PG Unleashed パーフェクトグレード・アンリーシュド RX-78-2 ガンダム 完成しました。
このキット、パーフェクトグレードの名にふさわしく極めてボリュームの大きいキットでした。制作内容を全部乗せると長くなりすぎてしまうので、キット自体の細かいレビューやノーマル状態の写真は省略し、改修点や特に注視する部分を記し、ています。(キットそのもののレビュー・注意点・可動検証等は「W34 PGUガンダム素組レビューのページ」を参考にしてください。)
いつもどおりの基礎工作や強度アップなどの改修にくわえて、このキット製作で一番神経をつかったのは「下品にしない」ということです。このキットはメッキパーツ・細かいディテールや色分け・LED発光・3Dシール・金属パーツ・エッチングシートなど元々ハイディテール気味なので、適所適材を外すと「リアル」どころか逆に品が悪くなってしまいます。過剰なディテールをオミットしたり、付け足す場合も最小限に抑るなど、バランス取りに気を使いました。(言うまでもありませんが、すべて個人的な好みにおいてのはなしです)
出来上がった完成品を眺めていると、大きいスケールならではの迫力と間延させない適度なディテールがあり、とても良いキットだと実感しました。
ここから制作風景です。文中「Perfect Grade Unleashed Gundam=PGUG」と省略して表記します。
ガンプラでは初(?)のメタルディテール。取り付け方法に凝ってフランジなどを設けたのはいいのですが、その代償として奥行がまったくなくて、せっかくのメタルパーツの効果が出てません。自作のメタルパーツに交換しても良かったのですが、せっかくなのでキットのメタルパーツを使用し、底が丸見えのマズル内部をグレーで塗装、インナーにPPアポジ1.5mmを埋め込みました。
頭部発光について。LEDユニットは首の下のあたりに位置します。その光は喉・頭部のクリアーパーツを通り、ツインアイとセンサー前後を光らせます。
しかし光量が低いため、点灯しても消灯してもツインアイの輪郭が見えず、眼力が出ない。というわけでLED発光はオミットし、センサー系は塗装で仕上げました。クリアーパーツは素材の関係でヒケやバリがすごいので、ヤスリで全面成形&下地足付けし、ベースコートから時間をかけて層を重ね、しっかり発色するように塗装しました。
そのほか、両横の5連ダクト奥ルーバーや後頭部左右スリットを明るめのメタリックやグレーに変更。白ヘルメットの5連ダクトの四角形のユガミを一つ一つ整形。ホホのラインは段差モールドを極細スジボリに変更。アンテナ・赤アゴ・シリンダー調整などなど。
キットはアニメ的な頭部位置が再現されています。今回は首周辺の可動を改造し、カトキ版のように後部後退しアゴをひけるようにしました。
首周りの構成は、LED発光のためかディテールのコントラストが弱めになっています。加工や塗装で情報量を増やしました。
つづいて腕の製作です。
芯になるフレームは、システムインジェクションのアドバンスドMSジョイントです。RGと比べると肉厚があるので破損やポロリは少ないですが、大きくなったぶんフリクションが増えすぎて可動がかなりキツめで、さらに力を加えるとフレームがたわんでしまいます。特に緑色でマーキングしたスライダーの動きが渋いです。自重保持に影響のない&完成後に見えない範囲で、グリスなどで潤滑を改善しました。
前腕のカバーを開けると、金属プレス製のマウントパーツが仕込まれています。シールド側の磁石でマウント結合される仕組みです。
クロームメッキや薄金メッキは超合金オモチャっぽい質感なので、メッキを落としてグレーやゴールドに再塗装。成形の甘いディテールは、マイナスモールドやPPアポジなどのメタルパーツに置き換え。肘後ろ側のカバーは、複雑かつ良い感じのパーツ構成。微調整だけ加えています。
それから、前腕は意図的に左右逆にしています。なぜかというと、説明書どおりだと前腕のハッチが内側に開き、そのスペース確保のためにいわゆる「脇が甘くなる」状態で、美しい立ち姿が再現できなくなるからです。ハッチを外側に開くように加工することで、機能を崩さずポージングのアウトラインを改善しました。
肩の可動は全域残してあります。デカールはPGUGにあわせて新規に製作。キットのディテールが多いので、デカールは控えめにデザインしました。
このキットではマニピュレータはまったく可動せず、固定式の手首が8種類入ってます。
最近の全指可動ギミックも素晴らしいのですが、ライフルを持てなかったり、加工塗装ができなかったりのデメリットも多かった。また完成品を納品した依頼者様から「完成見本のように指を再現できないので、固定してほしい」というリクエストもありました。指先の絶妙なニュアンスはガンプラ歴40年でも本当に難しいです。
というわけで僕は固定で仕上げることが多かったので、今回のような固定指は個人的にはとても嬉しいです。(全可動指は別売りオプションで購入できるようにすれば、コストも需要もマッチしそうな気がします)
つづいてボディです。
黄色ダクトのルーバーは可動式ですが、自重で垂れてしまうので、ベストなアングルで固定にしました。そのほかメタルパーツ追加、フレームの塗り分け追加などなど。
腰の赤い部分がスイング伸縮、胸骨が前傾するのですが、どちらも強度が弱くフラフラするのと、そもそも可動範囲もごく小さい。上半身と下半身を繋げるフレームも固定力が弱く、下半身だけスポッと落下事故する可能性が高い。というわけで完成後に隠れる部分にネジ打ちし、ベストな位置で固定しました。ネジを外せば可動に戻すことができます。
こういった調整は全身に施しています。見た目だけでなく、眼には見えない強度部分もしっかり作り、ポロポロ・ギシギシしない安心感のある完成品になるように心がけてます。写真では伝わらないのが残念ですが、強度をしっかり取った完成品は、手にとったときズッシリと重量感を感じます。質量は同じでも、まったくの別物です。
ここから腰の製作です。
フレームはABSとアドバンスドMSジョイントの組み合わせ。ラストシューティングのような派手なポーズのための可動が多くありますが、今回はキレイな立ち姿と安定性を目指すため、それぞれベストな位置で固定しました。
ヘリウムコアのパーツ構成は、ガンプラとしては例外的で重要な注意点があります。取説では普通にフレーム同士を組付けて、あとから黄色パーツをかぶせる手順なので普通に見えます。ですが可動させるとフレームは非固定で可動し、緑で囲んだ部分がフレーム固定の役割になります。またフレーム同士の噛み合わせが硬いので、どこが可動するのか分かりづらく、強く引き出すと黄色固定部分が外れてしまう。なのでフレームの噛み合わせの摩擦を削ってしまうほうが良いと思います。いずれにしてもキチンと組むには構造をよーく理解する必要があります。
また右写真の青で囲った2箇所は、よほどうまく組み付ければギリギリ正常に動きそうな設計ですが、実用的には白いプレートと干渉し、可動が閉じなくなります。ここはスリット状にカットしスムーズに可動できるように改善しました。
以上の2点は組み立てるときはしっかり構成を理解する必要がありますが、完成後は気にしなくて大丈夫です。
股間の連邦マーク部分は「大気圏突入」で使用した冷却機構が再現されてます。この赤いパーツの上端は、フレームと可動用ハンドラも兼ねているので、グレー等で塗り分けしました。
ヘリウムコア(黄色)は2軸の可動があります。まず内側に向けて開き、そのあと2軸とも可動がスムーズになります。白プレート外側は、まず外側に3mmくらいスライドすると、回転可動ができるようになります。サイドジャケットはフレーム色が露出するパーツ構成になっていますが、自分の好みで白に塗り分けました。
ここから足の製作です。
骨格はアドバンスドMSジョイント。可動はかなり固めで、それが設計どおりなのか精度誤差の硬さなのか、判別が難しいです。荷重部分はそのまま、スライドなどの不荷重部分にグリスアップしました。
PSやABSのスナップフィットもかなり固め。あまり固いと最後まで差し込めない、分解ができない、完成後もプラに負担がかかり経年ひび割れする、などリスクが多いです。ここではV字型にMKカットしてスナップフィットを解除しています。こういった処理は全身に行っています。
アドバンスドMSジョイントのPE・PP部分は加工や塗装ができないのですが、できる限りの整形や色合わせを行いました。またヒザ裏のように周囲の色をハイキーにすることで、PEPP部分を目立たなくなるようにできたと思います。そのほか、メッキ落とし、フレーム塗り分けのバランス取り、メタルパーツ追加、などなど。
キットはメッキが多数ありますが、個体差なのかムラが多い。メッキパーツはほぼ全てメッキを落とし自分の好みの色に塗り替えました。
キットのパーツ色分けはかなり良くできているのですが、やはりどうしてもパーツ単位の色分けだと限界があり、機能と色がマッチしてない箇所もあります。これを現実の機能的塗装に塗り替えることも可能ですが、スケール縮尺による境界色干渉やパートを増やしすぎないように、配色は気を使って行いました。
ソールパーツの接地面は3分割可動。つま先&かかとがせり上がります。また少々加工すると写真左のようにへの字可動もできるようになります。ただし連動スライドが独特な構造で、内部を知らないと動かせないと思います。今回はキレイな立ちポーズと重量感と安定性を目指し、地面にしっかり接地させて固定しました。
パーツ分割・色分け・マイナスモールドなどキットノーマルでもすごく良く再現しています。さらに塗り分け追加、ステンレス製マイナスモールド等を埋め込みました。
各所にあるチラ見フレームは外装パネル装着状態で最適な塗り分けに、甘いモールドはメタルパーツに交換。
足まで出来上がって自立できるようになったので、フレーム状態で撮影。
かなり何度も検討した結果、すこし派手な色味のフレームになりました。
最初、キットの配色&色味だと少し派手すぎると感じたので、いったんはダーク系の色に塗りました。しかし外装でほとんど隠れることと、ハッチオープンしたときに光が回らず黒つぶれになってしまいました。なので全部分解して「見える部分・隠れる部分」を十分検討し、最終的には写真のようになりました。フレームだけで観るとだいぶ派手ですが、外装パネルを付けるとちょうどよい感じになっています。
つづいてバックパックの制作です。
ガンプラ初(?)のメタルノズル。たぶんアルミにブルーのアルマイト、重量感のあるメタリックでとても良いコーティングです。
LED内蔵ビームサーベルを差し込むことで、光がバックパック内クリアーパーツを通りノズルが光る仕組み、しかし導線が長いため光量が少ない。また消灯するとクリアーレッドパーツのディテールが目立ってしまう。ですので発光ギッミックはオミットすることにしました。
キットのクリアーレッドパーツは取り外し、PPノズルAを内蔵しました。
甘いモールドをオミットし、マイナスリベットやPPアポジなどに置き換え。可動はすべて残してあります。
中央の明るいグレー部分はシールドマウントで、回転することで収納展開できます。
ここからライフルの製作です。
センサー。クロムメッキを活かし、クリアーイエロー部分をセンサーグリーンに塗装。
センサーのマウント。メッキパーツはムラが目立つので、メッキを落としてフレーム色で再塗装。マウントは2軸の可動があるのですが、ここが少しでもズレすると軸がでないので、前後方向の2軸は固定にしました。
アンダーバレル的な部分はボリュームが不足してると感じたので、メタルパーツに交換。
ここもメッキを落として再塗装。細かな塗り分け追加などなど。
配色の変更、可動部のリーミング、スナップフィットの調整、メタルパーツ追加などなど。
キットの出来がすごく良いので、あとはお好みで好きなだけアレンジできました。
ここからシールドです。
シールドもそうですが全体的に「見える部分・見えない部分」の判断がとても重要でした。普通のガンプラの感覚で組んでいると、完成後に「あ、ここ露出するのか」と後から気づく部分も多いです。なので仮組みを何度も繰り返し、露出部分の処理漏れがないようにチェックしています。
またディテールとスナップフィットが兼用されている部分は、ディテールに負担がかからないようにスナップフィットを解除します。
シールド表面はアニメのように柔らかい曲面構成になっていて、良い感じ。それにあわせて連邦十字の取付面も湾曲しています。ただやはり3D曲面同士の取り付けは精度が難しく隙間ができがち。
何度も調整してかなりベストになりました。けっこう難しかったです。
左手グリップとマグネット式シールドマウント。本体にくらべて簡易なディテールでしたので、メタルパーツを追加。マグネットだけで十分保持できるので、グリップは使用しなくてもOKで、そのため左手のポージングの自由度をもたせることができました。
ビューファインダーの開閉。
塗り分け追加、デカール、メタルパーツ追加などなど。
シールド表面は面積が大きいので細かくパネル分割したりハイディテールにするのも良いですが、このノッペリした感じも「初代ガンダム」のイメージにピッタリで良いですね。ここからさらに足しても引いても良いイメージができる、PGUGは良いキットです。
ここからサーベルの製作です。
サーベルは3本あります。そのうち1本がLED発光内蔵です。発光サーベルは金型もディテールもちがうし、素材も(なにか繊維を織り込んだような)不思議な硬さがありました。そのため加工や塗装の感覚がだいぶ違ったのですが、できるだけ3本が揃うようにしました。
頭部や胸部の発光は難解でしたが、サーベルは直射でシンプル。少しでも発光効率を良くするために、表面処理や塗装を試しています。ビーム部分は加工や塗装の難しい素材ですが、できる限り効果をアップさせました。
ここからコアブロックの製作です。
胴体内蔵用のコアブロック。変形なしのシンプルなパーツ構成なので強度が取れて良いですね。完成すると隠れてしまうのですが、簡単に塗装しました。本体に内蔵するとフィッティングはかなり良いのですが、でもやはり上半身がグラグラしてしまいます。なので取り囲むフレーム部分をネジでしっかり固定しました。ネジを外せばコアブロック分離可能です。
つづいて変形式コアファイターです。
基本的な変形構造は近年のコアファイターと同様ですが、機種のスライド可動が独特で内部構造を知らないと変形が難しい。スムーズに変形でるように、可動部分の加工とグリスアップを行いました。
ミサイルランチャーの開閉。
ランディングギアの展開、リアエンジンのメタルパーツ化、垂直尾翼の白の塗り分けなどなど。
従来のコアファイターは直線的な解釈が多かったですが、PGUGは複雑な曲面構成でマッシブなラインになりました。すごく凝ったアレンジです。
パーフェクトグレード・アンリーシュド RX-78 ガンダム 完成しました♪
みなさまに、楽しい模型ライフを!