制作依頼を頂いておりました、MG Sガンダム Ver.1.5 完成しました♪
こちらのページで大きい写真(横幅1024px)を観ることができます。
メインアンテナは変形機構のための折りたたみ可動を残してありますので、お好みの角度に調整できます。個人的な感想としては、正面ディスプレイの場合は開いて、側面か斜めディスプレイの場合は少し後退させるのがバランス良いかなと思います。
肩はスライド可動します。詳しくは下の制作風景で説明します。
コアファイター。Ver1.5で少しボリュームアップしていています。小さい変更ですがシルエットは大幅に良くなっています。
連射式スマートガンはハーフスクラッチです。U字型の冷却フェアリング、エアスリットを表現しました。
スマートガンのブラケットは本来は左腰マウントですが、銃身の長さ重さ、マウント強度などから右腰にアレンジしました。
スマートガンを装着しない場合は左右どりらにも取付可能です。
追加依頼のあった胸の追加装甲です。オマケで股間の追加装甲(オレンジ部分)も作りました。すべて脱着可能です。
Sガンダム・ノーマル(追加装甲なし)
胸の追加装甲。
胸&股間の追加装甲。
コアファイター飛行形態。
●このキットへの個人的な思い(読まなくてもOKです)
このキットはとても脳を使います。まずパーツ数がとても多い。なおかつすべてのパーツに意味があるので、安易にヤスリがけや形状変更ができない。バリエーション分岐が多く、MS形態とWR形態、SガンとEx-S、さらにVer1.0とVer1.5の差異など16パターンくらいあります。さらにさらにベースが古いキットなのでロットがいくつか存在し、以前は「キツイ」とメモしてたのに、今回はゆるかったり。
過去に制作した内容はメモと記憶に残していますが、このキットを作る場合は改めて仮組み把握を数回する必要があります。でもこのキットがスゴイのは、毎回毎回あたらしい発見があることです。そのたびに感動と驚愕しており、なんど作っても飽きないです。もう20年前のキットですが、これを超えるガンプラはいまだに無いと思います(ガンプラ歴40年の個人的意見)。
というわけで全部を乗せるのは長すぎてしまうので、要点のみ記載しています(それでもだいぶ長くなりました)。写真はVer1.0とVer.1.5が混在してたり、古い写真を流用してる場合もあります。MG Sガンダム&Ex-Sについては過去の制作も参考にしてください。(たとえば MG Ex-S WR解析のページなど)
それでは頭部の制作です。
まずノーマルを組んだりバラしたりして構造を再理解します。アンテナ周辺はVer1とVer1.5でおおきく違うので注意。(写真はVer1.0です)
可動部品が多く存在します。可動やスナップフィットは固めに設計されてます、素組の場合はこれでOKです。でも本制作ではスルスルかユルユルかヌルヌルくらいに調整。プラへの無理なテンションを無くし、組み上がりの精度がよくなり、スムーズな可動になります。
塗膜の厚さだけでも組み上げ精度に大きく影響します。ガンプラにおいて「力を入れる=間違ってる」です。すべてスムーズに組み立つように調整します。またアンテナは破損しやすいので、後ハメできるように加工。
首にジョイントするポリキャップは外れやすいので注意。頭部を外そうとすると首のほうにポリキャップが残ったりします。でもどちらでも簡単にハメられるし、強度も必要ないので、首にポリキャップが残っても問題ないです。むしろ首に残ったほうがいいかも。
クチバシはデザインなのか安全フラグなのか下に垂れ下がっているので、アゴとのラインが揃うように形状変更しました。
デカールは以前制作したものをベースに、微調整しています。
頭部完成しました。
つづいて腕の製作です。
合わせ面が荒れています。このままだときれいにハメアイできず、接着面も不安定で、合わせ目もガタガタになります。古いキットほど荒れが多いですが、最新キットでも荒れは存在します。こういう構造に関わる面は見た目よりも大切なので、しっかり面を出します。こういった処理は全パーツに行っています。
かなり精度の高い設計と金型なのでスナップフィットだけでも組み立て可能です。今回は変形はしないのでネジでしっかり固定していきます。(スライド可動は残しています)
ポリキャップの軸が露出してるので、マイナスモールドで隠します。
グレーの塗り分け、貫通穴をプラバンでフタ、スミ入れは数色使用、メタルパーツ取り付けなどなど。
変形のためのダボや可動がありますが、今回は変形しないのでシンプルな構成になるように整理。ヒケ処理、塗り分け追加などなど。
塗装乾燥待ちなどの時間を利用して、独立したパーツを処理していきます。
機能別でパーツ分割されているので、加工や塗装や組み立てはスムーズ。今回はさらに色を増やしたのでマスキングも多くなりました。中央のテカっている部分はペールグリーンメタリックです。とても良い色なのですが、カメラだとどうしても白飛びしてしまうのが惜しいです。
同じ色でも形状やマスキングによって塗る順番が変わります。基本は明るい色から塗るのが多いですが、こういう場合は暗い色から塗ったほうがきれいに仕上がります。
ホイストフックは抜きの制限で形状崩壊してる部分を修正。
右肩のスライド。
左肩。センチネルブルーは写真で撮るとホワイトバランスがとても難しい。
腕・肩が完成。
胸の制作です。
変形や可動はネジで固定。キット付属のネジは鉄製で頭がナメやすい、またタッピングの食い込みが浅くネジ穴をナメやすい。なので同サイズのステンレス製ネジを使っています。
胸部は過去の制作で慣れているので、集中して一気に仕上げました。C面をR面に変更したり、小口の角度を調整したりしてます。
左がVer.1.0、右がVer.1.5。このボリュームアップがMS状態の腰のラインをとても美しくしています。とても良いアップグレードです。
コアファイターについては下の方で詳しく書いてます。コアファイターと胴体の組み合わせは非常に複雑でとても長くなるので、時間ができたらキット解析としてまとめる予定です。
胴体に収納されるコアファイターは強度優先で制作。可能な範囲でディテールアップしてます。
コアファイター、スムーズでしっかりと固定でました。
胸部の完成。
オーダーにより、Ex-Sの追加装甲も制作しました。
取り付け方が少し複雑なので、写真で説明します。
赤いコクピットハッチを跳ね上げます。追加装甲を最大に開いた状態にして、下からスライドしてハメ込みます。
赤いコクピット部分(追加装甲の下のパーツ)を閉じる。追加装甲上部のU字型パーツを胸上面のミゾにはめる。最後に真ん中のパーツを押し込んでピタッと収まる。外す場合は逆の手順です。
ちなみに、赤いコクピットを閉じた状態のまま、追加装甲をハメ込むことも可能です。ただ赤いところにコスレができるかもしれないです。それから赤コクピットを閉じたままで外すことはできません。外すときは赤コクピットを開けて、下にずらして外します。
股間です。
変形のため複雑で細かいパーツ分割。そして強度をだすためかなりキツめの設計になっているので、組み立ては少々力が入り、組み立て後もプラに負担がかかっています。
スナップフィットや可動は、プラに負担を掛けないように、なおかつグラグラにならない程度のフリクションに調整。接着やネジで強固に固定します。
お尻に収納されるメインウイングです。
限られたスペースに可動や強度をしっかり収めた、優秀な設計。完成後は見えなくなりますが、可動部もVer.1.5で改善向上しています。
Ver.1.5では青色の前縁フラップが別パーツになりディテールも塗装も向上しました。
この周辺はハメ込み重ね合わせの連続で胴体から取り外せない仕様なのですが、後ハメ加工することで製作や完成後の取り扱いが効率よくなります。4本のネジもノーマル組み立てだとドライバーが入らないのですが、後ハメにしたことで正確に取り付けることができました。
Ex-S用ビームカノンの制作。
Ver.1.5になり、ほとんどのパーツが新規設計。そのため組み立ても塗装もスムーズで仕上がりもキレイ。
腰左右にビームカノン装着。
オーダーにはなかったのですが、オマケでEx-S股間装甲も作りました。
足の制作です。
立ち姿ディスプレイの場合はヒザ関節などを固定しますが、今回は浮かせたディスプレイなので可動は残しました。可動を残しつつネジ止めするには、既存のダボ(凹型の4mmの円柱)に正確にネジ穴(ネジ径の70%の穴)を開ける必要があります。失敗するとパーツがダメになるので、集中力のあるときにしかできない作業です。(正確に説明を書くととても長くなってしまうので省略しますが、ここはとても重要な加工です)
足は構造が比較的シンプルなのと作り慣れているので、スムーズに制作できました。
バックパックです。
シンプルな構成。変形用可動を固定するなど。
PPノズルAがぴったり。
テールスタビライザーの制作。
ここも多重の重ね合わせで胴体とスタビが分割できず、組立・塗装・郵送・メンテ等の取り扱いの難しい構造になっています。なので構造を変更して後ハメできるようにしました。
ホイップアンテナは全部切り落とし。プラ材とメタルパーツの組み合わせに置き換え。
ここはPPアポジ1.5mmがぴったり。
テールスタビ完成。
連射式スマートガンのハーフスクラッチです。
ライフルの前半分、冷却ジャケット系のパーツをスクラッチしました。今回は断面U字型で、エアスリットも再現しました。
先端フラッシュハイダー。スペースの厳しい部分へのメタルパーツ設置。接着だけだと中心がズレたり塗膜を汚したりポロッと取れたり。また大きい径のドリルで加工すると中心がずれたりパーツが破損します。
なのでまず1mmの穴を開けます。そこに1mmの軸(ここでは変換シャフトB121mm)を差し込んで接着。ロングアポジ2-4mm(内径1mm)、PPアポジ4mm(内径2mm)の順で設置していきます。センタリングも取付強度も安心。
スマートガンのサポートユニットです。
マスキングで塗り分け。
フェアリングを開けると連動してグリップが出てきます。
ライフルを腰に固定する機能です。腰からライフルまで8か所の可動があり、当然ながら可動が8個もあると保持ができません。ライフルの位置は固定なので、可動しなくてもいいジョイントがあるので、目立たない位置にネジで固定します。
ライフルなし腰ぶら下げのときは左のように真っ直ぐに。ライフルを保持する場合はだいたい90度で丁度いいです。
腰ぶら下げのときはジョイントが収納できます。ライフル保持の場合はジョイントを90度起こします。
設定イラストではサポートユニットは左腰にマウントです。でもよく見るとスマートガンと左腕が不自然に左に寄っています(2次元のアレンジ)。模型の場合は重さも考慮しなければならないので、ブラケットを右腰にして、ライフルの位置をセンターに移動、両腕も自然な位置にしました。また、設定イラストではスマートガンの上に両手を添える形ですが、スマートガンの保持をより安定させるため、下で支える形式にしました。
スマートガンやサポートユニットや腕など周囲のクリアランスは厳し目ですが、最大3mmくらい取れるようにしてあります。ただ最終的にディスプレイするときは、重さを支えるためにクリアランスゼロにしてすこし当たるくらいでも、安定性がでるので良いと思います。
今回、ハーフスクラッチということもあってかなり時間がかかりましたが、スマートガン無事完成。
コアファイターです。胴体用と飛行形態の2機を創ります。
この2機は同じ物を表現しています。奥はコアファイターに周辺装備を脱着できるもの。バリアブルMSの再現性は高いですが、強度は落ちます。手前は機種周辺を一体化したもの。ディテールは省略されますが強度優先。
おなじく2種の比較
コアファイター+周辺装備脱着可能。
一体型フレーム強度優先版。
先にコアファイター飛行形態です。
こちらはVer1.0。双胴のラインがストレートです。
こちらVer.1.5。下端の白い部分のボリュームアップしてます。わかりにくいですが青い部分もラインが変更されてます。
コアファイター飛行形態完成。
次に胴体に納めるフレーム強度強化版コアファイターです。
いちおう飛行形態に変形可能にしてありますが、全体的に強度ギチギチで作っています。
胴体に収めた状態です。さきほど書いた微妙なボリュームアップが、ここでとても良いラインを作っています。地味だけどコダワリの良いアレンジ。
ディスプレイベースの制作です。
比較的重たいキットの全重量を支えるため、スナップフィットはギチギチに硬い設計になってます。透明パーツなので力を入れると傷や白化のリスクが高い。また、いちど組み立てると分解はほぼ不可能な感じです。
やはりスナップフィットを解除するのですが、穴径を大きくしすぎるとユルユルになるし、透明なので接着やリカバリーが難しい。穴径がピッタリになるようにドリルを選びます。しかし市販のドリルは3mm以上になると0.5mmおきが多い。0.1mm単位のドリルは高額になりますが、こういうときは高くても購入します。(0.1mm単位で安いドリルもありますが、寸法も刃先も粗悪です)
股間底部周辺とディスプレイマウントは面同士を密着結合させるので、どちらのパーツも安易にヤスリがけをしてはダメ。このキットを作る場合は、いちばん最初にココのすり合わせをしたほうがいい。
以上、長くなりましたが、MG Sガンダム Ver.1.5 完成しました♪
みなさまに、楽しい模型ライフを!