるようにしました。これでパイプ長の変化に対応できるようになりました。

 

完成写真。いっけんすると「普通じゃん」て見えるかと思います。

まず上端と下端のマウント出口から垂直に立ち上がっています、これをミリ単位で意図的にやるのは意外と難しいです。下から2番目3番目のパイプでカーブを開始するように意図的にコントロールしてます。そのあと上に行くにつれてカーブが少なくなっているのも意図的にコントロールしてます。

サーベルラックが可動すると、それぞれのカーブがほぼ自然に比例的に変化します。サーベルラックを外側に倒すとスプリングの必要長が変化しますが、それは上端が内部に引き込まれることで回避します。その際はカーブがほとんど変化しません!

あとこれは見た目ではわからないですが、これらの動きに対してバックパック本体のクリアランスや強度に余裕がありません。たとえばパイプ長の変化を下側のマウントに逃すようにすれば若干余裕があり工作も簡単でした。でもカーブ部分が収納されるってのは気持ちがよくありません。

なので頑張って上側のマウントで逃すようにしました。上側は本当にギリギリです。ギリギリ足りてません。それゆえ完璧とまでは行けなかったのですが、キットの素性を活かしつつ最大の効果を出せたと思います。

これまれキットへの不満をたくさん書いてきましたが、同時にそれは自分へのプレッシャーにもなります。自分自身もパーフェクトグレードも、より進化できることを願っています。

 

 

 

ここからライフルの制作です

キットノーマルで傷だらけ。もちろんヤスリがけなどはまったくしていません。24年前とはいえ、同時期にもキレイなキットが多数ありました。パーフェクトグレードでこの粗さ。ネガティブな感想を言うのもけっこう辛いです。できればもっと褒めたいのに。

 

ライフルのフォルムはとても良い。当時の雰囲気も残っていていい感じ。褒め。

 

しかしパーツ単体でみると精度が悪い。真円がでていないパーツを旋盤で精錬します。

 

とにかく丁寧にコツコツと整面。金型は荒れ荒れだけど、もともとのデザイン設計はとても良いアレンジになっています。

 

センサーは起こした状態を優先で作ってます。倒れて収納するギミックも残してあります。

 

ほぼ単色だったディテールはマスキングなどで塗り分け。

 

ライフル完成しました。すごくいい感じです。

 

 

ここからバズーカの制作です

古いキットなのでバリが多いのは仕方がないですね。

 

・甘いモールドを彫り直して塗り分け。

 

一体成型になっているバルジ、周囲をミゾ彫りして別パーツのようにしました。

 

 

・こういう差し込みがいくつかありますが、すべて硬すぎて入らないので、大幅に削って調整します。

 

ここも表面が荒れまくりです。

 

金型の面は荒れてるけど、もとのデザインはいい感じなので、表面処理をしていくと良い形状が生まれてきます。

 

モナカ割りの合わせ目消しを行います。

形の悪いバルジは切り飛ばしてオミット。

 

センサーはプラ板の削り出しを塗装して装着。

 

 

グリップは可倒式。基部がポリキャップ丸出しなので、プラに置き換えます。でもここのポリキャップはキレイにデザインされていてそのままでも十分OKなクオリティでした。

 

ほとんどのガンプラが「バズーカをきちんと持てない」という現象があります。このMK2もきちんと持てません。というわけでバズーカは腰にマウントするか、別枠でディスプレイするのを想定して仕上げました。

 

肩パッドには大きい肉抜き穴があります。

もしかしてフタをするパーツがある?と説明書をみましたが、これで完成体のようです。パーフェクトグレードにしてはちょっと残念ですね。

 

肉抜き穴の修正が終わりました。

 

 

 

バズーカのマガジンです

弾体は見えなくなるのでシンプル化のためにオミットします。

 

マガジンキャップがついています、いいオマケ!でも今回は不要なのでオミット。

 

バズーカは全体のデザインも良好、パーツ分割もよく考え抜かれた設計で、とても良い感じに仕上がりました。

 

 

サーベルの制作です

サーベルはモナカ割りなので合わせ目消し。ディテールや面構成は良好なので微調整で進めます。

 

サーベルラックは黒一色だったのでマスキング等で塗り分け。

 

バックパックのサーベルラックに固定。

 

 

ここからシールドの制作です

表面はデザインもパーツ分割も金型も良好。問題なくこのまま仕上げられます。

 

裏面もおおむね良好。

 

表面処理をしたり、マウント用のプラ材を追加したり。順調。

 

水転写デカールは自作です。まずは紙にプリントしてバランスをみます。デカールの配置はこれが一番良い感じです。

 

ただし、ここにはディテールがあります。このディテールを避けてデカールを配置するとどうしてもしっくりこない。やはりこの位置にデカールを貼りたいので、ディテールを埋めることにしました。

 

写真のとおり塗装もスミ入れも終わってほぼ完成状態でしたが、パテとヤスリの基本工作からやり直します。若い頃は「プロやセンスある人は失敗なんてしないんだろうな」と思い込んでました。が、プラモデル歴50年になり「失敗8割、成功2割」です。失敗を繰り返すことが成功への近道ですね。

 

シールド中央にメンテナンスハッチのようなディテールがあります。これはシールド裏側のマウントを固定するためのネジ穴です。ここもデカールを貼りたかったので、ディテールを埋めて平面にしました。

 

こういったマーキングの意味としては、敵味方識別子、企業広告、パイロットの個人的落書きなど、自由度が高い。大判マーキングは軍用実機よりも、F1とか2輪を意識して作ってます。

 

黄色三角形のパーツ両端には3本スリットがあります。これはディテール過剰かなと感じましたが、まずはノーマルのまま仕上げてみました。予想通り過剰に思えたので3本スリットは埋めました。埋めて正解でした。

 

周囲が白だったら3本スリットがあっても良かったかもしれません。しかし周囲が黒なので黒スリットがあるとコントラストがボケてしまう。このように単品だとよく見えても、周囲の色と組み合わせるとバランスが崩れることは多くあります。

 

シールドの表面の完成状態です。

 

次にシールド裏面です

シールドの上下がスライド収納。中央の丸いマウントがバネで飛び出したり、円筒カバーがクルクル回ったり。たくさんのギミックがあります。しかしマウントがガタガタです。不安定どころではなく、シールドを保持できずほぼ落下します。

とはいえ、なんでもかんでも固定化するのではなく、まずはそれらのギミックを生かしたまま完成品にしようと努力します。10回100回動かして分解組み立てして何とかしてキットを活かそうと努力します。とても頑張りましたが、そもそも設計不良なのでどうやっても改善がむずかしい。できなくはないですが、フルスクラッチしたほうが早いし、それは製作期間が年単位になってしまう。ここまで頑張ったので最終決断します。

 

固定します

まずマウントの回転と「バネで飛び出す」を固定にします。

 

次にシールドの位置を上にあげるため、マウントの中心線を下方に移動させます。シールドの位置は好みにもよるので、まず25mmを基準に上下に調整できるように改造。

 

マウントを下に移動すると、ビームライフルのエネルギーパックの位置が下がりすぎてしまう。一体だったマウントを切り離し。

 

エネルギーパック単体で自由な位置でマウントできるようにしました。

 

またエネルギーパックの位置が浮きすぎていたので、シールドと密接するように移動。

 

シールドの上部と下部と固定するためのマウント増設。

 

左腕とシールドを接続するジョイント。

機構も強度も良くできているので、微調整で完成。

 

シールド完成。

 

構造は大幅に変更しましたが、シールド本体の見た目はほぼキットのままにしました。そしてシールドの高さ調整でイメージが大きく変化しました。

 

 

最後に完成写真です

写真で見るとかなりスマートにみえます。それだけバランスよくまとめられたと自分を褒めています。

 

でも実物をみると、やっぱりPG 1/60の大スケールならではの迫力と満足感があります。

 

当時のマッチョ感の再現、手にとったときの重量感、安定感と安心感が写真で伝わらないのが惜しいところです。RGガンダムMK-IIと記念撮影。

 

 

PGガンダムMK-II  24年かけて完成しました♪

 

 

関連リンク
PG ゼータガンダム完成品
改造パーツと塗料販売【ぷらもぷらす】

 

 

 

制作写真の一部は、過去の制作から流用している場合があります。なぜかというと、制作に夢中になると写真を撮り忘れることが多いからです。また製作工程の時間軸が前後する場合もあります。できるかぎり制作風景をわかりやすくしたいので、そういった処理をする場合がありますことをご了承ください。

今回の制作で使用したメタルパーツや塗料は【ぷらもぷらす】で販売してます。デカール購入希望の方は直接メールください。

最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

みなさまに、楽しい模型ライフを!