「紙ヤスリは何番を使ってますか?」というご質問が多いのですが、いままで返答にに悩んでいました。
一般的に知られる「教科書どおりの方法」は初心者には正しいアドバイスです。しかし僕はまったく違う使い方(経験と理論)があります。僕の方法のほうが現実的で安定したヤスリがけができます。しかし基礎から外れた方法なので、初心者の方には分かりづらく、かえって混乱させたら申し訳ないと思い、返答ができなかった。
でも「ヤスリの番手」なんて世の中にいくらでも情報がある中で、わざわざ僕に質問したということなら、それにお答えするのが自然かな、と思うようになりました。改めて文章にしてみると、紙ヤスリの重要な性質なのでぜひ(理論だけでも)知ってほしい、と感じました。
基本的に新品の紙やすりは使いません。なぜなら「#400をかけた」といっても、#400が#400なのは最初のほんの数秒だけだからです。あっという間に切削力が落ちていき、ダレた面出しになってしまいます。新品のヤスリは不安定要素が多くて使えないのです。
だから僕は、使い古して安定した紙やすりを使うようにしてます。例えば#180を使い古し実質#320で安定になったものとか、#400を使い古して実質#800で安定したもの、といった感じです。そうすると新品よりも安定した切削力が得られます。
「まめに新品に交換すればいい」というのも危険性があります。新品のヤスリはときどき大きい粒があって、#400なのに#180くらいの深い傷を作ることがあります。これは致命傷で、修正するのに何倍も時間がかかります。特にクリアパーツの研ぎ出しで失敗して泣いた人も多いと思います。
また、紙やすりは力のかけ方や方向によって±200番くらいの違いが出ます。ですから同じ#400でも人によって削れ方が大きく変わります。この場合も新品のほうが振れ幅が大きく、削りが不安定になります。
タミヤのフィニッシングペーパーを見るとわかりますが「縦横の方向性」があります。つまり縦横で削れ方がちがう。使い古しは方向性が落ちてるのでどの方向でも安定する。
以上のような理由で「紙ヤスリは何番ですか?」の質問に対し「#400です」のような単純な回答ができなかったのです。現実の制作では10年以上、使い古しを信頼して使用しています。

・平面、曲面、エッジ出しの例。
もちろん必要に応じて新品を使うこともあります。精度よりも荒削りや時短目的の場合。生乾きのパテなど目詰まりしやすい場合など。新品を使う場合は10秒ごとに交換する感じです。
(番手とは話題がズレますが)ヤスリの切り口で仕上がり精度が大きく変わります。市販品でいろいろな形状に切った紙やすりがあります、一見使いやすそうですが「プレスカット」したものは切り口が歪んでいるので精度がまったくでません。僕はシートのヤスリをハサミで切ってます。
ほんとに初心者で初めて紙ヤスリを買うという方は、タミヤフィニッシングペーパーの180・320・600で感覚を掴むのがいいと思います。というか初めてプラモデルを作るという段階なら、紙ヤスリはなくても大丈夫。安いニッパーだけあれば十分です。
完成までのトータル時間は長くても短くてもそれぞれ意味があります。しかしヤスリがけは時間をかければかけるほど仕上がり精度は落ちます。「#180→240→320→400→600→800→1000→1200」と手間をかけるのも楽しみ方のひとつですが、ヤスリがどうこうではなく、プラが疲れて物性が劣化します。本気で上達・精度を求めるなら「320!600!」で仕上げるほうがキレイです。(お寿司を握るのと似てます。手早く!)
以上になります。ほかにもノウハウありますので、また別の機会に。
みなさまに、楽しい模型ライフを!