ピンバイスとドリルの現状

2004.00.00 初記 
2016.10.01 大幅改訂
2020.05.03 全面改訂まとめ版
2022.03.07 一部修正
2024.04.07 改訂追記

 

ピンバイスとドリルについてはこれまでの試行錯誤とともに、この記事を何度も更新してきました。最近では「もうこれ以上大きく変わることはない」という段階まで来たと思います。というわけで内容を全面的に更新し、まとめ記事にしました。

 

最初に結論です

・穴あけは「ピッタリ」より、ユルめかキツめのほうが良い(重要)
・100分の1ミリ単位のドリルを使うようになった
・安物ではなく信頼できるブランドのドリルを揃えた
・ピンバイスを多数揃えた
・ほぼすべての穴を「丸ビット」で面取りする(重要)

 

ガンプラで多用するドリルのサイズは

ガンプラの純正の穴、スナップフィットやポリキャップの穴は下記のサイズが多いです。
1.5mm
1.8mm
2.0mm
2.5mm
2.8mm(ポリキャップに多い)
3.0mm
上記のサイズを揃えておくと使用回数も多くて便利・・・というか必須です。

 

さらに良い仕上がりを目指すなら

0.95mm
0.97mm
1.15mm
1.48mm
1.95mm
1.98mm
2.45mm
2.95mm
もオススメ(自分的には必須)。理由はこのあと説明します。

 

 


 

それでは、ここから細かい説明になります。

●ピンバイスを多数揃えた

初心者の頃はピンバイス1本で、複数のドリルを付け替えて使用していました。しかし頻繁に使うドリルの交換が面倒なので、少しずつピンバイスを買い足してきました。

いまでは約40本のピンバイスと、ドリル0.2mm〜3.0mmまで0.1mm刻みで固定チャックになっています。これには「時短」など効率がよくなるというメリットがあります。しかし、もっと重要な意味もあります。それを次に説明します。

 

 

●ドリルとピンバイスには相性がある

ドリルをチャックするとき、真っ直ぐ正確にチャック(固定)するのは意外と難しいものです。見た目では分からなくても、実は芯がズレてたり、チャックがすべっていることも多いです。また交換を繰り返すとピンバイスが消耗して精度が落ちていきます。

ピンバイスとドリルのチャックがうまくできて、ドリルの芯がキレイに出ていると、ものすごく気持ちよくキレイな穴が開けられます。「これは調子イイ、このドリルは外したくない」とおもったら、バラさずそのまま使い続けるようにしています。そういう理由もあってピンバイスが増えていきました。

 

 

●穴って「ピッタリ」よりも「ゆるめかキツめ」の方が使用頻度多い

言葉で言うと「1mmの穴をあける」なのですが、実際には1mmピッタリの穴が必要なことってほとんどないんです。少しキツめか、けっこうユルめのほうが適切です。

そもそも1mmのドリルで1mmの穴を開けることって不可能なんです。大きいか小さい穴になります。そして問題なのは、その穴が大きいのか小さいのかが分からないまま作業することです。ほんの0.001mmでも「大きいか小さいか」で、対処法が全く違ってきます。でも「0.001m小さい」と「0.1mm小さい」は、対処法は同じ。だったら最初から「ここは大穴、ここは小穴」って把握していれば、コントロールがしやすい。

じゃあその「少し」ってどれくらい?っていうと、たとえば1mmのメタルパーツを埋め込むなら0.97mmか1.15mmがベストです。少しきつめ=マイナス0.03mm。けっこうユルめ=プラス0.15mmです。

 

もう少し具体的な例を出します。

1mmのメタルパーツを埋め込みたい。1mmのドリルで穴を開けてパーツを入れたら、ユルユルになってしまった。接着剤で固定しようとする。このサイズだと毛細管現象で接着剤がはみ出してしまう。せっかくのディテールが埋まってしまう、塗装や仕上がりが汚れる。

1mmのメタルパーツを埋め込みたい。1mmのドリルで穴を開けてたら、パーツがきつくて入らない。ムリに入れたらパーツや塗装が傷ついた。

1mmのメタルパーツを埋め込みたい。0.97mmのドリルで小さめの穴を開けた。ちょうど良い加減でキュッと入って、ピタッと固定した。接着剤も力も使わないからキレイに仕上がる。(もしキツかったら0.98mmで広げれば良い)

または、接着剤を使う前提の場合。ピッタリやキツメだと接着剤がはみ出してしまう。1.15mmのユルめの穴なら、スキマに接着剤が程よく充填されるので、はみ出しもしないし強度もアップする。

なお穴のサイズが3mmや5mmなど変化すれば、プラマイの数値も変わってきます。さらに厳密に言うと素材や季節によっても調整量は変化します。ですが基本的に「少しキツめ、けっこうユルめ」は同じです。

 

説明をわかりやすくするために写真や文章を必要最小限にしていますが、作業内容や人によって数値などの微調整は必要になります。

 

 

●穴は面取りする

ガンプラの穴、及び自分で開けた穴には、たいていバリが出ています。まずはよくある失敗例を見てください。

ポリキャップが潰れた。業界用語で「マッシュルーム」って呼んでます。

 

左写真はキットの穴。バリは見えないけど、エッジが立ちすぎています。このままだとポリキャップがマッシュルーム化する確率が高いです。

ドリルで微調整したのが中央の写真。バリが出ています。

丸ビットで面取りした右の写真。これでポリキャップがスルスルピタッと入ります。潰れる失敗はほぼなくなります。ガンプラ完成品を制作する場合、こういった加工をほぼすべての穴に施しています。

 

キットの穴はバリが出てることも多いです。これをキレイにするにはドリルだけだと難しい。ドリルである程度の真円を出し、丸ビットで面取りするとキレイに仕上がります。

 

面取りの方法はいくつかあるのですが、ガンプラには「丸ビット・中目」で面取りすることが多いです。荒目と細目は必要と感じたら揃えるのが良いです。

 

 

●大きい穴あけについて

PG(パーフェクトグレード)やMG Ex-Sなどの大型キットの場合、6mm〜10mmなどの大きいドリルが必要になります。

 

3mm〜10mmは0.1mm刻みで揃えてます。写真は六角シャンクですが、ストレートシャンクも揃えてます。あとドリルの長さも重要です。短物と長物は必要になったら買い足してます。

 

 

大きい穴を開ける場合、ステップドリルやテーパーリーマも使います。これ一本で4mm〜16mmくらいまでの穴があけられるので便利です。

 

 

●価格と精度

100円ショップなどの安価な工具は、やはり精度が悪いです。(※初心者の方は、まずは安価な道具で気軽に楽しく工作するのがオススメです。より良い仕上がりを目指したくなったら、工具をステップアップしてください)

クイックチャック方式も試したことがあります。ブレが大きく精度も強度も出ませんでした。

コーティングやシンニングなどの超高価なドリルもたくさん使いました。ガンプラでは耐熱や速度管理は必要ないので、超高価なドリルは必要ないです。

木工用、竹用、アクリル用、アルミ用、プラモデル用、CNC用なども試しました。性能面のメリット・デメリットはありますが、それよりも入手性やサイズ展開などが圧倒的に不足していて、実用的ではありませんでした。性能・流通・価格など総合的にみると「信頼できるブランドで統一する」がいちばん良いです。

 

 

●その他

・ドリルは消耗品です。寿命については使い方次第です。数秒でダメにする場合もあるし、数年持つこともあります。

・ここでは写真がありませんが、2.34mm丸軸シャンクも一通り揃えてます。

・ちょっと別の話になりますが、旋盤や電動ドリルなどの電動工具を使う場合、それ専用のドリルも揃えてます。

 

 

●完成品例

 

他にもたくさんの失敗例や応用ノウハウがありますし、まだまだこれからも勉強します。また時間があったら更新します。

 

「なるほど分かった。0.97mmのドリルを買ってみよう!→どこにも売ってない」→【ぷらもぷらす】で販売する事になりました。

 

 

 

 

最後まで観て頂いてありがとうございました。 みなさんの感想やリクエストが僕の製作の励みになっています。 よろしかったら気軽にメールなどくださいませ。

みなさまに、楽しい模型ライフを!