スナップフィット調整方法

2022.01.19

 

 

ガンプラのスナップフィットは、初心者でも気軽に組み立てができる、優れた機能です。そこから一歩進んで「うまくハマらない」「分解したいのにできない」「これから改造したい」といった場合の調整方法をいくつか紹介します。

 

ガンプラでよくある、凸ピンと凹穴のスナップフィットです。

 

 

 

まずは、模型誌でよく紹介されている「ピンをカットする方法」ですが、これはオススメできません。

ピンを半分くらい切り落とす方法です。

なぜオススメできないかというと、ピンを切りすぎるとパーツがグラグラで外れてしまう。かといってピンのカットが足りないと固いままで効果が出ない。場所によって切る量を微妙に変えなければならず、適量は切ってみないとわからない。切り過ぎたらもとに戻すのが困難などなど。ピンカットは難しくてリスクが多いです。あと、大量のゴミが出るのも、意外とストレス。

さらに細かいことを言うと、ニッパーでカットするとプレスになるので、ピンの頭がキノコ状に太ってしまう。(写真でも切断面が広がってるのが分かると思います)。これだと穴に入らなくなってしまうことが多い。対処としては斜めにカットすれば少し解消しますが、斜めカットは加減が難しく、ユルユルになりがちだし、位置がズレたりするデメリットも。

年間30体くらいプラモデルを製作し、スナップフィットは数千数万と加工しますが、ピンカットをするのは0.5%以下かな。

 

 

 

 

というわけで、穴に切込みを入れる「MKカット」がオススメです。穴にニッパーを入れて切り込みを入れるだけです。

穴の内径はほとんど変わらないが、切込み部分で穴が広がるので、ピンの太さ(固さ)の許容量が大きいのが分かると思います。さらにバネの効果で適度に押さえつけてくれます。微調整の必要もなく、失敗もほぼゼロ。ガンプラのスナップフィットの90%はこの方法でOKです。また、ゴミが出ないのも意外とストレスフリーです。

 

追記:古いキットや海外キットやガレージキットなどで、スナップフィットの精度が悪い場合も、このMKカットで対応できることが多いです。

追記:もし「まだ固い」と感じたら、穴にもう一箇所MKカットすると、さらに緩くなります。(ちなみに3箇所以上切り込みをいれると穴の壁が崩壊するケースが多いので注意)。まだまだ「固いな」と感じたら、下記の方法を試してください。

 

 

ここからスナップフィット調整の応用編です。

オスメスが両方とも穴の場合。いくつかのパターンがあります。

 

 

さきほどと同様に、MKカットでもOK。

 

 

外側の軸が関節強度等に影響する場合は、外側を加工することができません。その場合は内側の軸を加工します。ただし内側の軸をMKカットすると、ほんの少しだけど太くなって、かえって組み立てにくくなることもあります。なので内側軸はV字にカット。これで縮み方向にバネの役割をしてくれます。

 

 

 

スナップフィットが3重構造になってる場合。たいていキツすぎてハマらず、分解しようとすると破損する。

 

こういう場合はドリルで調整するのがベストです。コツとしては、かなりユルユルにしたほうが良いです。周囲のスナップフィットが補助してくれます。もしユルすぎた場合は最終的本番組み立てで接着するか、あるいはネジで固定するのがベスト。

追記:ガンプラの純正の穴は下記のサイズが多いです。ドリルを揃えておくと便利です。
1.5mm、1.8mm、2mm、2.5mm、2.8mm(ポリキャップに多い)、3mm。

 

 

 

精度も強度も必要な場合。スナップフィットは位置決めだけの役割にして、強度はゼロにする。そしてネジで固定する。精度のよい工具と、手間も時間もかかるけど、いちばんキレイにカチカチに決まりますので、よく使う方法です。

 

 

テーパービットで穴を広げることもあります。肉厚が薄く破損しそうなパーツや、手前はゆるく奥側だけキツくしたい場合など。さらにモーターで回して、長穴にすることもあります。

 

 

 

一つのパーツにスナップフィットが多数ある場合。このパーツのようにスナップフィット5個のままだと組み立てもバラしも困難。パーツに無理な力がかかってるので、パーツが歪み、エナメルで割れたり、経年で割れたりのリスクがあります。スナップフィットは多すぎるとデメリットのほうが多い。論理的には3個あれば十分。たいてい2個でもOK。

というわけで、このあとピン3本を完全に除去し、残った2個はMKカット。そのほうがパーツに無理な力がかからず、精度が上がります。

 

 

3mm以上のスナップフィットはドリルで調整することが多いです。すごく固い場合がおおいので穴を大幅に広げる、なおかつスムーズでピッタリになるように非常に丁寧に調整します。

 

 

 

失敗例。ポリキャップの挟み込みで、穴がズレてるのに力を入れすぎて、写真のようなキノコ状態になってしまいました。こうなったもう組み立て不可能。新品に交換するのがベストです。ただし、変形した部分を丁寧に切り取れば再生することも不可能ではない。

 

ポリキャップを挟む穴は、丸ビットで面取りをすると効果があります。スルッと入るけど強度は落とさない。ここで失敗すると修正が面倒なので、穴のエッジが立ちすぎてるときは必ず加工するようにしています。

 

 

 

いろいろな加工を組み合わせた例。慣れてきたら、初めて手にするキットでも、いきなり全部のスナップフィットを加工します。まず失敗しないし、0.1%くらいで失敗することもあるけど、修正が簡単。

 

以上、スナップフィット調整でした。まだまだあるので、少しずつアップしていきます。

 

 

 


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