MG Ex-Sガンダム Ver.1.5 Gクルーザーモードを「簡易」で製作しました。
あと少々の調整仕上げを行ったあと「簡易完成品」として販売予定です。もし購入希望の方がいましたらメールでご連絡ください。













■キットについて
このキット、販売前は「Ver2.0」と噂されていましたが、実際に販売されたパッケージには「Ver〇〇」等の表記はありませんでした。そしてキットの正式名称が「MG
1/100 Ex-Sガンダム/Sガンダム」という、過去キットと呼び分けが難しく混乱する商品名。また内容がフルモデルチェンジではなく「旧キット+追加ランナー」という構成であるため、一般的に「Ver1.5」と呼ばれるようになったみたいです。だから僕は、2003年発売の旧キットをVer1.0、2019年発売の本キットをVer1.5と表記しています。
それから。ガンプラ歴45年で「全ガンプラの中で最高のキットは?」と聞かれたら、だんとつ一位でこのキットです。ベースが20年前の古いキットなので組みづらさはありますが、デザインや熱量はいまでも最高です。
■今回の製作は「簡易完成品」です
これまでMS形態は10機以上作ってきました。Gクルーザーモードは仮組みと解析までは行いましたが、なかなか完成品制作する時間が取れませんでした。でもどうしても作ってみたいという気持ちから「簡易製作でいいから作ろう!」となりました。構造的な強度アップと各ユニットの配置変更などの理想は盛り込みました。
ただしヤスリがけなど工作はかなり省略しています。制作風景や完成写真を見てもらって、これが「効率良い完成品」なのか「手抜き完成品」なのか、見ていただいた人の判断に任せたいと思います。
■説明文は大幅に省略しています
制作内容は非常にボリュームが大きく(今回は写真が3000枚)全部掲載すると長くなりすぎてしまうので、ヤスリがけや塗装などの基礎工作の説明は省略しています。
改造内容は基本的に「スナップフィット解除・アトハメ加工・左右対称などの位置決め・マウント追加とネジで強度アップ」の繰り返しを全身に行っています。ユルユルポロポロしないガチガチで安心の完成品を目指しています。このことは本文中に何度も言ってるのでしつこく感じるかもしれませんが、あらかじめご理解ください。
■文章と写真のバラつきについて
今回の製作ではVer.1.0とVer.1.5のパーツが混在してるので、わかりにくい写真があるかもしれません。また時系列が前後する場合もあります。複雑な内容をわかりやすく伝えるために、部位ごとに解説する形式になりました。
MS=モビルスーツ形態
Gクル=Gクルーザー形態
GクルーザーをGCと略したりWR・ウェーブライダーと言ったりしてますがすべてGクルーザーの意味です。
Gコアをコアファイターと言ったりしてますがGコアの意味です。
(時間に余裕ができたら誤字や表記ゆれを修正します)
それでは製作に入ります。
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今回の制作でもっとも大きいテーマは「機体水平面をキッチリ揃える」です。

左がノーマル。背中のブースターは設定画から斜めになるデザインです。その他の緑線は平行になるべきですが、ジョイントが弱かったりでバラバラになってしまいます。モビルスーツモードでは多少ずれていても目立たないですが、Gクルーザーモードの場合は少しのズレが美しさに直接影響します。
すべてのパーツを本来の機体水平面に揃える、当然ながら左右対称にするのが最大の目的。そのためにパーツを保持するための強度が必要。ただし強度アップだけではダメで、取り付け方法を根本的に変更する部分も多かったです。
さらに個人的な好みで、ブースターの水平化。ヒザの180度回転、センタースタビの180度回転などアレンジを行いました。


Gクル形態の場合、頭部は収納されてほとんど見えなくなります。このあとフレーム強化を行うためのスペースが欲しいので、頭部はオミットする予定です。
■首まわり

首のフレームは下げた状態で固定。

さらに背骨と接続するフレームも固定。黄色いパーツの前端は90度下に折りたたみます。

Gクルモードでは首周りが天地逆になります。正確には底面が前側になります。数ある変形MSのなかでも珍しいケースになので、この辺を作り込む場合はかなり複雑になりそうです。

背中のプレートと背骨フレームはスナップフィットがキツすぎるせいでプラが歪みスキマができます。スナップフィット解除してピッタリに調整してネジで固定。

背中プレートにセットされるパネル。センターが少しズレていますので位置を修正し、ネジで固定。
先程の首フレームの下端と背骨フレームのジョイント

このジョイントはMSモードでは使用しないので折りたたみ収納されます。Gクルモードでは180度回転させます。

そして背骨パーツの結合します。このフレームに背中ブースターやセンタースタビがセットされるので、強度精度ともに重要な部分です。

キットノーマルでもストッパーがあり、かなり熟考されて限界まで設計されてます。しかし複雑さや古いキットなのもあって、どうしても強度は不足してます。キットのストッパーは解除して、位置を微調整し、ネジで固定。ネジはすべて完成後に隠れる位置を計算して打っています。

胸と背中のパーツが隙間なくジョイントされる素晴らしいデザイン。

スナップフィット解除・位置調整・ネジ固定。
Ex-Sの追加ユニットについて

写真は過去完成品です。MS形態ではピッタリフィットしています。

しかしGクルだと収まりが悪いです。全体的に異常なほど熟考されたデザインなので、ここだけフィットしないのは不思議です。もしかすると僕の理解不足の可能性があります。いずれにしてもGクルモード特化にするため、取り付け方法はアレンジします。ノーマルのフィット問題はまた時間あるときに解析したいです。

ノーマルでは3ユニット連結構成ですが、これを分割して3つの独立したユニットにします。このコクピットカバーは少々の調整で完了。

中間のユニットは位置調整して固定。

上面ユニットの位置やフィッティングがいまいち悪い。元々の固定ピンを切り取り、ラインも修正。

青いパーツと干渉する(?)部分を削り。

浮き上がっていたパーツが自然な位置になるように調整しました。

左がVer.1.0、右がVer.1.5。機体後部がボリュームアップしています。ほんの少しの変更ですが、これによってZZガンダムとの共通性を感じるラインになりました。当初はVer.1.5で組んでいましたが、周辺パーツとの兼ね合いでVer.1.0に変更しました。

コアファイターは2タイプあります。追加ユニット脱着タイプと、固定タイプです。
この2機は同じ物を表現しています。奥はコアファイターに周辺装備を脱着できるもの。バリアブルMSの再現性は高いですが、強度は落ちます。手前は機種周辺を一体化したもの。ディテールは省略されますが強度優先。

今回は腹部収納なので、強度優先で固定タイプを使用。

主翼は収納式。

小翼も収納式。

追加ユニットの小翼も収納式。この可動部は割れやすいので注意。



ここはPPアポジ4mmステンとPPロングアポジ2-4mmゴールドがピッタリ。

本体に組み込まれるときはこの形状になります。
MSやコアファイターの小翼は取り外し、マウントを組み込みます。





赤丸がコアファイターと胸がマウントする部分です。ただしノーマルだと強度が足りないので、


プラ材でマウントを追加。ネジ固定。これで胸部とのジョイントが完成。
つぎにGコアと腰のジョイントです。

コクピット先端は90度回転し、ストッパーで結合されます。

このラッチ機構がかなり強度がありノーマルでも十分。

MSとGクルではこの形状になります。

変形時にかなり難しい可動をする部分です。

MSでは肩の可動のためのスキマがあります。Gクルではストッパーで固定されるようになっていますが、ちょっと強度不足。というわけでピッタリスペーサーを埋め込んでしっかり固定。

キットでもかなり強度対策されているのでノーマルでも大丈夫。ネジでさらに改善。(中央にスキマが見えます、こういうのはピッタリに改善します)

肩可動のためのポリキャップはキツめになっています。GCではユルめに調整し、位置決めの役割だけにします。

丸軸とストッパーの位置関係。

ガチガチに完成。
■肩の製作

肩の中心部はVer.1.0もVer1.5と同じ構成。

肩前後のパネルはVer.1.0は固定、Ver.1.5はスライド可動します。ディテールも少し違う。

前後のフレームの位置を揃えるためのタブがあります、が、けっこうズレます。手持ちに複数のパーツがあったので色々組み替えてみたのですが「右はピッタリだけど左はずれる」みたいな不思議な感じでした。原因探求したいのですが時間がかかりそう。修正したほうが早いです。

このキットの可動部は「焼付き現象」が多発します。
なんか可動が硬いな〜という感じと同時に「パチパチ」という音が発生。そのあと完全に固着して回らなくなります。接着したのと同じくらい固着してるので、ここからの調整や、分解するのもほぼ不可能です。パーツを破壊して外すしか方法がありません。焼き付いたパーツは写真のように粉を吹いてるのが特徴です。




プラモ歴50年ガンプラ完成品800体つくりましたが、この焼付きが発生する原因がハッキリわかりません。「どうやら離型剤が原因」だと予想しています。

焼き付いてしまったら、油をさして小さく回すを繰り返すと外れる場合もあります。上の写真では、たまたま破壊せずに外すことができました。でもはずせる可能性は低い。全く回らないか、軸が破損することが多いです。軸を壊すよりも、修理しやすいパーツを狙って壊したほうががいいです。

分解ができたら粉と離型剤をしっかり落とせば再発を防げます。これらの原因と対策は長くなるので、ここでは説明を省略します。詳しくはこのページ最下のリンクを参照してください。
話は戻って、肩の可動の解析です。

肩と上腕をつなげるフレームの、可動とストッパー(緑色)の確認。MSとWRで同じようなストッパーがあります。

MSでは緑と赤のストッパーの2箇所で固定され、応力も受け止め方向なので安定です。しかしWRは緑ストッパーが1点のみで強度がたりないようにみえますが、

下に垂れ下がった赤いストッパーは肩サイドジャケットにマウントされることで安定します。すごいデザインです。

今回はGC固定なので緑色ストッパーをネジで固定しました。

肩と胴体の接続フレーム。緑色がストッパーです。キットでは強度を確保するためにかなりキツめの設計になっています。

緑色がストッパーの位置。左がMS、右がGC。このパーツはノーマルでネジ止めなので、ネジを強く締めることで強度を高めることもできます。しかし締めすぎるとプラがナメるので注意。ちなみにネジがナメやすいのは全パーツ共通ですので締め付けトルクに注意。

赤色のストッパーは摩擦に頼っているので、最初はキツすぎてハマらない、動かしてるとにユルユルになりすぎます。摩擦に頼ったストッパーは解除して、別の方法で固定するのがベスト。これも全パーツ共通。
ガンプラではネジ止めを多用するキットもあります。しかしガンプラ純正ネジはホビー用ということでコスト抑えめ性能も抑えめです。素材の鉄がかなり柔らかい鉄のようで変形しやすい。また十字のミゾの形状も丸みがあって滑りやすい。

左は純正鉄ネジ。右がステンレスネジ。
製作ではステンレスネジを使用しています。ステンレスは鉄の2倍〜4倍の強度があり、ナメることはまず無いです。また十字ミゾの形状も写真のとおりシャキッとしていて深さもあります。これがプラスドライバーに吸い付くようにフィットします。素材強度があるので軸や頭を小さくできるので、クリアランスに余裕をもたせられる。ネジのピッチが細かいので、関節強度なども微調整がしやすい。錆びない。何度でも分解組み立てができる。メリット多い、というより必須級です。
はなしはキット製作に戻ります。

このパーツはノーマルだと99%破損するので注意。変形の複雑性、プラスチックの素材性、離型剤、金型劣化など、さまざまな原因で変形キットの限界の設計だとおもいます。

対策としては組み込む前に離型剤を落とすのが重要です。さらにクリアランスきつい部分をヤスリで削るなど。しかしそれは組む前に予見するのはむずかしいです。とにかくユルユルまで削ってしまってOK。ユルユルでも変形可能です。

ついでに。ガンプラにはよくある「中央に板がある穴」は、たいていキツすぎます。組む前に緑の部分をニッパーでカットすると良いです。

もし破損してしまったら、固定仕上げでもいいと思う。MSなら閉じて、GCなら90度立てて固定。

今回はGCモード固定なので、マウント追加してさらに強化。

そのベースになるパーツも一度組むと分解がほぼ不可能。ノーマル素組みならOKですが、分解や改造をするなら対策は必須です。

重量のある肩&プロペラントタンクを、緑色の丸軸とストッパーで支えます。強度と精度が必要な部分なのでだいぶ時間をかけて改修しました。
ここからサンドイッチユニットの180度回転です。



MSもGCもそれぞれストッパーが付いてますが、GCのストッパーはちょっと弱めでわかりにくい。

ちなみに赤のラインが正しい位置です。

おなじく180度回転の位置関係。緑のエッジが並行になる位置を基準にするといいです。

モナカ割りで空洞が多い場合は強度が落ちやすくパーツが歪むことが多い。内部にスペーサーをピッタリに詰め込んで改善。
フレームが出来上がったので外装パネルを製作します。

スナップフィットがキツイので、すべての穴ダボにMKカットをします。なおスナップフィットは最低2つか3つあれば十分なので、それ以上は完全に撤去してもOK。ここでは5つを3つに減らしてます。

ちなみにスナップフィットが硬いままで力まかせにハメ込むと、写真のようにプラが歪んで白化します。塗装で隠せますが、経年劣化で割れたりします。

一つ一つは小さなズレでも、多数のパーツが重なって最終的にミリ単位のスキマになる。最悪は組み立て出来なくなることもある。


単純に「スキマをなくす」ではダメ。そのスキマがなぜ発生しどこに影響するのかを把握するのが大切。左右共通のパーツでも個体差があるので、早い時点で右左を決めるのも大切。
水転写デカールはデザインから印刷まで自作でつくってます。
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VMsAWrsのロゴも何十年何百回とアレンジしつづけ、かなり自分のイメージに決着が付きました。そうはいってもスケールやカラーによって微調整は必ず入ります。たぶん(いい意味で)一生完成することはないでしょう。模型が飽きないのは、こういう要素があるからかなぁと思います。
■肩の上の羽根です

ノーマル状態。

写真の3つの位置でストッパー作動。それ以外は自由可動です。左がMSとGC。右がGアタッカーモード。GCでは左の状態が正しいようですが、個人的な好みで右の開いた状態にします。

羽根のスライド可動。写真や文章だと伝わりにくいですが、上端と下端の赤い部分に2つのストッパー。黒いスライドジョイントにもストッパー。合計3つのストッパーがあります。

レールパーツはモナカ割でも長さがあり、なおかつ羽根がスライド可動するので、強度や精度を確保するのが難しい。中間にスペーサーを入れてネジで引っぱり固定方式にします。
羽根の基部です。

接着・合わせ目消し・アトハメ加工が必要。

接着面はこのように荒れています。このまま組み立てるとスキマができたり接着剤がヒケたりとリスク多数。削りすぎないように整面し、スナップフィット解除、穴の面取りなど行います。ほぼすべてのパーツにこの処理を行います。
ここは荷重がかからず強度もそれほど必要ないので、ネジではなく接着で処理します。

スナップフィットに接着剤を塗ると空気圧縮がかかります。圧縮された空気がパーツが離すような力になるので、スキマができたまま固着することがよくあります。手で押さえたり、クリップで挟むのは不十分。写真のように面で押せる工具を使うと精度が上がります。

これくらい必要です。
羽根と肩上面のジョイントです

MSではフリー可動。WRでは矢印のストッパーで固定されます。

GC用に寝かせて固定。

今回はGCモード固定ですので、さらに改造。ここでは前腕の可動部にプラ材マウントを追加

腕の追加マウントはこの位置にきます。

これでウイングを機体水平面に並行で固定できるようになりました。

肩上ウイングが完成。ここがプロペラントタンクの台形の切り欠きにピッタリ収まります。素晴らしいデザイン。
■肩のサイドジャケット

サイドジャケット上面のフィン。HGUCは2枚、MGは1枚です。設定画やイラストでは2枚です。なぜMGだけ1枚?上位ブランドのMGが設定画と違うのはなぜなのか。発売当時は疑問に思っていました。が、のちにGクルーザーを組んだときに理由が判明しました。

Gクルにしたとき、このフィンとブースタパックのビームカノンが干渉してしまうからです。カトキハジメさんらしくない矛盾だなぁ、と思って設定画を確認してみたら・・・

ビームカノンのマウントがオフセット回転して逃げる設計になっていました。すごい!

しかし、このギミック4つをプラモデルにすると小さいHGUCくらいの部品数になってしまう。さすがにコストとのバランスが悪く、代替案としてフィンを一枚省略するのは苦肉の策だったと思います。
逆に言うと、その程度のゴマカシも取れないくらい、設定画が緻密にデザインされてるということです。そしてキットもそれを理解した上での、羽根の省略。改めてすごいキットだと知りました。Ver2.0が出るとしたら、いくら高額になってもいいからぜひ再現してほしい。もう徹底的にやってほしいです。(もしくは1枚と2枚の選択式でもいいですね)
話はジャケットの製作にもどります

MSは垂れ下がり、GCではピッタリ収納です。アウトラインが砲弾型でキレイ。

上腕を収納したときに連動でストッパーが降りてくる。このストッパーはMS時は上腕の固定でしたが、WR時はサイドジャケットアーマーの固定になってます。

ちがう角度から。ジャケット先端とヒジ関節との繋がり方もキレイ。ノズルの向きが後方に統一されるのも素晴らしい。

肩のサイドジャケットのジョイント(黒い四角形2個)は、プロペラントの開閉カバーと統一されたデザインになる。
■ここから腕の製作です

ヒジ関節の折りたたみ。シンプルな構造ながら、ヒジを曲げるだけで中央のプレートが押し下げられる仕組み。デザインがキレイに処理されてるので、パット見だと中央プレートが可動することに気が付かない人も多いと思う。

ヒジは二重関節。上関節は真っすぐで固定。

ヒジの下関節は最大曲げで固定します。

ポリキャップ関節はほんのわずかにブレがあります。ここでのブレが0.2mmだとしても、それがいくつか重なると1mm2mmのズレに。MSではあまり気にならないですが、WRで指向性を統一させるためには0.01mmでもブレを軽減したい。ここではスペーサーを挟むことでブレを無くしてます。

手持ちのスペーサーの最小調整単位は0.05mmです。とはいえ数値にこだわっても計算通りになることはまず無いです。現場合わせと、左右対称にすることがいちばん効果あります。
■腰まわりの製作です

まず腰とバックパックブースターの接続フレームについでです。このパーツ、80%の確率で破損します。「ここは破損するから気をつけなきゃ!」と思いながらやっても、破損します。組み付ける前にグリスを塗るとかユルユルに削るなどの対策を行ったほうがいいです。


腰の背骨になる部分。コアファイターを保持したり、テールスタビを支えたり、様々な役割を担っています。

上記の破損パーツを修理するとき、この周辺の10パーツくらいを全部外す必要があり、たいへん面倒です。後ハメ加工することで破損部分だけを取り外し修理交換できるようにしておきます。「ぜったい破損させない」ではなく「破損することも想定してメンテしやすくする」という完成品を目指してます。

このキットでは、ABS同士の軸ジョイントにはダボが付いていて「差し込んで90°回すと、抜け防止」という機能が多い。ですが、抜き差ししにくい。例の「焼付き」が発生する。それほど荷重もないので抜けの心配はない。というわけでダボはカットしたほうがいいです。

こういうフレームの接合面が荒れていると、体幹や左右対称がズレます。完成後には見えなくなる部分ですが、こういうところに気を使っているかどうかは、見る人が見ればわかります。

変形のため複雑で細かいパーツ分割。そして強度をだすためかなりキツめの設計になっているので、組み立ては少々力が入り、組み立て後もプラに負担がかかっています。

Ex-Sの追加ユニット

左がVer1.0、右がVer.1.5。黄色ダクトが別パーツで色分けになりました。オレンジ色の成型色が違うのは意図的なものか、年代差による材料のバラツキなのか。ガンプラの成型色って時期によってばらつきがあります。自分は塗装するので気にしてませんが、ライトユーザーには影響大きいと思う。

今回は強度優先でVer.1.0を採用。

写真は過去作です。
サイドのビームランチャーは太もも上端にマウントされます。これをGクルに変形させた場合、可動が多くアームが細い、さらに足本体もグラつきがあるので、このまま強化しても足りません。根本的に取り付け方法を変更し、機体水平に合わせます

フロントユニットを少し削ってマウントを追加。

機体水平面(コアファイターのサイドスリップ)と平行になりました。もちろん強度もOK。


取付方法が決まったら、ディテールと塗装に入ります。

白いウイングは左右の違いがあります。間違うと羽根が収容できなくなるので、わかりにくいですが確実に確認が必要。そして黒いパーツは非常に硬いです。それが分かっていて慎重にやったにもかかわらずパーツ破損しました。
ウイングのマウント方法です。

まずは参考にMS形態です。キットノーマルでネジ止めになっていて、ある程度の強度があります。MSなら応力も下方向なので問題ない。

GCモードです。薄いアームで可動も多く、応力と支点が離れているのでフラフラに垂れます。とうぜん左右も揃わない。

そして焼き付いてしまいました。

プラ材でマウントを新規作成します。

左右の角度を揃えたい場合は、左右貫通マウントが必要。しかし周囲パーツとのクリアランスが厳しく、細長いマウントしか作れない。だいぶ改善するけど、まだ強度が足りない。このあとも違う形状で数回作り直しました。

いままでお尻の最背面で固定でしたが、お尻の左右面に固定するようにしたら安定しました。コアファイターとも連接できるようにしたのでさらに2面支持で安定性アップ。これで決定!とおもたのですが、

このあと背中ブースターの位置を変更したら、腰の羽根とブースターの羽根が干渉してしまいました。ブースターの位置はここから変更できないので、ウイングを再配置です。

いったんは決定した部分ですが、全部作り直しになりました。
ところで「できるだけキットの素材を活かしたい。ただしできるだけキットのダメージを少なくしたい」という背反する理想があります。なんども調整や失敗をするような加工のときは、キットを加工するのではなくプラ材を加工するようにしてます。接着剤もつかわずネジだけにすれば、キット本体へのダメージを最小限にできます。

さらにウイングと足ヒザを連結固定しました。これによって互いに支え合うので強度と位置決めが大幅に増してます。

ウイングの角度がきれいになりました。

このパーツ、左右(前後)が違うので注意。説明書ではわかりにくいし、実際組んでみてもわかりにくい。失敗して分解するにもかなり硬いです。ここは慎重に!

股関節。MSではフリー可動です。WRでは写真のストッパーで固定されます。

WRモードで固定された状態。ただし強度は不足です。

さきほどのストッパーを全部切り落とし。ディテールも平らに整面。ここを基準面にします。

ここのスキマをブラケットで埋めて固定します。


これでかなり改善。

さらに垂直面にもマウント追加して

2軸の固定を追加しました。

ヒザの二重関節の上側。MSはフリー可動。WRは緑のストッパーで固定。

ヒザの二重関節の下側。MSはフリー可動。WRは緑のストッパーで固定。

左はMSの直立状態。右はWRのZ型。ストッパーがかなり硬くて終点が分かりにくいので、この片面写真で角度を確認してください。

WR状態。ヒザ当てフレームとは密着する形になります。

密着したヒザ関節とヒザ当ては、密着したまま一緒に回転してスネと直角になります。(写真が左右逆で、わかりにくくてスミマセン)

左がMS、右がWR。

ヒザ当てフレームは後ハメ加工しました。

ここでも焼き付き粉吹き現象が発生。

このキットはネジ固定が多用されてていいですね。キット純正のネジでも十分強度あります、が、ステンネジに交換。
先にノーマルと改造後の比較を。

左がノーマル。右がヒザユニット180度回転。設定から逸脱しますが、自分の好みを優先しました。



ヒザユニットを回転させるだけならそれほど難しくはないです。回転後の位置調整をどこにするか、これは正解がなくセンスや好みになります。機械としての位置にするか、見た目の美しさを優先するか。ほんの数ミリで個性が出るところです。

ここもマウント新造。完成後に見えなくなる位置で。

ビームサーベルの収容位置が内側になるので、そのスペース調整。

足の甲のプレート、普通のガンダムは1枚ですが、Ex-Sは左右2枚に別れています。これはヒザユニットを挟み込む構造なのだと思っていたのですが、ノーマルだとそのようにならない。もしかして「スネアーマーが足甲まで移動するときの通過用」かもしれません。これについてはあとで説明します。

ヒザユニット回転すると、ちょうど挟み込むようになります。むしろこっちのほうが自然なくらいピッタリデザイン。

なおかつピッタリ接触支持させるか、

オープンで非接触もいいかな。

(すみません。ヒザ180度回転改造は量が多くてまだまとめられません。あとでアップします)

インコムのマウントです。荷重もないし固くもない。力も入れてないし、ほとんど動かしてもいない。原因がないのに焼き付きます。ほんとうに不思議です。

メタルパーツを装着。PPアポジ4mmステンとPPロングアポジ2-4mmゴールドです。


サーベル。合わせ目はあるけど段差モールドとしてデザインされてるので良好。可動&取り外しできますが今回は固定。
足のスネのフェアリングの可動について

説明書どおり組んでも「どこがどうなるんだろう?」でさっぱりわからないです。完成後は可動は見えますがフレームは見えないのでやっぱり理解するのは難しい。しかし素晴らしいデザインなのでじっくり堪能したいです。

こういう可動になっています。ヒザのフェアリングAがスネに移動。

スネのフェアリングBが足の甲に移動。

ストッパーがあるのでキレイに固定。フィッティングも素晴らしい。

なおフェアリングBとのクリアリングを確保するため、白いパーツが収納されるようになっています。すごい。
アキレス腱のジョイントです。

MSとWRでそれぞれストッパーがありますが、金型劣化なのかストッパーまでがかなりキツイです。これ以上強くすると壊れそう。

左がストッパー未到達、右が硬さ調整して正しいストップ位置。微妙な差ですが重要なところなので正確さが必要です。

正常な位置にできたらネジ固定。

カカトとつま先の可動もまっすぐで固定。

さきほど足スネフェアリングBで説明しましたが、足甲の白パーツは可動します。

内部。WRでは白パーツが沈んで緑ストッパーで固定されます。
ちなみにMSモードでの固定方法は下記です。複雑すぎて言葉での説明が難しい。いずれまた完全解説したいです。

写真左、足の甲のフレーム(緑色)はカカトまで来ています。それを囲んでいるカカトのフレーム(グレーのU字のパーツ)は上下します。
写真中央、MSでカカトフレームが上にあるときは、緑のパーツが上端で固定されています。
写真右、カカトフレームを下げると固定が解除され緑がフリーになる。そして緑を下げると前述の丸ピンラッチで固定されWRになる。

左がMS、右がWR。カカトの移動と白パーツ収納が連動します。
こうして組み立ててしまうと内部フレームが見えなくなってしまうので、どういう仕組みになっているか分からない。理解するには「組み立て・変形・分解・変形・組立」を何回も何十回もを繰り返すしか無いです。
ややまぁ僕はガンオタなのでいろいろ難しいことを言ってますが、完全に理解してなくても組み立て変形できますので、ライトユーザーの方もぜひチャレンジしてほしいです。とにかく最高のキットです。

足首周辺を念入りに組み立てると、このようなクリアランスになりました。これが正しいかどうかはもはや設計者にしか分からないことかもしれません。いまのところこれが自分のベストです。
MS形態は何度もつくりましたが、WR形態をしっかり作ってみて「すごい細部までデザインされてるなぁ〜」とまた新たに感動しました。
少し上の記事で「股関節を2箇所で補強した」「テールウイングと足ヒザも連結補強」と書きました。しかし足の重量が重く、どうしても傾いてしまう。傾きはほんの数ミリなのだけど、左右対称が崩れてしまうのが惜しい。これから行う補強は当初から案としてありましたが、マウントが目立ってしまうのがデメリット。少し悩みましたが試しに作ってみます。ダメならもとに戻せますし。

本体側はどの場所にしてもメリットデメリットのせめぎあいでしたが、ここが最善かと思います。

スタンド側も裏リブがあるのでマウントの位置が制限されます。クリアーパーツなので加工も最小限にしたい。

マウント追加する場所がそれぞれ制限があるのでピッタリの位置にできません。なのでL字マウント延長で対応しました。

そもそもメインのスタンドが極太で視覚的に大きい遮蔽になっています。それに比べたらこの程度のマウントは誤差かもしれない。そして完成写真を見たときこのマウントはほとんど隠れて見えませんでした。この方法にしてよかったです。左右の足をしっかり固定できたことで気持ちがスッキリしました。
先にノーマルと改造後の比較から。

バックパック・ブースターの角度に注視してください。ノーマルは機体水平面に対し15度くらい傾斜してます。これをまっすぐ水平に改造します。

ブースターは2本のアームで支えられています。このアームが細い上に可動やジョイントが多数あるので強度不足でグラグラです。この強度改善と同時にブースターの角度を変更します。

ここは「破損するから気をつけて!」と注意しながらやっても、かなりの確率で破損します。MSとGCの変形時に抜き差しするのですが、まず90%破損します。

対策としてはユルユルに削ることです。差し込むときに少しでもキツく感じたらもっと削ります。強度は落ちますが、破損するよりは良いです。MS固定ならココは使わないのでOK。GC固定ならユルユルにしてから接着固定でいいと思います。

ガンプラは「可動・荷重・位置決め」を一つのギミックにまとめた設計が多いが、それだと強度も精度も耐久性も出ない。本来の機械設計ではその3つの機能は別々の部位で担当させるほう良い。そういう改造を行っています。

このストッパーが角度決めと荷重を担ってますが、切り離してフリーに。

ブースターの前半分、アームが左右で2本あります。左右アームを固定する機能がないのでプラ棒を通して固定。

ブースター後半もアーム固定が弱いので、マウントを追加して強固に固定。

ブースターの角度を変えようとすると、ブースターの小羽根とコアファイターの垂直尾翼があたってしまいます。両方の羽根をカットします。

コアファイターの垂直尾翼をカット。

ブースターの小羽根もカット。ところでVer.1.0 では別パーツでしたが、Ver.1.5では一体型に。ここは別パーツのほうが良かった気がする。

首周りの黄色いパーツを避けるため、ブースターのアームはクランク状になっています。ブースター角度を変更するとココも干渉してしまう。もとのデザインがギリギリの高精度でできているので、安易な改造はできないです。すべてのパーツの位置関係を理解する必要があります。どうしてもな場合は、黄色いパーツの位置を変更する必要があります、その場合はほぼ全部分解です。

位置変更と位置保持のためのマウント追加。
怪しい部分をどんどん強化してますが、なかなかグラグラがなくなりません。パーツ構造も複雑なのでどこがグラついてるのか原因がつかみにくい。というわけで、もう何も考えず目に見えるもの全部を強化することにしました。まずはブースター本体の内部から。

ここのポリキャップは固定したのであまり影響ないはずですが、さらにスペーサーを入れて物理的な可動ゼロに。裏側からポリキャップを固定するパーツもクリアランスをギリギリギチギチに調整してネジ固定。


ブースター本体はパーツを何重にも重ねる構造で、スナップフィットが固めになっています。なので手に持った感じでは強度十分に感じました。が、すべての接合部分をいったん解除してスルスルピタピタに調整。曲面が多いので工作が難しかったですが、丹念に調整してマウント追加、ネジでガッチリ固定。

ブースター裏側の黒い小さいパネル。フレーム強度とは関係ない見た目だけのパーツですが、ここもスペーサー加えてガチガチに。

これはVer.1.0です。上面の白いブロックが立体的で面取りもキレイです。

これははVer.1.5す。平らになったし面取りもイマイチ精度わるい。どうして最新版のほうがレベルダウンしたんだろう?(どうやらディープストライカーとの互換性のためのようです。たぶん。)
というわけで好みの形状のVer.1.0を使用しました。

ブースター本体がVer.1.5なので取り付け方法が合いません。自作マウントで固定しました。

裏側のタンクの一部が別パーツになっています。どうしてこんなパーツ構成になったのか、明確にはわかりませんでした。たぶんマウントからの荷重が、タンクパーツが外れる方向に働くので、その抜け防止のためだと思います。(また時間ができたら検証します)
追記: あとから判明しました。ここはディープストライカーとの互換性のためのパーツ分割でした。なのでEx-Sではあまり意識しないで大丈夫。

「どうして?」と思ったら必ず調べるようにしています。理由や原理や設計思想を理解することは重要。たまに理不尽な理由なこともありますが、謎のまま進むよりは良いです。納得できなかったら改造すればいいので。

ノズル基部のバルクヘッドは10箇所以上のスナップフィットで固定される設計ですが、それをすべて解除してネジ固定に。(写真はほとんど見えなくてすみません)こうしてすべてのパーツを手当り次第強化した結果、グラつきはゼロになりました。

グラグラがなくなって、やっと寸法精度を出すことができるようになったので、仮組みから本番に進むことができます。アームは少しでも強度をだすために接着剤とネジの両方で固定。

スナップフィットに接着剤を塗ると空気圧縮がかかります。圧縮された空気がパーツが離すような力になるので、スキマができたまま固着することがよくあります。手で押さえたり、クリップで挟むのは不十分。写真のように面で押せる工具を使うと精度が上がります。

複雑な形状の場合は専用の治具を作ってから圧着します。


三角


ビームカノン4本
だいぶ時間がかかりましたが、ブースターの角度変更が完了。

写真では伝わりませんが、強度は30倍くらいになってます。次にセンタースタビライザーの改造です。写真のとおり180度回転させて天地を逆にします。
アニメや設定画を再現することについては、とくにこだわりはありません。再現することもアレンジすることも、両方楽しいと思います。

このキットに限らず、設定画やキットを眺めてて「ここは変えたほうがキレイになりそう」などと思うことはよくあります。以前はよく悩んだのですが、最近は「両方作って、良い方を採用」というスタンスです。というわけでテールスタビライザーはノーマルと天地逆の両方を再現できるように改造しました。
テールスタビの改造は順調だったのですが、途中でフレームが破損してしまいました。

もともとギリギリ攻めたデザインであり、素材も古く、キツめのスナップフィットの組立分解をなんども行ったので「なんかヤバそう」とおもっていたら疲労で破断しました。



こういう修復は慣れています。ノーマルよりも強度アップして修理完了。

ついでに反対側も同様の処理を行い、左右とも強度アップ。
スタビ先端のアンテナは切り落とし、新規に作り直し


面取りパイプJ-2mmと変換シャフト121mmを使って、スタビが完成。
まずMSモードとGCモードの比較写真です。

プロペラントタンクが肩ユニットに連結されます。


肩のフレームが180度回って

MSではディテールだった部分が、Gクルではフレーム&ストッパーになります。機能とディテールが共存してる素晴らしいデザインです。

肩上部のフックが、プロペラント内部のフレームに結合されます。

こんな素晴らしい設計ですが、普通に作ると見えないんですよね。

肩のダクトモールドとプロペラントのタブも結合されます。

キットノーマルでもガッチリ固定されます。

肩とプロペラントの接合部。スキマがなくなるデザイン。

そのプロペラントの開閉カバーの動作。MSモードではオープン。

Gクルモードではクローズで固定。

肩上面のウイングのフェアリングが、プロペラントタンクのフェアリングの凹凸にピッタリ固定される。なにげないC面にも、ちゃんと意味がある。










(ライフルの説明は時間ができたら追加します)

焼付き粉吹き。
いままで「ABSの素材が悪いのか?」と思ってましたが、クリアパーツでも同じ現象がおきました。ということはプラ素材ではなく、離型剤が原因の可能性が高いです。

全重量をここで支えるのでかなり強度が必要なのですが、そのためのフィットを摩擦とプラの可塑性に頼っているので、プラに非常に負担がかかっています。さらに金型劣化でハメ合わせも悪い。そのまま組むと破損します。ここは調整のレベルではなく、いったん完全にスナップフィットを解除して、別の方法で固定したほうが良いです。

やはりスナップフィットを解除するのですが、穴径を大きくしすぎるとユルユルになるし、透明パーツなのでキレイな穴を開けたい。市販のドリルは3mm以上になると0.5mmおきなので微調整には使えない。0.1mm単位のドリルは高額になりますが、必須ですね。


MG Ex-Sガンダム Gクルーザーモード 完成しました。
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みなさまに、楽しい模型ライフを!